近鉄電車の小ネタ集 from 塩浜

秋は「鉄道の日」が近いということもあり、各地の鉄道会社でイベントが多数行われています。

今年は、久々に近鉄電車で伊勢に行ってきたということもあり、「きんてつ鉄道まつり」に参加してきました。本来は五位堂・高安(大阪地区)の方が近いのですが、他の用事が入っていたため、2日とも予定が空いていた塩浜(名古屋地区)まで足をのばしました。

近鉄の車両メンテナンス体制

近鉄では、大がかりな検査は「検修車庫」で行います。「検修車庫」は他の鉄道会社でいう「工場」とほぼ同様のものであり、かつては近鉄でも「工場」と言っていました。これとはまた別に「高安検修センター」というのもありますが、こちらは車両の納入整備やリニューアル工事・廃車解体を行う場所です。

簡単な整備は「検車区」の「車庫」で行います。車両の所属はそれぞれの検車区となっています。近鉄で「検車区」というのは、複数の「車庫」を束ねる組織です。

なお、1982年まで存在した近鉄の4工場とは、大阪線の電車を担当していた高安工場(一部機能が高安検修センターとして残存)、奈良線京都線の電車を担当していた玉川工場(若江岩田駅の近く。現・ニトリモール東大阪)、名古屋地区の電車を担当していた塩浜工場(塩浜検修車庫として現存)、南大阪線の電車を担当していた古市工場(古市車庫の隣)でした。高安・玉川・古市の3工場は五位堂検修車庫に統合されましたが、五位堂では近鉄の全車両を扱えるほどのキャパがないことや、名古屋地区の車両には抑速ブレーキがなく*1青山峠を越えられないものが多かったため、塩浜工場のみ残されました。

塩浜では養老鉄道伊賀鉄道四日市あすなろう鉄道の車両も検査をしていますが、近鉄名古屋線標準軌で、養老鉄道伊賀鉄道は1067mm、四日市あすなろう鉄道は762mm(特殊狭軌)のため、そのまま塩浜まで行くことはできません。どのようにして検査しているのかというと、養老鉄道の電車は東方操車場(桑名~播磨)で標準軌の台車に履き替えて電動貨車で塩浜へ連れて行きますが、伊賀鉄道四日市あすなろう鉄道の電車は主要部品をトラックで塩浜まで運び、車体はそれぞれの所属先で検査を受けます。なお、南大阪線の電車も同様に橿原神宮前標準軌の台車に履き替え、電動貨車で五位堂へ連れて行かれます。

f:id:shana_haruka281:20171111134733j:plain

この電動貨車の真ん中に、本来の台車を載せ、標準軌の仮台車をはいた車体の前後に貨車を連結して五位堂または塩浜まで送迎します。

2種類のマスコン

f:id:shana_haruka281:20171111104112j:plain

今の電車はレバーを前後に動かすタイプのマスコン、しかも無接点タイプのものが主流ですが、昔の電車はこのようなタイプのマスコンで、床下についているものを小型化したようなカム軸をレバーで回してノッチを切り替えていました。

これは、実際に奈良線の電車に付いていた日立のマスコンで、上の3つの接点が前進・後進の切り替え、下の6つの接点がノッチの切り替えです。上の3つの接点は前進・後進の切り替えレバーと連動しており、一番上の接点は「前」「後」のどちらかにすると必ずONになり、下2つの接点で前後を区別します。ハンドルのロックも兼ねており、「断」にするとハンドルが回らなくなります。

このタイプのマスコンの場合、右に回して加速するのですが、近鉄の場合は急こう配を抱える路線が多いことから、「断」から左に回す*2と抑速ブレーキがかかるようになっています。この抑速ブレーキの操作方法が、奈良線大阪線で異なります。

奈良線の場合は、抑速側が「進め」と「保ち」になっており、「進め」に入れると1段進みます。1段進めた状態で「保ち」にして制御器の状態をキープしておきます。低い段に入れ直す場合は、いったんOFFにして「進め」と「保ち」を何度も入れ直して目的の段まで持っていきます。

大阪線の場合は、抑速側も加速側と同じ1~5段になっており、ハンドルを入れたい段に合わせるとその段まで自動的に移行します。低い段に入れ直す場合でも、入れたい段にハンドルを合わせるだけでOKです。

なお、特急は奈良線式の「進め」「保ち」になっています。また、奈良線でもシリーズ21大阪線式になっているようです。

電車の仕組みが分かる模型

f:id:shana_haruka281:20171111103619j:plain

近鉄の有志が作った、2800系のカットモデルです。パンタグラフ、乗降扉、ベル、各種灯火類・照明、側面の種別表示器を実際に操作できるようになっており、見学者への説明や、研修に使えるようです。

車掌スイッチは乗降扉の開閉に使うもので、上から押し込むと開き、下から押し上げると閉まります。なお、近鉄ではJRなど他社とは異なり、スイッチが上下逆になっています。しかも、阪神電車は一般的な「下のボタンを押して開ける、上のボタンを押して閉める」タイプのため、近鉄阪神ともに車掌は両方の操作法を覚えないといけません。
近年の電車はリレー式の車掌スイッチが付いており、開閉ボタンは単なる押しボタンですが、ここで実演されていたのは昔ながらの直接自動ドアの回路を操作するタイプで、押すのに力がいります。また、何度も操作すると電極がすり減るため、定期的なメンテナンスが欠かせません。また、当然ながら操作する際には鍵を差し込んで回し、ロックを解除しなければなりません。
ドアを閉めると、本来はメーターパネルについている「戸閉」ランプが付きます。かつてのJRではこのランプが付けば出発できましたが、近鉄など私鉄では車掌が発車に支障がないことを確認し、ベルやブザーを鳴らして運転士に知らせて初めて出発できます。

そのベルも付いています。前後の乗務員室間で合図を出すためのベルは、100円ショップでも手に入るような卓上ベルと同じ音がします。なお、近鉄のベルは「チーン」ですが、阪神電車などは自転車のベルと同じ音がします。もうひとつ、インターホンのベルもあり、こちらは火災報知機のような音がします。

上についている大きな箱は、テールライト・種別標識灯・車内照明のスイッチです。ヘッドライトのスイッチはまた別につまみがあります。
「種別灯(準)」と「種別灯(急)」は、それぞれ下にある白色灯のスイッチで、(準)は電車の正面に向かって左側、(急)は右側です。近鉄での点灯パターンは以下の通りです。

