JR東海の駅番号

http://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000035928.pdf

中京圏の鉄道では、愛知万博の開催を機に名古屋市営地下鉄などで駅番号が導入されましたが、あのあたりでは最大手のJR東海名鉄では導入されませんでした。ただし、名鉄では2016年春から順次導入されています。また、JRグループではJR四国がいち早く駅番号を導入したのを皮切りに、JR北海道JR東日本JR西日本で導入されるようになりました。

ここへきて、JR東海も来春をめどに在来線の主要駅に駅番号を導入することを決定しました。おおむね、TOICAが使えるエリアと熱海駅米原駅*1、外国人に好評を博しているエリア内にある中央本線高山本線の6駅に導入されます。

番号の振り方

まずは路線ごとにアルファベットを振ります。一部の会社では数字だけというところもあるようですが、JR東海では大多数の他社にならって、アルファベット付きで番号を振っています。

アルファベットは全路線で2文字で、1文字目はCentralのCで統一します。2文字目は、東海道本線をAとして、東側から分岐する順にB、C、D…と続けていますが、Hは「CH」だと名鉄築港線と混同するため外しています。アルファベットの割り当て方は、JR西日本とほぼ同じです。

分岐する順番からすると、中央線と関西線(両方とも名古屋駅から分岐)でCF・CGを分け合うようにすべきものなのですが、中央線をCFとし、関西線は振るのを忘れて後から追加したような感じで「CJ」になっています。JR東海は関西線を軽視しているのでしょうか?

また、高山本線からさらに分岐する太多線は、高山本線の次ということで「CI」になっています。

番号は、大多数の他社とは異なり0から振ります。0から振る会社としては、他にはJR四国があります。
東海道本線では、熱海を0として西へ進むにつれて番号が大きくなります。ただし、袋井~磐田に新駅*2を設置する構想があるため、CA30は開業時に備えて欠番としてあります。また、JR東日本としての駅番号がない*3熱海駅にも「CA00」という番号が振られるほか、すでにJR西日本で「JR-A12*4」が割り当てられている米原駅にも「CA83」が割り当てられます。
それ以外の路線では、JR東海では在来線同士の直通運転があまり盛んではないため、分岐駅を0として振り直し、JR西日本近鉄のように分岐駅で番号をそろえるということや、名鉄のように幹線での番号しか振らないということはしません。なお、御殿場線に関しては、国府津駅JR東日本の管轄ですが、国府津から沼津に向かって番号を振っています。国府津駅電車特定区間外のため、JR東日本の駅としては番号が振られていません。

また、TOICAエリア外の6駅ですが、中央本線は名古屋から、高山本線は岐阜からの連番で番号を振ります。

以上を踏まえると、次のような感じで番号が振られます。

さらに、今回駅番号が導入されるのに合わせて、路線カラーも導入されます。ただし、JR東海の在来線の一般車両は全部同じ色ときている上に、JR西日本とは違って車両のどこかに路線カラーを表示ということも現時点ではできなさそうです。もっとも、近鉄などのように車両には表示していないというケースもあります。

*1:米原駅JR西日本の管轄のため、名古屋方面からTOICAだけを使って米原まで乗ることはできない。また、熱海駅JR東日本の管轄のため、TOICAだけで丹那トンネルをくぐることもできない

*2:ヤマハスタジアムの最寄り駅となる予定

*3:JR東日本の駅番号は、電車特定区間の駅にのみ振られている。東海道本線(湘南電車)の駅番号は大船までしか振られていない

*4:JR西日本では敦賀を1として姫路まで連番としているため、米原は12番目

*5:北海道の金山駅と区別するため、切符には中央本線の「中」を付けて「(中)金山」と印字される。昔は中央本線のホームしかなかったため、現在でも金山駅の所属線は中央本線となっている

S.C.NANA NET ファンクラブイベント VII(7)

どこまでも7にこだわり続ける人へ。

2年ぶりに、奈々さんのファンクラブイベントが開催されました。しかも、今回は記念すべき7回目です。

行く前に…

さいたまスーパーアリーナに到着すると待ち構えていたのが、ZIPANGUで「ヒメムラサキ」を歌っていたときに身につけていた、幅17.7m、小林幸子ばりの巨大衣装「お奈々鳥」でした。ちなみに、千秋楽の翌日のデイリースポーツには全体の写真が出ていました。

この日、カメラは持ってこずスマホだけ持ってきていました。が、これが幸いして、全体を1画面に収めることができました。16:9の写真が撮れるのと、いざとなったらスイングパノラマで撮れるからです。

17.7mということで、京急の電車(18m)よりちょっと短く、南海電車の「ズームカー」と同じぐらいの長さです。

事前に本人認証

会員制のイベントということで、会員本人が来ているか認証を取る必要があります。ただ、入場時にやると時間がかかって入場列が渋滞するため、午前中に前もってやっておくといいようです。

切符・会員証・本人確認書類を出して、確認が取れたら手の甲にハンコを押してもらうという感じです。以前は手首にひもを巻いていましたが、終演後外れないというクレームが多発したため、このタイプになったようです。

入場時、改めて切符とハンコを見せればOKです。東京ディズニーランドでの「再入場」制度では、いったん出るときに手にハンコを押し、再入場時にブラックライトを当てて見せるのですが、全く同じような感じです。

ナネットさんに声が付く

ステージには、巨大なナネットさん&ななちょもが鎮座していました。今回の前説はナネットさんがやっていましたが、ナネットさんの声を当てているのはもちろん奈々さんです。「みんなのアイドル、ナネットだよ!」

かつて、河口湖でみのりんがサマ鳥に生で声を当てていたように、奈々さんもその場で声を当てていたようです。そのせいか、ナネットさんとサマ鳥は声が似ているような気がしました。

デリカシーがない質問

まずは、「しゃべくり007」ならぬ「スレスレ007」です。事前に会員から募った質問に対して、奈々さんは「OK」「NG」を出し、OKなら詳しく話をするというものです。その中間もありますが、中間の場合はみっしーに耳打ちするというものです。

ただ、質問の内容は「結婚はまだか」とか、エロネタばかりで、「あんたらデリカシーっちゅーもんを知らんやろ!」と突っ込みたくなる質問ばかりでした。出す方も出す方ですが、選ぶ方も選ぶ方です。