種別灯(準) 種別灯(急) 種別
消灯 消灯 普通
点灯 消灯 準急・区間準急
消灯 点灯 急行・区間急行
点灯 点灯 快速急行・特急・鮮魚列車・回送・試運転

「標識灯(赤)」は、色が示す通りテールライトのスイッチで、ONにすると両方とも点灯します。なお、近鉄では車庫内で車両の入れ替えを行う際、その標識として種別標識灯とテールライトを全部点灯させるようになっています。スイッチが「尾灯」になっていないのはそのためです。
この3つのスイッチは、上に押しこむとON、下に引くとOFFになります。

「電灯制御」は車内照明のスイッチで、押して手を離すと戻ってきます。「入」を押すと点灯し、「切」を押すと消灯します。同じ形なので間違えないよう、「切」のスイッチを青くして区別しています。

ドアの右上にある4つのランプは、1970年代の近鉄電車でおなじみだった行燈式の種別表示器です。当時の電車は方向幕は正面だけで、側面は行燈で種別だけ表示していました。普通・準急・急行・区間快速の4種別に対応していましたが、1980年代から側面にも方向幕が整備され、行燈を付けていた車両も側面に方向幕を装備するようになったため、現在では見られません。もっとも、このタイプの種別表示器は枠が4つしかなく、奈良線では6種類(普通・区間準急・準急・急行・快速急行近鉄)・快速急行阪神))必要になるため、今では使い物になりません。鋼製の電車は種別表示器の跡が埋め込まれ、塗装されているのでどこにあったかわかりませんが、3000系はステンレスの板でふさいだだけだったため、種別表示器の跡が残っていました。

「パンタ」と書かれた箱は、パンタグラフの昇降スイッチです。「上」を押すと上がり、「下」を押すと折り畳まれます。「上」にだけカバーがされているのは、電気機器の整備作業中にうっかりパンタグラフを上げて通電させることによる感電事故を防ぐためです。

方向幕

f:id:shana_haruka281:20171111110100j:plain
f:id:shana_haruka281:20171111110852j:plain

基本的に、近鉄の通勤電車の方向幕はどこでも同じタイプで、路線によって中身が異なるぐらいです。ただし、設定方法が独特で、「シリーズ21」以前の通勤電車では種別と行き先が一体化しているのにもかかわらず、種別と行き先の設定スイッチが別になっています。通常、種別と行き先が一体化している場合は、組み合わせごとに番号が振られていますが、近鉄の方向幕は種別には番号が振られておらず(普通・準急・急行・区間快速快速急行・回送・貸切・試運転から選択)、行き先にのみ番号が振られています。「この車両○○まで」が付いたものにも番号が振られています。
ただし、存在しない組み合わせに設定すると設定器の「故障」ランプがついて幕が動きません。シリーズ21は種別と行き先の表示が完全に独立しているため、幕では表示できなかった組み合わせが出せてしまいます。

2004年までは、近鉄旧国名(大和・河内・伊勢・伊賀・志摩)が付いた駅は一部を除き旧国名を省略して表示していました。例えば、伊勢中川は単に「中川」と表示していました。ただし例外もあり、そのうちの一つがここで出てきている「伊賀神戸」です。兵庫県の「神戸」と間違えやすいからでしょう。また、伊勢若松に至っては「伊勢」が大きいものと小さいものが混在していますが、単に「若松」とだけ書いたものは存在しません。また、新種別などの追加を伴わない限り、一斉に交換せず傷んだものだけ検査のついでに交換しているため、編成中で混在していることもあります。伊勢中川行きの電車で、1両だけ「伊勢中川」であとは「中川」だった、ということもありました。

展示されていたものは、2004年に旧国名付きの表記に改められてから2009年に上本町駅が「大阪上本町」に改称される以前のもので、まだ「区間準急」はなく、上本町行きは単に「上本町」とだけ表示していました。

神戸三宮行きの方向幕は、近鉄の流儀にならうと「神戸」は小さく書かなければならないのですが、伊賀神戸河内長野と同じように全部同じ大きさで書かれています。

近鉄の方向幕の書き方

なぜ旧国名も含めた正式な表記にしたのかというと、スマホなどを用いて路線検索を行う際、省略した駅名をそのまま打ち込んで全然違う駅名が出てきてしまう*3などといったことが多発したためです。近鉄の窓口で切符を買う際には問題はないのですが、それ以外では混乱することが多かったため、正式な表記にしたようです。

5200系

f:id:shana_haruka281:20171111151736j:plain

近鉄大阪線名古屋線・伊勢志摩エリアでは長距離の急行が運行されており*4、そのための車両として2610系などといったクロスシート・トイレ付の電車が投入されていました。ただ、座席が狭いと不評だったことや、トイレ付のロングシート車が長距離急行に投入されたこともあり、「もっと質の高い車両を投入してほしい」という声が上がっていました。そこで投入されたのが5200系です。

大阪線などの長距離急行に使う車両の伝統を守り、トイレ付のクロスシート車となっていますが、2610系とは異なり3ドアで、座席は転換クロスシートが装備されています。どこかで見たような電車だと思った方は鋭い。実は、JR西日本221系を開発する際、近畿車輛からこの5200系のコンセプトがほぼそのまま持ち込まれたと言われています。

先に登場した3200系・6400系は車体がアルミ合金ですが、5200系は側面に大型の連続窓、運転席に曲面ガラスを採用しており、開口部が大きいため、強度確保の目的で車体は鋼製に戻されています。また、ドアの位置は両端は4ドア車にそろえられており、中央に1か所ドアが配されています。3200系以降の車両なので、窓の並びは前後対称になっています。*5

顔は8810系以降の通勤電車に近いものですが、正面の窓周りが1段ふくらんでおり、その部分が近鉄マルーンに塗られています。種別標識灯とテールランプは、21000系以降の特急と同じくLEDのものを使って共用しています。

上質な車内設備は好評を博しましたが、3ドアということで4ドアを標準とする近鉄の通勤電車の中では浮いた存在になってしまい、大阪側ではラッシュ時の混雑がひどすぎて使いづらいため、大部分が名古屋線に配置されています。名古屋線では名古屋方に2両編成を連結し、6両編成で急行として使うことが多いようです。近鉄で3ドアの電車は5200系以外存在しないため、3ドア車と4ドア車が混在してしまいます。名古屋地区では一般列車の乗車位置表示がないため*6、5200系が見えると並び直し、ということもあるようです。