その一方で、「選挙に出てほしいというオファーがあったら?」とか、「愛媛国体の開会式で、天皇・皇后両陛下の御前で歌ったときの心境は?」という硬い質問もありました。
ただ、政治のことはよくわからないので出馬のオファーがあっても断るとのことでしたが、もし当選したら「ライブの日は祝日にする」という公約を掲げるとのことです。
また、愛媛国体では、天皇陛下がノっているのはあまり見たことがないということで、もしかすると、今度の武道館ライブは御前ライブになるかも?と思いました。武道館と皇居は近いので、宮内庁から要請があれば…あり得ない話でもなさそうです。

あと、1つだけ、副ヘッドが出したのでは?という質問もありましたが、本人はTwitter上で否定していました。

生で奈々コレ

続いて、ファンクラブの会報の名物企画”奈々コレ”をその場で作っちゃおう!というコーナーでした。ここで、スマホタブレットを用いてシチュエーションや衣装を投票で決めるはずだったのですが、初日にトラブルを起こしてしまい、2日目は拍手で決めるという、何ともアナログな手法でやりました。

その結果、自室で彼氏シャツを着て、というシチュエーションに決まりました。なお、シャツは宮野真守*5と同じサイズとのことです。

せっかく花道(ランウェイ)があるので、神戸コレクションに出たような感じで歩いてきてポーズも決めていました。

「ダブルみずき」が贈るPremium Night

どこかで聞き覚えのある曲が流れてきたと思ったら、今度は「徹子の部屋」ならぬ「奈々の部屋」です。テレ朝の番組をパロディの題材にするあたり、奈々さんもみのりんも同類です。

土曜日のゲストは、アナゴさんとして広く知られている若本規夫でしたが、日曜日は…「ゼェーット!」この雄叫びですぐわかります。“ダブルみずき”が、アニソン界のレジェンドがそろい踏みです。アニソンの第一人者にしてレジェンド、“アニキ”こと水木一郎です。なお、奈々さんが「アニキ」というと3人(市川祥治・金本知憲水木一郎)出てきます。ここでは、アニキと書いていたら水木さんのことにします。

今回のグッズの中で、「NANAのカギ」というものがありました。これは、鍵屋さんに持って行くと実際に住宅などの鍵*6として使うことができるというもので、持ち手には奈々のNがあしらわれています。が、これがアニキには「Z」に見えるとのことです。縦にするとZに見えます。横にするとNに見えます。ZとNとはいっても、N700系の初期モデルではありません。

アニキにも「7」つながりの事項がたくさんあるようで、「2018年、芸歴50年、生誕70年」や、「“マジンガーZ”が70万枚の大ヒットを飛ばす」、「“燃えよドラゴンズ”を2002年から歌っているが、2007年に中日が日本一になる」、「誕生日は1月7日(奈々さんと2週間違い)」というのがありました。
その中で、1999年に河口湖ステラシアターで行った24時間1000曲ライブの話題もありました。今でこそ、河口湖といえばみのりんのイメージが強いのですが、みのりん以外でも結構やっていたりします。24時間持たせるコツとして、喉への負担が大きい曲と小さい曲をバランスよく歌う、というのがありました。また、24時間飲まず食わずで歌っていた上に、医師が裏で控えていたという話もありました。なお、奈々さんは本番前にはしっかり食べるとのことです。

せっかく2人そろったので、アニキの名刺代わりの曲「マジンガーZ」を2人で歌っていました。まさに、プレミアムなひとときでした。

…これを、奈々さんは彼氏シャツ姿で、アニキは「奈々の部屋」なのに土足でずっとやっていました。

ギネスに再挑戦

ギネスと言ってもビールではなく、「ギネス・ワールド・レコーズ」のことです。ただし、その「ギネス・ワールド・レコーズ」を出しているのがビールメーカーの「ギネス」です。イメージに反して、意外と飲みやすいビールなので、時折飲んでいます。ってか、ギネスってどこで買えるの?

余談はさておき、第4回のファンクラブイベントで「ギネス記録に挑戦!」というのがありました。ここでは、「世界一の人数のハンドウェイブ(7014人)」と「世界一の人数の吹き戻し(6961人)」が認定されましたが、「コンサートにおける最も騒がしい人々」は失敗しました。今回は「 - 最も騒がしい人々」に再挑戦しました。「1・2・3・4・5・6・奈々!」の「奈々」を全員で叫んで再挑戦です。

アニキも強力な助っ人としてやってきましたが、やるたびに音量が下がっていて、今回もまた失敗しました。

さいたま新都心大障害(G7・177m)

最後は、奈々さんとチェリーボーイズの障害物競走で、1周177mと、ここでも7にこだわっています。さらに、障害物も7種類です。網くぐり・缶竹馬・ぐるぐるバット・スプーン・風船割り*7平均台・足つぼでした。

ここで、4チームに分かれて1人1周ずつ走ったのですが、座席のブロックごとに応援するチームが分けられており、優勝したチームを応援していた人全員に景品が配布されるとのことです。あらかじめ割り振られており、チケットの端に印字されていました。そのせいで、客席がどこぞの競馬場のグランドスタンドみたいになってしまいました。なお、地方競馬ですが、SSAから東北線中距離電車で1駅進むと浦和競馬場があります。

しかも、勝ってしまいました。景品は後日進呈とのことです。

A 奈々さん・ゆたぽん
B しゅーちゃん・門D
C チョーさん・トムくん
D ケニー・りゅーたん

トムくんはいいお年なので、ピンポン玉だけやってあとはチョーさんが走るというようにしていました。それが功を奏して?勝てたようです。ピンポン玉がスムーズに行きました。

ハプニング発生!無事に帰れるのか?

障害物競走を終えて、着替えてライブコーナー、というはずだったのですが、奈々さんではなくみっしーが出てきました。後に奈々さんが語ったところによると、障害物競走で風船割りをして酸欠になり、なんとか完走したものの、無理やり呼吸しようとしたら喉の気管の弁がふさがって呼吸困難になり、元に戻すのに1時間かかったとのことでした。

その間、大抽選会という形で何とかつないでいましたが、なかなか戻ってこず、最終的に再開したのは8時過ぎでした。西明石に止まる「のぞみ133号」に間に合わず、最終的に途中退出という形で「のぞみ265号*8」で新大阪まで帰り、新大阪から最終の姫路行き新快速で帰りました。

その間、イライラしっぱなしでした。「中止にするんやったらはよ決断せんかい!」と思いました。
甲子園ライブで事前物販が大混乱して以来、運営の手際の悪さにはあきれ果ててしまいます。ただ、「もう障害物競走はやらない」ということで安心しました。もう40に近いので、あまり無理をさせないように。

首都圏で夜にイベントがあるときに日帰りをしてはいけない」という教訓も得ました。なので、4日後に控えたANIMAX MUSIXでは、会場(横浜アリーナ)が新横浜駅に近いのですが、長引いた時に備えて一晩泊まって行くようにプランを変更し急きょホテルを押さえました。急きょ押さえたので、喫煙室しか空いていませんでした。

待望の「上野東京ライン

今回はさいたまスーパーアリーナということで、さいたま新都心まで電車で移動します。以前は、東海道新幹線で東京駅まで行った後、京浜東北線でそのまま行くか、上野駅東北本線宇都宮線)・高崎線に乗り換えて行くしかありませんでした。京浜東北線だけだと50分近くかかり、それを避けるとなると東京駅・上野駅で2回乗り換えるという手間がかかりました。実は、さいたまスーパーアリーナでのライブ・イベントを敬遠していたのは、東京駅と上野駅で2回乗り換えるのが面倒くさかったからです。

なお、東京~上野には山手線・京浜東北線のほかに回送線が敷かれていましたが、複線の内の片方が秋葉原の手前で途切れていて東京駅の留置線に使われていたために実質的には単線で、あまり本数を確保できませんでした。そのため、一部の臨時列車などを除きあまり活用されることはなく、敷地を東北新幹線の用地に転用するため、1980年代前半に撤去されています。この線路があった時代は、名古屋から青森まで直通する急行があったり、年末年始やお盆休みには東北方面の臨時特急が品川発で運行されたり、常磐線の電車が有楽町や新橋まで乗り入れていたこともありました。

東京~上野では、山手線と京浜東北線しか走っていない時代が長く、東京駅まで東海道新幹線を利用し、上野駅から宇都宮線高崎線を利用する乗客がこの2線に集中して混雑を招くという事情があり、混雑を緩和するために先述の回送線を復活させ、宇都宮線高崎線常磐線*9を東京駅まで直通させるという計画が浮上しました。2000年代に入ると計画が具体化しましたが、東北新幹線の高架の上に高架を建設するということで、神田近辺の住民が反対運動を起こすなどして着工が大幅に遅れました。その後も東日本大震災で復旧工事を優先させるなど紆余曲折はありましたが、2015年に「上野東京ライン」として結実しました。

東海道線宇都宮線高崎線は直通運転を行い、沼津・熱海から宇都宮・高崎、果ては新前橋まで直通する列車も運行されています。その一方で、常磐線は品川までです。品川の留置線に、これまで見られなかったE531系・E657系常磐線カラーのE231系が止まっているのが見られます。

このおかげで、東京駅から乗り換えなしで、さいたまスーパーアリーナまで30分で行けました。ただ、「奈々さんのイベントに出向くのに、電車が“宇都宮”(みのりんの故郷)行きだったらどうしようか」と思ったのは内緒です。

余談ですが、帰りはしんどいのでグリーン車(東京駅まで、前売り・休日料金で570円)で移動しましたが、Suicaグリーン券ではなく磁気券を購入したため、グリーンアテンダントが巡回してきた際に、ナネットさんにグリーン券をくわえさせて渡しました。

なお、JR東海では「上野東京ライン」という名称は使わず、東京駅・品川駅に到着前は「東北・高崎・常磐線」と言っています。

*1:阪神ファンなのによみうりランドでやった

*2:第3回のみ大阪でも開催

*3:POP MASTERのMVを撮影したら、9時までかかってしまった

*4:ファンクラブイベントで、ここまででかい会場を使うのは奈々さんぐらいなのだよ

*5:2013年のアニサマSCARLET KNIGHTを一緒に歌っていた

*6:車の鍵は、最近はイモビライザーを付けているものが多いため、作るのが難しい

*7:土曜日はリンボーダンスだったが、チェリボの面々もいいお年なので、走った後腰痛になったため変更

*8:新大阪まで、2時間と22分で行けた。ということは、どこかで285km/h出している

*9:近距離の快速電車・中距離電車・特急

ANIMAX MUSIX 2017 YOKOHAMA

I AM ぢぇらっ子 -実は私、ぢぇらっ子です。-

秋冬のアニソンの祭典ときたら、今年も「ANIMAX MUSIX」です。2009年の開始当初は4組しか出ていなかったのが、回を重ねるにつれて大規模化し、大阪でもやるようになり、ここ最近では東西で16組ずつというのが通例となっています。ここ最近では、関東では横浜アリーナでやるのも通例です。

そして今回も、みのりんが出てきました。前回は大阪でしたが、今回は横浜です。さらに、angelaも出るということで、参加を決定しました。

出演者

太字は2017年大阪での出演者

セットリスト

曲名 歌手 備考
1 SPEED STAR GARNiDELiA
2 grilletto GARNiDELiA
3 アイコトバ GARNiDELiA
4 ゼロイチキセキ 南條愛乃
5 光のはじまり 南條愛乃
6 ふわふわ時間 TRUE 声出せ!セレクション
オリジナル:桜高軽音部
7 ゆりゆららららゆるゆり大事件 Wake Up, Girls!
ミルキィホームズ
声出せ!セレクション
オリジナル:七森中☆ごらく部
8 Here JUNNA
9 VAI! YA! VAI! JUNNA
10 You Only Live Once 羽多野渉
11 KING & QUEEN 羽多野渉
12 Brave Song 茅原実里 アコースティックアレンジ
ファンセレクション
オリジナル:多田葵
13 一切は物語 南條愛乃
やなぎなぎ
ファンセレクション
14 1st Love Story Luce Twinkle Wink☆
15 Fight On! Luce Twinkle Wink☆
16 RE-ILLUSION 井口裕香
17 Shining Star-☆-LOVE Letter
Glow Slowly
井口裕香 メドレー
18 僕らの戦場 JUNNA
TRUE
ファンセレクション
オリジナル:ワルキューレ
19 いけないボーダーライン JUNNA
東山奈央
ファンセレクション
オリジナル:ワルキューレ
20 ナゾ! ナゾ? Happiness!! ミルキィホームズ
21 横濱行進曲 ミルキィホームズ
22 正解はひとつ!じゃない!! ミルキィホームズ
23 DEAD OR ALIVE angela
24 シドニア angela
25 全力☆Summer! angela ここまで前半
26 7 Sense Wake Up, Girls! ここから後半
27 タチアガレ!
極上スマイル
Wake Up, Girls! メドレー
28 GLITTER DAYS Fo'xTails
29 The LiBERTY Fo'xTails
30 メリッサ 羽多野渉
Fo'xTails
実写映画化アニメ主題歌特集
オリジナル:ポルノグラフィティ
31 光るなら やなぎなぎ 実写映画化アニメ主題歌特集
オリジナル:Goose House
32 1/3の純情な感情 angela
茅原実里
実写映画化アニメ主題歌特集
オリジナル:SIAM SHADE
33 UNISONIA TRUE
34 DREAM SOLISTER TRUE
35 irony ClariS
36 ヒトリゴト ClariS
37 ラピスラズリ GARNiDELiA ファンセレクション
オリジナル:藍井エイル
38 SAKURAスキップ Luce Twinkle Wink☆ ファンセレクション
オリジナル:fourfolium
39 君の知らない物語 ClariS ファンセレクション
オリジナル:supercell
40 カラフルストーリー every♥ing!
41 笑顔でサンキュー! every♥ing!
42 True Destiny 東山奈央
43 イマココ 東山奈央
44 春擬き やなぎなぎ
45 over and over やなぎなぎ
46 here and there やなぎなぎ
47 Believe 井口裕香
GARNiDELiA
声出せ!セレクション
オリジナル:Folder5
48 檄!帝国華撃団 Wake Up, Girls! 声出せ!セレクション
オリジナル:真宮寺さくら & 帝国歌劇団
49 TESTAMENT fripSide
三森すずこ
声出せ!セレクション
オリジナル:水樹奈々
50 エガオノキミヘ 三森すずこ
51 この世界は僕らを待っていた 茅原実里
52 みちしるべ 茅原実里
53 境界の彼方 茅原実里
54 only my railgun
sister's noise
fripSide メドレー
55 clockwork planet fripSide
56 black bullet fripSide
57 Two souls -toward the truth- fripSide
58 ようこそジャパリパークへ 出演者全員 ClariS除く
オリジナル:どうぶつビスケッツ&PPP