上記のとおり、扱いづらい車両だったことから13編成で製造を終了し、後継車種として、クロスシート車の居住性とロングシート車の輸送力を併せ持つ5800系「L/Cカー」にバトンタッチしました。大阪線以上にラッシュ時の混雑がひどい奈良線でも、昼間や休日にはクロスシート車が望まれていたことから、5800系・5820系が投入されています。

メインは大阪線名古屋線の長距離急行ですが、団体列車としての使用も考慮されており、京都や天理に顔を出したこともあるほか、今年はついに難波までやってきました。

これまで5000番台は狭軌の車両に割り当てられていましたが、5200系からは標準軌路線の長距離急行用クロスシート車の番号になりました。近鉄では、千の位の数字でだいたいどんな車両かわかります。

(3桁) 独立支線用
1・2 大阪線名古屋線
3 烏丸線直通用
4 (縁起が悪いので欠番)
5 標準軌路線の急行用クロスシート
6 南大阪線
7 けいはんな線
8・9 奈良線京都線

かつては5・6は狭軌の車両に割り当てられていたため、名古屋線でも6000番台の車両が走っていたことがありました。また、近年では奈良線大阪線で車両の共通化が可能な限り進められたこともあり、1000番台の車両が奈良線に新造投入されたり、本来は奈良線向けの車両であった8810系や9000系大阪線名古屋線に転属したりしています。

なお、千の位のルールは一部が特急用車両にも適用されているようで、南大阪線の特急用車両は千の位が必ず「6」になっているほか、かつての京都線橿原線向け小型特急車*7は18000系・18200系・18400系でした。

*1:かつては名古屋線大阪線でも車両が分けられており、きつい勾配がない名古屋線では抑速ブレーキは不要とみなされて省略されていた

*2:ちなみに、シリーズ21や近年の特急車は前に押し込む

*3:例:大和西大寺のつもりで単に「西大寺」と打ち込んだら、岡山県西大寺駅が出てきてしまった

*4:かつては上本町~鳥羽、150kmを走破する快速急行があった。急行は今でもあるらしい

*5:昔の近鉄の通勤電車は、中間車では大阪寄りと奈良・伊勢寄りで車端部の長さが異なっていた。長距離急行用の車両では長い方にトイレが付いていた。ただし、大阪方の車端部が長いものと奈良・伊勢方の車端部が長いものが混在しており、偶数両編成の場合、編成単位では窓配置が前後対称になる

*6:というより、近鉄では特急以外乗車位置表示がない。奈良線近鉄電車と阪神電車でドアの数・位置が違う上に、優先座席の位置も違うため(近鉄は奈良方、阪神は神戸方)付いている

*7:1973年までは、京都線橿原線の車両限界・建築限界が大阪線より小さかったため、東海道新幹線の開通に当たって京都発着の特急を設定する際は小型の特急用車両を必要としていた。18000系・18200系は幅2590mm・全長18640mm、18400系は橿原線の限界拡大工事が一部完成していたため可能な限り大型化して幅2670mm、全長20640mmになった。橿原線の工事が完成した後、標準軌路線の特急車はすべて共通化された

祝・神戸市営交通100周年

1917年に、神戸市内で路面電車を走らせていた「神戸電気」を神戸市が買収して「神戸市電気局」としたことから、神戸市の市営交通事業は始まりました。あれから、今日でまる100年を迎えます。

1910年 神戸電気鉄道*1が春日野*2~滝道~楠公*3兵庫駅前で路面電車を開業
1913年 神戸電気鉄道と神戸電燈が合併し「神戸電気」となる
1917年 神戸市が神戸電気を買収し「神戸市電気局」となる
1930年 須磨駅~桜口*4で市営バス営業開始
1942年 電力事業を関西電力に譲渡し、「神戸市交通局」となる
1955年 摩耶ロープウェイ開通
1957年 須磨海浜水族園を開園*5
1968年 神戸市電全廃
1977年 地下鉄西神線(新長田~名谷)開業
1983年 地下鉄山手線(大倉山~新長田)開業
(1985年に新神戸まで延伸し全通)
1987年 地下鉄西神延伸線(名谷~西神中央)開業
(1985年に名谷~学園都市が先行開業)
1995年 阪神・淡路大震災
1999年 スルッとKANSAI」加入
2001年 地下鉄海岸線開業
2006年 地下鉄でPiTaPaICOCAの利用開始
2008年 市バスでPiTaPaICOCAの利用開始
2013年 地下鉄でSuicaなどのICカード利用開始
2017年 ICOCA(定期券含む)の販売開始
市バスでSuicaなどのICカード利用開始
2018年度 西神・山手線に新型車両を導入

f:id:shana_haruka281:20071104121843j:plain

市電

神戸の路面電車の始まりは、1910年に春日野~兵庫駅前で開業したのが始まりでした。神戸における市内電車の計画は明治時代からありましたが、線路を引くのに必要な道路幅が足りないなどという理由などでなかなか具体化せずにいました。また、建設が具体化してからも、市営でいくか民営でいくか決めかねていましたが、神戸市の財政の都合で民営でやることもやむを得ないということになり、将来神戸市が買収を申し出たときは応じるという条件で民営の業者に任せることになりました。いざ具体化したとなると、開業にこぎつけた神戸電気鉄道のほかにも5社が軌道特許を出願する事態となったほか、阪神電車*6も三宮からメリケン波止場まで延伸するという計画を出してきました。結局、神戸市と出願した業者間で調整を行い、神戸電気鉄道に一本化することでまとまりました。

開業当初の電車の色は、阪急電車を思わせる茶色でしたが、1935年から現在でも地下鉄で採用されているグリーンのツートンカラーになりました。

全盛期は、東は石屋川から西は須磨まで*735.6kmにもわたる路線網を張り巡らせていましたが、昭和40年代に入ると自動車が普及してきて円滑な運行の妨げになるほか、赤字問題も噴出し、1966年から路線網の縮小が始まりました。その間に、1968年には神戸高速鉄道が開業し、神戸市交通事業審議会で地下鉄の建設が答申されました。

市電が全廃されてから40年余りたちますが、ボディカラーと座席の布地の色、さらに車両番号のフォントは地下鉄(西神・山手線)に受け継がれています。

市バス

1930年に須磨駅前~桜口で開業して始まります。ちなみに、「桜口」バス停は今でも「灘区役所前(桜口)」として存在しているようです。なお、阪神バス阪神国道線の生まれ変わり)では「灘区役所前(八幡桜口)」です。

そもそも、神戸での市バスの始まりは「市電の速達化」が目的でした。これは、神戸の市街地が極端に東西に長く、市電では移動に時間がかかるという事情があり、市電より速い交通機関が必要となったためでした。もし、市電で急行運転をするとなれば、こまめに追い越しができる電停を置く必要がありますが、これは非常に手間がかかるため、市電を緩行線、市バスを急行線としてすみわけをしようとしていました。これらは後に「急行系統」として発展します。

ただし、最初の運行区間のうち三宮~桜口では市電とは並行していませんでした。これは、すでに阪神国道線が通っており、市営交通をバスという形で提供せざるを得なかったためでした。同じような事例は兵庫駅~西代でも見られ、こちらはかつて山陽電車が併用軌道で走っていました。

また、神戸は市街地まで山が迫ってきているという地形のため、山麓エリアと市街地を結ぶ路線も多数開設されました。これは、当時の電車の性能では急こう配を登れないという事情からでした。

後に市電のネットワークが縮小されると、これに代わるバス路線が多数開設されましたが、こちらも地下鉄の整備に伴い一部は再編されています。

また、かつては明石駅大久保駅など明石市内へ乗り入れる路線もありましたが、21世紀に入って民間のバス会社に移管され、明石市内に乗り入れる路線は一部を除いてなくなりました。

地下鉄

もともと、神戸では他の大都市にある地下鉄がなく、神戸高速鉄道が実質的にその代わりとなっていました。本来の目的は神戸市内に乗り入れている私鉄の接続ですが、市電の一部の代わりという扱いにもなっています。乗り入れ4社と神戸市の第3セクターだったのはこの理由によるものです。

その一方で、神戸高速鉄道とは別に市営地下鉄の構想もあり、須磨ニュータウンと神戸の都心を結ぶ路線として形が作られました。その後、西神ニュータウンから都心へのアクセスや、新幹線のフィーダー輸送という役目も与えられました。

市営交通100周年と同時に、今年は西神線(名谷~新長田)が開通して40周年、西神中央まで延伸して全線開業して30周年という節目の年でもあります。この節目の年に、開業以来初となる車両の全面置き換えが決定し、2018年度より投入開始予定です。

余談ですが、西神延伸線が独立した路線名になっているのは、この区間は地下鉄ではなくニュータウン鉄道として補助金を受けているためです。また、新幹線より高いところを走っている地下鉄は全国でもここだけです。

*1:神戸電鉄の旧社名と同じだが関係はない。当時神戸電鉄は開業すらしておらず、開業当初の社名は「神戸有馬電気鉄道」だった

*2:後の春日野道

*3:湊川神社

*4:現在の灘区役所近辺で、当時は神戸市の東端だった。同じように、西端は須磨だった

*5:意外なようだが、1968年までは交通局が所管していた

*6:阪神間にはすでに東海道本線が通っており、地方鉄道としては免許が下りず、軌道として特許を出願して開業にこぎつけた

*7:垂水区を除き、おおむね終戦後の神戸市の範囲内に収まる。現在の北区・東灘区・西区は戦後になって編入された地域である

伊勢志摩のツートップ

先週末、伊勢神宮奉納花火大会へのお誘いがあり、行ってきました。

伊勢への足といえば、関西方面からだと近鉄特急しかあり得ない*1のですが、せっかく伊勢に行くのに汎用特急車(オレンジのやつ)*2だと損をした気分になるので、「しまかぜ」と「伊勢志摩ライナー」に乗って行くことにしました。

50000系「しまかぜ」

f:id:shana_haruka281:20170716161031j:plain

6 Tc1 5 M1 4 M2 3 Tbd 2 M3 1 Tc2
ク50100 モ50200 モ50300 サ50400 モ50500 ク50600
ハイデッカー プレミアム グループ カフェ 車いす対応 ハイデッカー

(発着地にかかわらず、ク50600が伊勢志摩方を向く。号車番号は大阪・京都発着の場合。名古屋発着はク50100が1号車)

今の近鉄特急のフラッグシップといえば、やはりこれでしょう。近鉄全体では「アーバンライナー」と、伊勢志摩方面に絞ると「伊勢志摩ライナー」と並ぶツートップといえます。

2013年は、20年間隔で行われる伊勢神宮式年遷宮の年でした。これを機に、利用客が年々減少傾向にある近鉄特急、特に伊勢志摩方面への需要掘り起こしを狙って、今までの近鉄特急にない「観光に完全特化した車両」として開発が進められました。

これまでの近鉄特急は、アーバンライナー伊勢志摩ライナーといったある方面に特化した車両であっても、汎用性を損なわないような配慮がされています。それゆえに、「アーバンライナー」なのに阪奈特急として走ったり、「伊勢志摩ライナー」なのに名阪特急として走るということが見られました。

「しまかぜ」では、汎用特急車とは一線を画し、ビジネス利用や短距離の乗車は全く考慮せず*3、あくまで伊勢志摩観光に徹した車両として開発されています。運行ダイヤも固定されている(難波・京都・名古屋からそれぞれ1往復ずつ)うえ、特急券のほかに特別車両券*4を必要とすることもあり、近鉄特急の中でも特別な存在としてPRされ、乗客の間でも同じような認識をされています。

開発に当たっては、近鉄沿線・首都圏*5の4000人、近鉄特急の乗客1万人、伊勢志摩エリアの観光業者、旅行会社などを対象にした市場調査が行われ、コンセプトが固められました。観光特急の構想は2010年にはすでに出ていました。(→降りたくなくなる特急 - みのとら日記VZ-R

形式は、今までの近鉄特急とは違うということを示すため、近年の近鉄特急で多く見られる「2」から始まる形式ではなく「50000系」とされました。

プレミアムシート・ハイデッカー

f:id:shana_haruka281:20170715112706j:plain

「しまかぜ」の基本となる座席なのですが、基本とはいってもアーバンライナーなどのデラックスシートよりかなりグレードが上がっています。それどころか、新幹線のグリーン車より上です。さすがに、E5系・E7系の「グランクラス」にはかないません。

全国どこを探してもJR九州ぐらいでしか見かけないであろう本革シートで、リクライニング・オットマンは電動式、さらにN700系グリーン車と同じような、耳元から照らす読書灯まで付いています。枕は、JR東日本の特急用車両よろしく上下にスライドでき、座高に応じて調整できます。背もたれにはエアクッションが仕込まれており、空気圧を調整して腰への負担を和らげるほか、マッサージチェアよろしく空気をリズミカルに出し入れして簡易的なマッサージ機として使うこともできます。