開演前のお楽しみ

朝一番の新幹線で横浜入りしましたが、外は大雨でした。おりしも、午前中はロビーが開放されていたため、雨宿りを兼ねてロビーで過ごしていました。

恒例のDJコーナーは2階にあったのですが、蒸し暑いのでそこは避けて、協賛各社のブースを中心に見て回りました。
東芝のブースでは「FlashAir」という、無線LAN対応のSDカードの実演をやっていたほか、REGZAに接続して使うウーファーも出ていました。その商品名は、往年の東芝の大型ブラウン管テレビと同じ「バズーカ」で、あの時も迫力の重低音を売りにしていました。実際聞いてみると、耳だけではなく体全体に響きます。

そして、DAMのカラオケコーナーもありました。参加は事前申し込み不要で自由だったので、目覚まし代わりにParadise Lostを歌ってきました。

前座として、ANIMAXでやっている「アニカル部!」のMC3人(桃井はるこ加藤諒足立梨花)が出てきて、「アニソンカラオケ最強素人決定戦」の優勝者が歌うというのもありました。そこで歌っていたのが「DISCOTHEQUE(水樹奈々)」で、みのりんフル装備で行ったため、「奈々さんの曲で、みのりんブレードを振りまわす」ということになってしまいました。

※同一人物です

静岡県を代表する声優として、近年では「ラブライブ!」や「合宿免許WAO!」などで広く知られている南條愛乃。ファミマに行くと定期的になんちゃんの声が聴けます。
前回は、横浜ではソロで、大阪ではfripSideとして出演しましたが、今回は横浜だけで、両方の名義で出演していました。

ソロとfripSideで別人だと思われている節があるらしく、この場を借りて「同一人物です!」とアピールしていました。

言われてみれば、ソロではカジュアルな衣装をまとってポップな曲を歌うのが多いのに対して、fripSideとしてはサイバー感あふれる曲ばかり歌っているように思えます。

なんちゃんのトレードマークと言えばニット帽ですが、ここではかぶっていませんでした。

本当に17歳?

マクロスΔ」の美雲・ギンヌメールの歌パートで知られるJUNNA。1人のキャラクターに芝居担当と歌担当を置くのは、マクロスシリーズの伝統ともいえます。

マクロスΔで名前が売れて、そこからソロデビューという話になり、まずは「VAI! YA! VAI!」というアルバムを出してきました。リード曲と言える「VAI! YA! VAI!」を披露していましたが、どんな曲かというと…とても17歳の女の子が歌う曲とは思えません。歌詞を見ると、「これ、一歩間違えたら発禁になるで」と思いました。

また、マクロスΔの曲も、お鶴さんや奈央ぼうと一緒に歌っていました。

ただ、顔が下地紫野(2017大阪に出演)に似て膨れ気味のような。

NEXTAGEから本家へ

前回の大阪公演のあと、「ANIMAX MUSIX NEXTAGE」というのがありました。「NEXTAGE」の名の通り、次世代のアーティストを発掘する企画であります。
ここで、“誰が本家に出てほしいか”という人気投票があり、そこで選ばれたのが「Luce Twinkle Wink☆」でした。単に「ルーチェ」ということもありますが、往年のマツダ車を思い浮かべてしまう人もいます。

ここ最近よく見かけるグループアイドルなのですが、2016年に初めてアニメの曲を歌って以来、アニメソング界隈でも広く知られるようになり、今年はANIMAX MUSIXと双璧をなす“アニサマ”にも初出演を果たし、両巨頭を制覇しました。

満を持して聖地へ

探偵オペラ ミルキィホームズ」の舞台は横浜です。過去に神奈川県民ホールパシフィコ横浜でワンマンライブをやったり、横浜スタジアムで始球式をやったり、ブシロード関連のイベントで横浜アリーナに顔を出すなど、何度となく横浜でのイベントには顔を出しているようですが、ANIMAX MUSIXはこの前の大阪で初出演を果たし、そして今回、ANIMAX MUSIXでは初めて横浜にやってきました。

横浜ということで、「横濱行進曲」を披露していました。また、お約束として「横浜一の名探偵・ミルキィホームズ」と名乗るのですが、前回はこれを大阪でやっており、ようやく横浜で聞けました。

各人のイメージカラー(ピンク・ブルー・イエロー・グリーン)の大玉が、センター席*1に2個ずつ出てきて、さながら「横浜市立のどこかの小学校の運動会」でした。

アホ丸出し

前半のトリを飾ったのはangelaでした。事前に聞いていた通り、いい意味でアホ丸出しでした。なお、angelaが出てきたのは2015年の大阪以来、関東圏では2013年の2日目*2以来4年ぶりでした。