シートピッチは私鉄最大の1250mm*6で、足を延ばしてオットマンを出してゆったりくつろげます。

1・6号車は、床を720mm上げたハイデッカーで、30000系ビスタカーの2階席に近い側面展望が楽しめます。消費電力の削減を目的として照明はLED化されているのですが、LED照明は器具を薄くできるため、図らずして天井が高くなり、一般的な車両並みの居住性を確保することにもつながりました。さらに、運転席の位置が低いため、伊豆急行リゾート21」などのような前面展望も楽しめます。網棚の天地方向の寸法が小さいことや、大きな荷物を持って階段を上り下りするのは辛いだろうということで、デッキにはロッカーがあります。

座席を手動で回転させる方法が今までの特急とは異なっており、古いものは背もたれを前に倒して、比較的新しいものはペダルを踏んで回転させるのですが、「しまかぜ」のはボタンを長押ししてロックを解除してから回すという風になっています。その際、リクライニングさせていると背もたれが定位置に戻り、さらに前に倒れます。

テーブルは22600系や最近リニューアルされた車両と同じように、座席背面と肘かけの中に入っています。シートピッチが広いため、座席背面のテーブルは手前に引いて使います。

窓の天地方向の寸法が大きく見えますが、実際は22600系より15mm小さくなっています。下辺が低いのと、1列ずつ独立しているため大きく見えます。カーテンは、新幹線で見られる上下移動のロールカーテンですが、手元のスイッチで開閉します。

座席番号は、Aが1人掛け、B/Cが2人掛けで、数字は大阪方から1・2・3・4…です。

個室・サロン

4号車(名古屋発着は3号車)には、3人以上のグループでの利用を想定した個室とサロンがあります。個室は和風と洋風が1部屋ずつ、サロンは3区画だけで、ここから先に売れます。近畿日本ツーリストが旅行会社枠として押さえているという噂もあります。

サロンは伊勢志摩ライナーのものと同じ…かと思いきや、通路を伊勢湾側に寄せているため、3人掛けのシートが向い合せになった6人掛けです。伊勢志摩ライナーのはデラックスカーと同じ位置に通路があり、伊勢湾側がサロンシート、反対側がツインシートです。伊勢湾が見えない…こともありません。一応、ドアがなく仕切りも透明になっています。4人以上で利用できます。

個室は、サロンとは逆に伊勢湾が見えるように配置されています。鉄道車両では珍しく空調の温度設定を乗客自らできるようになっているほか、和風個室には掘りごたつまであります。あと、和風個室は土足厳禁です。3人以上で、かつ大和八木・四日市伊勢市を乗車区間に含む場合に利用できます。

個室には、飛行機にあるようなエンターテインメントシステムがあり、前面・最後尾の展望や、現在地の案内、観光案内、BGM、衛星放送、子供向けコンテンツなどがあります。BS放送以外はWi-Fiでプレミアムシート車でも配信されており、スマホタブレットを持ち込んで見られます。

この車両は、30000系の2階建車以来となる中央にデッキがある車両であり、ここで通路の位置が入れ替わります。

カフェ車両・車内販売

3号車(名古屋発着は4号車)はカフェ車両で、近鉄特急で本格的な調理設備を伴い、食事をとれる車両は12000系「スナックカー」のスナックコーナー以来です。近鉄スナックカーの失敗から、食事を取れる車両をあきらめていたと思っていましたが、市場調査で「食事を取れる車両はあった方がよい」という結果が出ており、実際カフェ車両に行ってみると、かなり繁盛していて通路に順番待ちの列ができていました。そんなわけで、カフェ車両で飲食せず、カウンターで「しまかぜ」グッズを買って帰りました。

この車両は、近鉄では20000系「楽」以来23年ぶり*7の2階建車両ですが、2階建になっているのは伊勢湾側のカフェ席のみで、反対側は通り抜け、または販売カウンターのみ利用する乗客のための通路となっており、2階建ではありません。

ルームサービスとして個室まで持ってきてくれるほか(対象は全メニュー)、プレミアムシートでも一部のメニュー(「カフェ席でのみお召し上がりいただけます」と書かれていないもの)は座席まで持ってきてくれます。さながら、往年の小田急ロマンスカー「走る喫茶室」です。

近鉄特急の車内販売は2002年に一度全廃されましたが、2006年に休日の伊勢志摩ライナーで、2007年に休日のアーバンライナーで復活しました。「しまかぜ」でも実施されていますが、「しまかぜ」のみPiTaPaを除く相互利用対象のICカードが利用できます。

車内販売・カフェのメニューは全座席に配置されています。

しまかぜチャンネル(無料Wi-Fi

近鉄で初めて、車内での無料Wi-Fiサービスが実施されています。2種類あり、一般のインターネットに接続できる「しまかぜFree Wi-Fi」と、車内限定コンテンツの「しまかぜチャンネル」があります。

23000系「伊勢志摩ライナー

f:id:shana_haruka281:20090321153450j:plain

f:id:shana_haruka281:20170716161956j:plain

6 Tc1 5 M1 4 M'1 3 M'2 2 M2 1 Tc2
ク23100 モ23200 モ23300 モ23400 モ23500 ク23600
デラックス サロン レギュラー レギュラー 車いす対応 レギュラー

(発着地にかかわらず、ク23600が伊勢志摩方を向く。号車番号は大阪・京都発着の場合。名古屋発着はク23100が1号車)

「しまかぜ」との間に20年もの間隔が空いているため、1993年の式年遷宮に合わせて登場した…のではなく、近鉄の伊勢志摩観光開発の集大成ともいえる「志摩スペイン村」へのアクセス特急として、1994年に登場しました。近鉄の「○○ライナー」シリーズでは最後に登場しました。*8

アーバンライナーで好評を博したデラックスカーが設定されたほか、その隣にはグループでの利用を意識した「ツインシート」と「サロンシート」があります。モチーフは「欧州の客車で見られるコンパートメント」です。

レギュラーカーは、パルケエスパーニャの4つのエリアのテーマカラーの座席が配置されていましたが、後のリニューアルで青系統のものにそろえられました。ただし、大阪から伊勢に向かって色が濃くなっています。

登場から20年近くたって、2013年の式年遷宮を控えた時期にリニューアルされました。写真は、上が改修前(阪神なんば線開通2日目に撮影)、下が先日乗車した際のものです。このリニューアルでは色も変わり、奇数編成が赤、偶数編成が黄色です。偶数編成も、一見色が変わっていないように見えて、実際は足元の帯が水色からアーバンライナーと同じオレンジに変わっています。運用は決まっていますが*9、色までは限定されていないため、どちらの色が来るかは乗る時のお楽しみです。

休日に各1往復のみ運行されている大阪・名古屋発着のノンストップ特急は伊勢志摩ライナーの限定運用です。

一時期は名阪特急の定期運用を受け持っていたことがあり、近鉄の「特急用車両の向きは、名阪特急を基準とする」というルール上、伊勢中川以南では大阪・京都発着と名古屋発着で向きが異なっていたことがありましたが、現在は名阪特急の運用がないため、発着地にかかわらず向きは揃えられています。

志摩スペイン村へのアクセス特急ということもあり、CMでは必ずこの車両が最後に出てきていましたが、「しまかぜ」が登場してからは、最後に出てくるのは「しまかぜ」に変わりました。

近鉄特急の小ネタ集

列車名がない

近鉄特急には、新幹線や小田急ロマンスカーなどのような列車名がありません。「何時何分発のどこそこ行き」だけで案内されています。1960年のダイヤ変更までは、「すずか」「かつらぎ」「いすず」「あつた」「なにわ」などと言った沿線にちなんだ名称がありました。ちなみに、上本町発の名古屋行き最終特急は「おわり」でしたが、これは「終わり」と「尾張」のダブルミーニングとも言われています。

その後、特急が増えてかえってややこしくなってしまったこともあり、1960年のダイヤ変更で廃止されましたが、その後も「湯の山温泉サマーライナー」など、不定期の特急には名前が付くことがあります。また、1970年代には一時的に列車名が復活したこともありましたが、こちらもすぐになくなっています。

アーバンライナー」や「伊勢志摩ライナー」はあくまで車両の名前であって、列車名ではありません。ただし、これらの車両を使う場合は「名古屋行き特急・アーバンライナー」や「賢島行き特急・伊勢志摩ライナー」という風に案内します。

なお、系統ごとに呼び分ける場合は両端の駅から1文字ずつ取って「名阪特急」や「阪伊特急」、「京橿特急(読み方は不明)」と呼ばれているようです。例外は「吉野特急」と定期便としては存在しない「湯の山特急」です。

  • 名阪特急
  • 名伊特急
  • 阪伊特急
  • 阪奈特急
  • 京伊特急
  • 京奈特急
  • 京橿特急
  • 吉野特急

かつては、「湯の山特急*10」のほかに京都~難波の「阪京特急」*11や、奈良~伊勢志摩の「奈伊特急」*12もあったほか、平城遷都1300年記念祭の期間中に運行された「名奈特急」*13もありました。

また、天理教の祭事では京都・名古屋~天理の臨時特急が走るのですが、これは特に名称はなく「天理行き特急」やJRと同じ「天理臨」と言われているようです。

甲特急・乙特急

近鉄特急のうち、名阪・阪伊・名伊特急は停車駅の違いにより「甲」「乙」のランク付けがなされています。「甲」はノンストップで、「乙」は主要駅に停車するものを指します。乙特急は一時期「準特急」と言われていましたが、現在京王線で走っている準特急と意味合いは同じで、停車駅の違いで区別されています。また、車両も甲特急には最新かつ最高ランクのものを使用していたのに対して、乙特急にはワンランク下のものを使っていました。このあたりは、かつて小田急で走っていた「準特急*14」と同じです。「甲」「乙」は内部での呼び方であり、対外的には甲特急は「ノンストップ特急」と案内されます。

古い特急用車両では、方向幕に「ノンストップ」と書かれていますが、これが甲特急です。ノンストップの区間は時期によって異なり、かつては名阪特急は上本町~名古屋、阪伊特急は上本町~宇治山田、名伊特急は名古屋~宇治山田がノンストップだったこともありましたが、現在は名阪特急は鶴橋~津、阪伊特急は鶴橋~伊勢市、名伊特急は名古屋~津がノンストップです。ただ、名阪甲特急は最初からノンストップだったわけではなく、名古屋線標準軌化される前は伊勢中川で乗り換えを強いられていたほか*15標準軌化後も伊勢中川の短絡線が完成するまではスイッチバックのために運転停車していました。よって、上本町~名古屋が完全にノンストップだったのは1961年3~4月の一時期だけでした(大阪環状線が全通したのに伴い、鶴橋に特急以下全列車が停車するようになったため)。

ただし、ここ最近は阪伊・名伊甲特急が休日に各1往復しかないことや、名阪甲特急はノンストップよりも「アーバンライナー」で運行することを前面に押し出しており、「ノンストップ特急」も死語となりつつあります。

2012年のダイヤ変更で全ての名阪甲特急が津に停車するようになりましたが、桑名・四日市・白子から名伊乙特急に乗って、津で名阪甲特急に乗り換えることで大阪までの所要時間が短縮されました。ただ、これは近鉄側の事情もあり、「伊勢中川の短絡線を走行中に乗務員*16が交代するのを国交省にとがめられたため」とも言われています。このダイヤ変更以降は津まで運転して交代するようになりました。*17

なお、これ以外の系統では特に停車駅に大きな違いがない*18ため、甲・乙の区分けはなされていません。その一方で、阪伊乙特急の中でも停車駅に違いがあります。

また、「しまかぜ」は停車駅で見ると甲特急に近い*19のですが、甲特急でも乙特急でもない特別な存在です。

車両の向き

前述の通り、伊勢中川にデルタ線があり、ここを通ると車両の向きがバラバラになって運用に支障をきたす恐れがあります。したがって、近鉄特急の車両の向きは伊勢中川の短絡線を通る名阪特急を基準としたうえで、向きがバラバラになる区間を伊勢中川以南に限定しています。

そのため、伊勢志摩方面の特急は、大阪・京都発と名古屋発で向きが逆になっています。これに合わせて号車番号も逆になっており、山田線・鳥羽線志摩線の特急停車駅では「名古屋行き特急は前が1号車、大阪・京都行き特急は後ろが1号車」という表示があります。名阪特急が満席で、やむなく阪伊特急と名伊特急を伊勢中川で乗り継ぐ特急券を買った場合、この事情を知っておくと、切符を見て「乗り継ぐのにかなり離れている」というクレームを付けずに済みます。

車両運用に関しては、名古屋から賢島まで走った特急が、このままで大阪・京都へ折り返す、またはその逆をやると、伊勢中川以西・以北で向きが違うものが混在してしまい、運用に支障をきたします。したがって、特急が賢島に到着したら、折り返しは始発駅に戻る(例:名古屋発の場合は折り返しは名古屋行き)ようにしています。