まず、オープニングでは「アホガール」を意識してバナナの着ぐるみを着て2人そろって出てきました。そして、atsukoさんはホワイトタイガーの衣装を身にまとって「ホワイトタイガーのフレンズ」と名乗っていた上に、「アッコにおまかせ!」ならぬ「atsukoにおまかせ!」までやっていました。
さすがに、関西ではないので「六甲おろし」を熱唱、ということはありませんでしたが、過去に大阪でライブをやった際、奈々さんが雨の中サックスで「六甲おろし」を演奏したことに触れて、KATSUさんが「雨が降っていたらやるつもりだった」とネタにしていたこともありました。
そのほか、他の人の名前を勝手に使うというネタや、KATSUさんのお約束「あえて言おう、KATSUであると!」までありました。

全力☆Summer!」で、センター席とアリーナ・スタンドで交互にコールを入れるところがありましたが、上から見ていると広島のスクワットコールを思い起こさせます。

みのぢぇら・ザ・ハイブリッド

2011年以来6年ぶりに、みのりんangelaが一緒に歌っていました。6年前はETERNAL BLAZEでしたが、今回は悪い意味ですっかりホットな「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」のテーマ曲でした。曲自体は何ら悪くはないのですが、時期が時期だけにあちこちで言われていました。数日前のことなので差し替えが間に合わなかったのでしょう。

みのりんangelaも好きなので、「横浜へ足を伸ばしてよかった!」と思ったコラボでした。後で友人と飲みに行った際、「これはどストライクやね」と言われました。

横浜なので日産車に例えてみると、X-TRAILハイブリッドです。みのりんとatsukoさん、二人の歌声が融合したということで選びました。もし、みのりんと奈々さんがコラボなんてことになったら、X-TRAILではなくスカイラインのハイブリッドモデルということにします。

なお、家に帰ってから気が付いたのですが、みのりんのソロで、2015年に河口湖で歌っていたことが判明しました。

卒業前に横浜へ

2011年の「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で発掘された、木戸衣吹山崎エリイ。その2人によるユニット「every♥ing!」。2014年に結成され、ANIMAX MUSIXには過去に2回出演していますが、2回とも大阪でした。

両人とも20歳になるのを機に“卒業”することが発表され、卒業前最後のステージが11月26日に控えていましたが、その前に最後のANIMAX MUSIXとして、最初で最後の横浜アリーナです。

2曲目「笑顔でサンキュー!」は、今まで応援してくれたファンへの感謝の気持ちを込めていると同時に、自らへのはなむけという意味も込められています。

なお、卒業後も各人のソロ活動は引き続き行うとのことです。

誰だ、リクエストしたのは!?

ANIMAX MUSIXの名物といえば、ファンからのリクエストに応えてカバーやコラボをやる「ファンセレクション」です。正確には、単なる「ファンセレクション」のほかに、テーマごとにまとめた「○○セレクション」というのもありますが、こちらもファンからのリクエストでやっているようです。2組指名してリクエストするのが基本ですが*3、1人だけでもOKです。

その中で、fripSideとみもりんが「TESTAMENT」を歌っていました。ここで奈々さんの曲が出ること自体が異例な上に*4、なんちゃんに至ってはシンフォギアに出ているということもあって、どう反応したらいいかわかりませんでした。と言いつつ、ここ最近はみのりんが出るときは必ず「みのりんに奈々さんの曲を歌ってほしい」と入れています。
カウントダウンが7から始まっていることや、ところどころに強引な当て字があることで、奈々さんの曲だということが一発でわかります。

なお、みもりんは当初ミルキィホームズとしてのみ出演するはずだったのですが、シークレットゲストとして、ソロでも出てきてもう1曲歌いました。その際に「ミルキィホームズのピンク」と言っており、前半でなんちゃんが「同一人物です!」といったのと似たような感じで話していました。

不朽の名作

テンションがぶちあがるアニソンと言えばいろいろありますが、1990年代の曲でぶちあがる曲といえば「檄!帝国華撃団」です。これを、Wake Up, Girls!が歌っていました。

みんながきちんとコールできているのを見て、「不朽の名作というのはこう言う曲なんやな」と思いました。

美しく、しっとりと。

みのりんは大トリの1つ前に出てきました。他の人とは違い、BGMを流しながら出てきました。これだけで、かなり貫禄があるように感じられます。何しろ、みのりんは今回のメンツの中で、fripSideangelaなどと並ぶビッグネームです。

そして、本邦初公開の曲として、年明け早々ABCテレビで放送される「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のエンディング曲「みちしるべ」を歌っていました。じっくり聞かせる曲です。当然購入は決定済みです。

その前に、ファンセレクションとして、「Brave Song」のアコースティックアレンジバージョンを披露していました。オリジナルも泣ける曲なのですが、みのりんの魅力がプラスされて、名曲の感じがさらに高まりました。

ガオー!

最後は、出演者全員で、往年のアニメの曲や、1年間で大ヒットを飛ばしたアニメの曲を合唱するのが恒例となっています。

今回は、Mステなどでもよく出てきた「けものフレンズ」から「ようこそジャパリパークへ」を、ClariS以外の全員が歌っていました。その中で「ガオー!」ポーズがあります。「みんなで六甲おろし」で、奈々さんがやっているのと同じようなポーズで、みのりんも当然やっていました。

*1:一般に言う「アリーナ席」は、横浜アリーナでは「センター席」と言い、横浜アリーナで「アリーナ席」は低い方のスタンドを指す

*2:2010年春と2013年のみ、関東で2日間やっていた

*3:例:2011年の、みのりんangelaの“エタブレ

*4:2015年大阪の、ヲ嬢と栗の子の“イノスタ”以来

近鉄電車の小ネタ集 from 塩浜

秋は「鉄道の日」が近いということもあり、各地の鉄道会社でイベントが多数行われています。

今年は、久々に近鉄電車で伊勢に行ってきたということもあり、「きんてつ鉄道まつり」に参加してきました。本来は五位堂・高安(大阪地区)の方が近いのですが、他の用事が入っていたため、2日とも予定が空いていた塩浜(名古屋地区)まで足をのばしました。

近鉄の車両メンテナンス体制

近鉄では、大がかりな検査は「検修車庫」で行います。「検修車庫」は他の鉄道会社でいう「工場」とほぼ同様のものであり、かつては近鉄でも「工場」と言っていました。これとはまた別に「高安検修センター」というのもありますが、こちらは車両の納入整備やリニューアル工事・廃車解体を行う場所です。

簡単な整備は「検車区」の「車庫」で行います。車両の所属はそれぞれの検車区となっています。近鉄で「検車区」というのは、複数の「車庫」を束ねる組織です。

太字:特急の折り返し整備を行う車庫(名張車庫は増結車両の待機場所でもある)

なお、1982年まで存在した近鉄の4工場とは、大阪線の電車を担当していた高安工場(一部機能が高安検修センターとして残存)、奈良線京都線の電車を担当していた玉川工場(若江岩田駅の近く。現・ニトリモール東大阪)、名古屋地区の電車を担当していた塩浜工場(塩浜検修車庫として現存)、南大阪線の電車を担当していた古市工場(古市車庫の隣)でした。高安・玉川・古市の3工場は五位堂検修車庫に統合されましたが、五位堂では近鉄の全車両を扱えるほどのキャパがないことや、名古屋地区の車両には抑速ブレーキがなく*1青山峠を越えられないものが多かったため、塩浜工場のみ残されました。

塩浜では養老鉄道伊賀鉄道四日市あすなろう鉄道の車両も検査をしていますが、近鉄名古屋線標準軌で、養老鉄道伊賀鉄道は1067mm、四日市あすなろう鉄道は762mm(特殊狭軌)のため、そのまま塩浜まで行くことはできません。どのようにして検査しているのかというと、養老鉄道の電車は東方操車場(桑名~播磨)で標準軌の台車に履き替えて電動貨車で塩浜へ連れて行きますが、伊賀鉄道四日市あすなろう鉄道の電車は主要部品をトラックで塩浜まで運び、車体はそれぞれの所属先で検査を受けます。なお、南大阪線の電車も同様に橿原神宮前標準軌の台車に履き替え、電動貨車で五位堂へ連れて行かれます。

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この電動貨車の真ん中に、本来の台車を載せ、標準軌の仮台車をはいた車体の前後に貨車を連結して五位堂または塩浜まで送迎します。

2種類のマスコン

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今の電車はレバーを前後に動かすタイプのマスコン、しかも無接点タイプのものが主流ですが、昔の電車はこのようなタイプのマスコンで、床下についているものを小型化したようなカム軸をレバーで回してノッチを切り替えていました。

これは、実際に奈良線の電車に付いていた日立のマスコンで、上の3つの接点が前進・後進の切り替え、下の6つの接点がノッチの切り替えです。上の3つの接点は前進・後進の切り替えレバーと連動しており、一番上の接点は「前」「後」のどちらかにすると必ずONになり、下2つの接点で前後を区別します。ハンドルのロックも兼ねており、「断」にするとハンドルが回らなくなります。

このタイプのマスコンの場合、右に回して加速するのですが、近鉄の場合は急こう配を抱える路線が多いことから、「断」から左に回す*2と抑速ブレーキがかかるようになっています。この抑速ブレーキの操作方法が、奈良線大阪線で異なります。

奈良線の場合は、抑速側が「進め」と「保ち」になっており、「進め」に入れると1段進みます*3。1段進めた状態で「保ち」にして制御器の状態をキープしておきます。低い段に入れ直す場合は、いったんOFFにして「進め」と「保ち」を何度も入れ直して目的の段まで持っていきます。

大阪線の場合は、抑速側も加速側と同じ1~5段になっており、ハンドルを入れたい段に合わせるとその段まで自動的に移行します。低い段に入れ直す場合でも、入れたい段にハンドルを合わせるだけでOKです。

なお、特急は奈良線式の「進め」「保ち」になっています*4。また、奈良線でもシリーズ21阪神1000系9000系大阪線式になっているようです。

電車の仕組みが分かる模型

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近鉄の有志が作った、2800系のカットモデルです。パンタグラフ、乗降扉、ベル、各種灯火類・照明、側面の種別表示器を実際に操作できるようになっており、見学者への説明や、研修に使えるようです。

車掌スイッチは乗降扉の開閉に使うもので、上から押し込むと開き、下から押し上げると閉まります。なお、近鉄ではJRなど他社とは異なり、スイッチが上下逆になっています。しかも、阪神電車は一般的な「下のボタンを押して開ける、上のボタンを押して閉める」タイプのため、近鉄阪神ともに車掌は両方の操作法を覚えないといけません。
近年の電車はリレー式の車掌スイッチが付いており、開閉ボタンは単なる押しボタンですが、ここで実演されていたのは昔ながらの直接自動ドアの回路を操作するタイプで、押すのに力がいります。また、何度も操作すると電極がすり減るため、定期的なメンテナンスが欠かせません。また、当然ながら操作する際には鍵を差し込んで回し、ロックを解除しなければなりません。
ドアを閉めると、本来はメーターパネルについている「戸閉」ランプが付きます。かつてのJRではこのランプが付けば出発できましたが、近鉄など私鉄では車掌が発車に支障がないことを確認し、ベルやブザーを鳴らして運転士に知らせて初めて出発できます。

そのベルも付いています。前後の乗務員室間で合図を出すためのベルは、100円ショップでも手に入るような卓上ベルと同じ音がします。なお、近鉄のベルは「チーン」ですが、阪神電車などは自転車のベルと同じ音がします。もうひとつ、インターホンのベルもあり、こちらは火災報知機のような音がします。

上についている大きな箱は、テールライト・種別標識灯・車内照明のスイッチです。ヘッドライトのスイッチはまた別につまみがあります。
「種別灯(準)」と「種別灯(急)」は、それぞれ下にある白色灯のスイッチで、(準)は電車の正面に向かって左側、(急)は右側です。近鉄での点灯パターンは以下の通りです。

種別灯(準) 種別灯(急) 種別
消灯 消灯 普通
点灯 消灯 準急・区間準急
消灯 点灯 急行・区間急行
点灯 点灯 快速急行・特急・鮮魚列車・回送・試運転

「標識灯(赤)」は、色が示す通りテールライトのスイッチで、ONにすると両方とも点灯します。なお、近鉄では車庫内で車両の入れ替えを行う際、その標識として種別標識灯とテールライトを全部点灯させるようになっています。スイッチが「尾灯」になっていないのはそのためです。
この3つのスイッチは、上に押しこむとON、下に引くとOFFになります。

「電灯制御」は車内照明のスイッチで、押して手を離すと戻ってきます。「入」を押すと点灯し、「切」を押すと消灯します。同じ形なので間違えないよう、「切」のスイッチを青くして区別しています。