なお、伊勢志摩ライナーとしまかぜは名阪特急の運用がなく、伊勢中川の短絡線を通らないため、大阪・京都・名古屋発のいずれであっても同じ向きで運行します。ただし、他の特急と案内を統一するため、号車番号のみ逆になっています。そのため、各種設備の号車が発着地によって異なっています。

大阪・京都発着 名古屋発着
車いす対応車両 2号車 5号車
デラックスカー(ISL) 6号車 1号車
サロンカー(ISL) 5号車 2号車
カフェ車両(しまかぜ) 3号車 4号車
グループ車両(しまかぜ) 4号車 3号車
喫煙室(ISL) 3号車 4号車
喫煙室(しまかぜ) 4号車 3号車

車内チャイム

どこの特急でも、車内アナウンスの前にチャイムを鳴らすのが通例ですが、近鉄のは一味違っていて、駅ごとに曲が用意されています。かつては他の特急も含めてCDが売りだされていたこともありますが、現在は「しまかぜ」のものだけ売り出されています。

なお、「しまかぜ」だからといって特別なチャイムを使っているというわけではなく、他の特急と同じ曲です。

22600系の登場時に、一部の駅(京都・奈良など)では曲が変わっているほか、チャイムが鳴らなくなった駅(生駒・名張など)もあります。過去のものまで引っ張り出すときりがないので、「しまかぜ」停車駅の2017年現在の曲を下に記します。

難波 アニーローリー
上本町 夢路より
鶴橋 旅愁
京都 大きな古時計
丹波橋 楽しき農夫
西大寺 おおスザンナ
八木 故郷の人々
名古屋 久しき昔
四日市 オリジナル曲
伊勢市 羊飼いの家路
宇治山田 四季 より「春」
鳥羽 われは海の子
鵜方 きっとパルケエスパーニャ
賢島 マイ・ボニー

座席番号

2013年のダイヤ変更で、近鉄特急の座席番号はJRと同じように数字(進行方向)とアルファベット(左右方向)で表わすようになりました。デラックスカーはアーバンライナーの登場時からずっとこの方式でしたが、レギュラーカーは近鉄独特の座席番号の振り方でした。

  • 窓側が奇数、通路側が偶数
  • 大阪から名古屋に向かって番号が大きくなる
  • 大阪方面を向いて、左側最前列の窓側が1番(2013年のダイヤ変更以降はこの座席が1A)
  • 車いす対応座席は90番台

デラックスカーのアルファベットは、1人掛けがA、2人掛けがB・Cです。

伊勢志摩ライナーのサロンカーは、ボックスごとに番号を振り、アルファベットはサロンシートがA~D、ツインシートがE・Fとなっています。

なお、JRでは号車番号、座席番号ともに西側から振られていますが、近鉄特急(名古屋発着のしまかぜ・伊勢志摩ライナーを除く)は名古屋・伊勢志摩側から1号車、2号車…なのに対して、座席番号が大阪側から振られています。吉野特急は座席番号、号車番号ともに大阪側から振られています。

A号車、B号車…

近鉄独特の表記で、途中で2方向に分かれる列車(多層建て列車、親子列車)で見られます。連番にしてしまうと乗り間違えてしまうおそれがあるほか、近鉄特急の特徴として日によって編成が変わることがあるため、その時の対応がしやすいというメリットも考えられます。

現行のダイヤでは、京都~西大寺で連結して運行する橿原神宮前・奈良行き特急のうち、奈良発着の編成がA・B号車です。

過去には、伊勢志摩方面の特急のうち、大和八木以東で連結する難波・京都発着の特急で、京都発着の編成がA~D号車でした。

このほか、臨時列車では名古屋発着の天理臨と一時期走っていた名古屋~西大寺の特急は八木まで名阪乙特急にくっついて走るためA号車、B号車…が出てくるほか、大阪発の湯の山特急も白子まで名阪乙特急にくっついていたためA号車・B号車でした。また、定期便ではなくなった大阪・京都~伊勢志摩の親子列車は大みそかの終夜運転で出てきますが、これも京都発着の編成がA号車、B号車…です。

なお、号車番号がアルファベットになっても、振り方は数字のときと同じで、1号車がA号車に変わっただけです。最大でF号車まで出てくるように用意はされていますが、最大でもD号車までです。

*1:JRは三重県内では使い物にならないというのが常識と化している

*2:30000系は色こそ汎用特急車と同じだが、もともと伊勢志摩方面への観光利用を意識して開発した経緯があることや、2階建車両があることから特別な存在とみなされている。ただし、1・4号車は汎用特急車と全く同じ構造なので、汎用特急車を連結して6両編成以上で運行することもあるが、現行ダイヤでは30000系同士の8両編成や、さらに2両連結した10両編成というのはない

*3:その割には、定期券と特急券・特別車両券の組み合わせで乗れる

*4:アーバンライナー伊勢志摩ライナーさくらライナーのデラックス料金とも異なる

*5:名古屋駅まで新幹線に乗って、名古屋で近鉄特急に乗り換えて伊勢に行く観光客は相当多い。そもそも、名古屋~伊勢志摩の特急は首都圏から新幹線でやって来る観光客を当て込んで設定されたものである

*6:アーバンライナー以降の近鉄特急のシートピッチは、22000系・16400系が1000mmである以外は1050mmにそろえられている

*7:ただし、20000系は団体専用車であり、定期便に使われる車両では30000系以来34年ぶり。なお、電算記号はしまかぜのSとビスタカーのVを組み合わせた「SV」

*8:21020系「アーバンライナーnext」は、21000系のリニューアル工事の間に抜ける車両の補充用であるとともに、リニューアルのプロトタイプという位置づけでもあるため、「伊勢志摩ライナー」を最後とする

*9:近鉄特急の時刻表では、しまかぜ・伊勢志摩ライナービスタカーアーバンライナーさくらライナーは時刻表にシンボルマークが記されている

*10:一時期、名古屋~湯の山温泉の特急は「名湯特急」と言われていたこともある

*11:阪と京が逆になっているのは、「京阪特急」だと京阪電車と混同されるため

*12:現在は大和西大寺駅の構内配線の都合上、橿原線からスイッチバックして近鉄奈良駅に入ることはできない

*13:上述の事情で、奈良駅まで行けず西大寺止まりだった

*14:小田急準特急は停車駅での差別化はされておらず、特急が多い休日に初代3000形「SE」が足りずやむなく古い車両を引っ張り出してきたために設定された

*15:上本町~伊勢中川で走っていた便が伊勢まで延長され、阪伊特急の基礎となった

*16:他の列車は運転士と車掌のペアだが、名阪甲特急は車掌の資格も持つ運転士が2人乗務しており、運転してない運転士が車掌業務を行う

*17:このダイヤ変更以前から、津に停車する名阪甲特急自体は存在しており、これらの列車に限り津で乗務員交代を行っていた

*18:京都発着の特急が高の原に、京橿特急が西ノ京に、吉野特急が古市に一部停車する程度。松阪→京都の特急が1本、榊原温泉口と高の原にも停車。阪奈特急は全て同じ停車駅

*19:大阪発着系統は甲特急の停車駅に加えて八木にも停車、名古屋発着系統は甲特急とほぼ同じで四日市に停車し津を通過、京都発着系統は京伊特急とは異なり八木~伊勢市がノンストップで五十鈴川・志摩磯部を通過

Minori Chihara Live Tour 2017 -Take The Offensive- 大阪2DAYZ

攻めるねぇ、MINORIN

いきなり日産のCMのパロディから入りましたが、みのりんの6年ぶりのZeppツアーは、予告通り「攻めまくり」でした。

みのりんライブ初参戦はD-Formationで、奈々ちゃんはオールスタンディングではやらないため、オールスタンディングのライブは初体験でした。

続きを読む

M-Smile Member Event Vol.4 -Minorin Station- 東京

みんなで歌おう!

まさか、みのりんと一緒に歌えるなんて思っていなかった大阪公演から2週間。今度は品川まで足を延ばしました。

東京では昼と夜の2部制でしたが、スケジュールの都合上昼だけにしました。

セットリスト(完成版)

10位 Lush march!!
9位 境界の彼方
8位 蒼い孤島
大阪スペシャ Perfect Energy
7位 Tomorrow's chance
6位 SELF PRODUCER
5位 会いたかった空
東京スペシャ Sunshine Flower
4位 詩人の旅
3位 Freedom Dreamer
2位 純白サンクチュアリィ
1位 Paradise Lost

ブラッシュアップ!

大阪公演から2週間空いたので、反省点を盛り込むということがなされていました。

まずは、瀬野さんと黒瀬さんの扮装ですが、Amazonプライムで「お昼休みの司会者セット」なるものがあったので購入したものの、もう1セットが見当たらなかった、とのことでした。そこで、メーカーに電話したら「厚木のMEGAドンキホーテにある」ということで買いに行ったところ、在庫が大量にあったそうな。

そして、パート分けが少し変わっていました。大阪では「全員」パートはみのりんを含めた5人で歌いましたが、東京では客席も含めて全員でした。他に、デュエットするパートもありました。

おっさん2人の“セルプロ”

6位の「SELF PRODUCER」ですが、男女2人ずつ選ばれました。大阪では男性ばかり選ばれていたのですが、東京では女性も選ばれていました。

その際、女性→男性→男性→女性という感じで選ばれていたので、みのりんの両隣りにおっさんが2人という並びになってしまいました。しかも、そのうちの片方は知り合いで、振付も完璧でした。この日のために練習してきたとのことです。どういうわけか、大阪・東京ともに今回は知り合いが多くステージに上がっていました。

しかし、おっさんが呼ばれると北新地のカラオケスナックみたいになってしまいます(^^;

ステラ繋がり

大阪と東京(昼の部)では、惜しくもランクインを逃した曲を1曲ずつ披露していました。東京では、河口湖で必ず歌う曲として知られる「Sunshine Flower」でした。河口湖以外で歌うのはReincarnation(NHKホール)以来です。

当然、全体が黄色く染まりました。しかもここは品川プリンスホテル*1ステラボール。ステラ繋がりです。今年も河口湖が楽しみです。

1位は?

行く前に、何が1位になるか考えていましたが、純白サンクチュアリィParadise Lostで1・2フィニッシュになるだろうと思っていました。ただ、実際は逆でした。

1位がパラロスということで、一昨年の奈々ちゃんのFCイベントを思い出しました。「そういえば、2007年までの曲だとエタブレが首位だったな…」
同じように、みのりんとこでランキングをやったら、パラロスが1位でした。やっぱり、パラロスはみのりん版“エタブレ”です。

2位までは過去のライブの映像を流していましたが、1位のみ今回のために撮り下ろされました。夜公演には参加できなかったのですが、全国のパセラで1ヶ月間配信されるとのことです。関西だと難波・天王寺にあるので、機会を見つけて行ってきます。

実戦投入

長らく遠征時の交通費の高騰に悩まされていました。何か安くあげられる方法はないか探していたら、「エクスプレス予約に入会しよう」というのを思いつきました。

計算してみたところ、西明石~東京・品川で14000円を切れることが判明し、さらに金券ショップで新幹線回数券を買うよりはるかに安く、年会費1080円は西明石~東京を年間1往復するだけでもとが取れてしまうというので、この日のために入会しました。

エクスプレス予約には、予約して切符を発行してから使うタイプの商品(その中にも、特急券だけのものと、乗車券込みのものがある)と、EX-ICカードを改札機に当てて乗る商品があります。西明石~東京・品川は往復割引が効く区間なので、片道ずつしか予約できないというシステムの都合上、席だけ押さえて乗車券は別に買うと安く上がります。
また、EX-ICカードの場合、特定都区市内制度は適用されず、引き続き在来線に乗る場合は乗り継ぐ駅でいったん区切って運賃を計算するため、引き続き在来線に乗る場合は席だけ押さえて普通の乗車券と組み合わせた方が安く上がることもあります。
ただ、今回は品川で在来線に乗り換えないのと、3日前までに買うと安くなる「IC早得(タイプA)」に西明石発の設定があり、往復割引を使った場合より安いため、これを使って行きました。

IC早得では西明石~東京・品川は13580円です。「のぞみ」通常期の往復割引適用後の値段は14970円なので、10%お得でした。

西明石発着の場合はこれが底値ですが、21日前までに買うとさらに安くなる「IC早得タイプ21」というのもあり、岡山から13000円で行った人がいました。

*1:1ドリンクには、プリンスホテル限定の「南魚沼のおいしい湧き水」があった。せっかくプリンスホテルに足を運んだのでこれを選んだが、なぜ琵琶湖の水じゃなかったのやら…