ドアの右上にある4つのランプは、1970年代の近鉄電車でおなじみだった行燈式の種別表示器です。当時の電車は方向幕は正面だけで、側面は行燈で種別だけ表示していました。普通・準急・急行・区間快速の4種別に対応していましたが、1980年代から側面にも方向幕が整備され、行燈を付けていた車両も側面に方向幕を装備するようになったため、現在では見られません。もっとも、このタイプの種別表示器は枠が4つしかなく、奈良線では6種類(普通・区間準急・準急・急行・快速急行近鉄)・快速急行阪神))必要になるため、今では使い物になりません。
鋼製*5の電車は種別表示器の跡が埋め込まれ、塗装されているのでどこにあったかわかりませんが、3000系はステンレスの板でふさいだだけだったため、種別表示器の跡が残っていました。

「パンタ」と書かれた箱は、パンタグラフの昇降スイッチです。「上」を押すと上がり、「下」を押すと折り畳まれます。「上」にだけカバーがされているのは、電気機器の整備作業中にうっかりパンタグラフを上げて通電させることによる感電事故を防ぐためです。

方向幕

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基本的に、近鉄の通勤電車の方向幕はどこでも同じタイプで、路線によって中身が異なるぐらいです。ただし、設定方法が独特で、「シリーズ21」以前の通勤電車では種別と行き先が一体化しているのにもかかわらず、種別と行き先の設定スイッチが別になっています。通常、種別と行き先が一体化している場合は、組み合わせごとに番号が振られていますが、近鉄の方向幕は種別には番号が振られておらず(普通・準急・急行・区間快速快速急行・回送・貸切・試運転から選択)、行き先にのみ番号が振られています。「この車両○○まで」が付いたものにも番号が振られています。
ただし、存在しない組み合わせに設定すると設定器の「故障」ランプがついて幕が動きません。シリーズ21は種別と行き先の表示が完全に独立しているため、幕では表示できなかった組み合わせが出せてしまいます。

2004年までは、近鉄旧国名(大和・河内・伊勢・伊賀・志摩)*6が付いた駅は一部を除き旧国名を省略して表示していました。例えば、伊勢中川は単に「中川」と表示していました。ただし例外もあり、そのうちの一つがここで出てきている「伊賀神戸」です。兵庫県の「神戸」と間違えやすいことや、かつては鈴鹿市駅が「伊勢神戸」だったため、伊勢と伊賀を区別するという意味合いが込められています。また、伊勢若松に至っては「伊勢」が大きいものと小さいものが混在していますが、単に「若松」とだけ書いたものは存在しません。
新種別などの追加を伴わない限り、一斉に交換せず傷んだものだけ検査のついでに交換しているため、編成中で混在していることもあります。伊勢中川行きの電車で、1両だけ「伊勢中川」であとは「中川」だった、ということもありました。

展示されていたものは、2004年に旧国名付きの表記に改められてから2009年に上本町駅が「大阪上本町」に改称される以前のもので、まだ「区間準急」はなく、上本町行きは単に「上本町」とだけ表示していました。

神戸三宮行きの方向幕は、近鉄の流儀にならうと「神戸」は小さく書かなければならないのですが、伊賀神戸河内長野と同じように全部同じ大きさで書かれています。

近鉄の方向幕の書き方

なぜ旧国名も含めた正式な表記にしたのかというと、スマホなどを用いて路線検索を行う際、省略した駅名をそのまま打ち込んで全然違う駅名が出てきてしまう*7などといったことが多発したためです。近鉄の窓口で切符を買う際には問題はないのですが、それ以外では混乱することが多かったため、正式な表記にしたようです。

5200系

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近鉄大阪線名古屋線・伊勢志摩エリアでは長距離の急行が運行されており*8、そのための車両として2610系などといったクロスシート・トイレ付の電車が投入されていました。ただ、座席が狭いと不評だったことや、トイレ付のロングシート車が長距離急行に投入されたこともあり、「もっと質の高い車両を投入してほしい」という声が上がっていました。そこで投入されたのが5200系です。

大阪線などの長距離急行に使う車両の伝統を守り、トイレ付のクロスシート車となっていますが、2610系とは異なり3ドアで、座席は転換クロスシート*9が装備されています。どこかで見たような電車だと思った方は鋭い。実は、JR西日本221系を開発する際、近畿車輛からこの5200系のコンセプトがほぼそのまま持ち込まれたと言われています。

先に登場した3200系・6400系は車体がアルミ合金ですが、5200系は側面に大型の連続窓、運転席に曲面ガラスを採用しており、開口部が大きいため、強度確保の目的で車体は鋼製に戻されています。また、ドアの位置は両端は4ドア車にそろえられており、中央に1か所ドアが配されています。3200系以降の車両なので、窓の並びは前後対称になっています。*10

顔は8810系以降の通勤電車に近いものですが、正面の窓周りが1段ふくらんでおり、その部分が近鉄マルーンに塗られています。種別標識灯とテールランプは、21000系以降の特急と同じくLEDのものを使って共用しています。

上質な車内設備は好評を博しましたが、3ドアということで4ドアを標準とする近鉄の通勤電車の中では浮いた存在になってしまい、大阪側ではラッシュ時の混雑がひどすぎて使いづらいため、大部分が名古屋線に配置されています。名古屋線では名古屋方に2両編成を連結し*11、6両編成で急行として使うことが多いようです。近鉄で3ドアの電車は5200系以外存在しないため*12、3ドア車と4ドア車が混在してしまいます。名古屋地区では一般列車の乗車位置表示がないため*13、5200系が見えると並び直し、ということもあるようです。

上記のとおり、扱いづらい車両だったことから13編成で製造を終了し、後継車種として、クロスシート車の居住性とロングシート車の輸送力を併せ持つ4ドア車の5800系「L/Cカー」にバトンタッチしました。大阪線以上にラッシュ時の混雑がひどい奈良線でも、昼間や休日にはクロスシート車が望まれていたことから、5800系・5820系が投入されています。

メインは大阪線名古屋線の長距離急行ですが、団体列車としての使用も考慮されており、京都や天理に顔を出したこともあるほか、今年はついに難波までやってきました。団体列車として使用することを念頭に置いて、座席番号が振られています。大阪・名古屋方*14が1番で、山側がAです。2013年3月のダイヤ変更までは、これまた特急と同じく現在の1Aに相当する席が1番で、窓側が奇数、通路側が偶数でした。かつては225系などにあるような補助席があり、補助席にも番号が振られていましたが*15、更新工事を受けた際に撤去されました。撤去した跡には、5820系のものを大きくしたような仕切りが付いています。

これまで5000番台は狭軌の車両に割り当てられていましたが、5200系からは標準軌路線の長距離急行用クロスシート車の番号になりました。近鉄では、千の位の数字でだいたいどんな車両かわかります。

(3桁) 独立支線用
1・2 大阪線名古屋線
3 烏丸線直通用
4 (縁起が悪いので欠番)
5 標準軌路線の急行用クロスシート
6 南大阪線
7 けいはんな線
8・9 奈良線京都線

かつては5・6は狭軌の車両に割り当てられていたため、名古屋線でも6000番台の車両*16が走っていたことがありました。また、近年では奈良線大阪線で車両の共通化が可能な限り進められたこともあり、1000番台の車両が奈良線に新造投入されたり、本来は奈良線向けの車両であった8810系や9000系大阪線名古屋線に転属したりしています。

なお、千の位のルールは一部が特急用車両にも適用されているようで、南大阪線の特急用車両は千の位が必ず「6」になっているほか、かつての京都線橿原線向け小型特急車*17は18000系・18200系・18400系でした。

特殊狭軌

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日本では、線路の幅は4種類あります。

762mm

日本の鉄道路線の大部分は、1067mmもしくは1435mmで敷設されており、近鉄だと奈良線大阪線などといった主要幹線は1435mm、南大阪線吉野線国鉄との貨物列車の直通(吉野杉を運んでいた)を行っていたため1067mmで敷設されています。

しかし、これよりさらに狭い幅で敷設されたものもありました。この場合、線路の幅は762mmであることが多く、これらの路線を近鉄では「特殊狭軌線」と言っていました。一般には「軽便鉄道」などと言われています。

今では、営業路線としては三重県内の3路線と黒部峡谷鉄道だけになってしまいましたが、昔は国鉄でも特殊狭軌線が多数存在しました。ただ、国鉄線として敷設する場合は最初から1067mmで敷設すると定められており、ほとんどが私鉄を買収して国有化した路線で、1950年には全て1067mmに改軌されてなくなりました。

三重県内の762mm幅のまま残っている私鉄も、もともとは地場系で、戦時統合で三重交通近鉄系のバス会社として現存)に合併させられ、鉄道部門を「三重電気鉄道」に分社化し、近鉄に合併されたという経緯をたどっています。現在では3路線だけですが、過去には5路線ありました。

このほか、三重交通鉄道路線としては神都線・志摩線がありましたが、この2路線は1067mmであり、神都線は1961年に全廃、志摩線は大阪・名古屋から特急を直通させるため1970年に標準軌化されました。

かつて、湯の山線も762mm幅だった時代は、内部線・八王子線と合わせて「三重線」と呼ばれており直通運転も行っていましたが、1964年に標準軌化して名古屋から直通列車(かつては大阪からの特急もあった)を走らせるようになりました。三重電気鉄道が近鉄に合併されたのは1965年であり、近鉄に受け継がれた時点では、北勢線・内部線・八王子線が762mmで残されていました。そのため、2015年3月まで、近鉄には3種類のゲージ(1435mm・1067mm・762mm)があったということになります。2種類であれば近鉄以外でもよく見かけますが*18、3種類ともなると近鉄が唯一でした。

名駅のそばには、3種類のゲージ(1435mm:近鉄名古屋線、1067mm:JR東海関西本線、762mm:三岐鉄道北勢線)の線路を一気に横断できる踏切があります。

762mmという特殊な規格のため、近鉄の他の路線などで普及しているカルダンドライブが導入できず*19、大手16社の中で唯一吊り掛け式の電車が残っています。
また、線路が狭いのに合わせて車体も小さくなっています。車体幅はランクルや日産サファリなどといった大型SUVよりちょっと広い程度で、座席は路線バスのような1人掛けのものが付いています。内部線・八王子線の260系は経営移管後に大規模なリニューアルが行われ(一部は新造して置き換え)、冷房が付くなど、ほとんど放置状態だった近鉄時代に比べて快適性が大幅に向上しました。なお、クーラーは車体(屋根)補強の手間を省くことや、重心が高くならないようにするため、かつてJR九州で見られた床置きタイプのものが設置されています。

2013系「つどい」

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2013年の伊勢神宮式年遷宮にあたって、近鉄では大プロジェクトが動き出しました。古くからお伊勢参りの足として近鉄線がよく利用されており、1953年以来式年遷宮の時期が近付くと、毎回のように伊勢方面への輸送力増強プロジェクトが動き出すほどです。また、東海道新幹線の開通後は、名阪特急が中心だった特急の営業戦略を、首都圏から名古屋経由、西日本各地から京都経由*20で伊勢への観光需要に応えるという方針にシフトさせた歴史もあります。

2013年の伊勢神宮式年遷宮に伴うプロジェクトは、ひとつは50000系「しまかぜ」の投入、もうひとつは23000系「伊勢志摩ライナー」のリニューアル工事で、このほかに伊勢市駅宇治山田駅のリニューアルも実施されたほか、式年遷宮を直前に控えた2013年3月のダイヤ変更では、鶴橋・津~宇治山田がノンストップだった甲特急も伊勢市駅に停車するようになりました。

しかし、これだけにはとどまりませんでした。お伊勢参りに来た乗客を、今度はもっと南へ、志摩地区へ誘致するため、伊勢市~賢島で「しまかぜ」とは別の観光列車を走らせようというプロジェクトも動いていました。

50000系は新造しましたが、伊勢市~賢島の観光列車は2000系を改造して投入することになり、2013年の式年遷宮にちなんで「2013」が入っている編成が選ばれました。もう一つ理由があり、この編成は2000系で唯一トイレが付いているためです。伊勢市方からク2107-モ2013-モ2014という編成になっています。見ての通り、モ2013は中間車です。

なお、2000系はどのような車両なのかというと、1978年に名古屋線の旧性能車を全廃するために、2代目「ビスタカー」10100系の機器を流用し、当時の典型的な近鉄電車の車体を載せて作られたものです。案外知られていないのですが、モーターは山陽電車でも同じもの(三菱MB-3020)が長らく使われていました。3両編成なので、主に名古屋線の普通・準急で使用されているほか、一部の編成はワンマン運転にも対応しており、湯の山線鈴鹿線で使用されています。名古屋線に全車が配置されていますが、大阪線名古屋線で共通化された後の車両ということで抑速ブレーキを装備しているため、青山峠を越えて上本町まで行けます。「つどい」に改造後は京都や難波、果ては桜川まで顔を出したこともありました。

改造内容は、ク2107が子供向けスペースと座席、モ2013がイベントスペースとバーカウンター、モ2014が座席と子供向け運転台です。運転台は子供向けとなっていますが、廃車になった1810系から本物のマスコンブレーキ弁が流用されました。

座席は全て窓側を向いており、伊勢湾・英虞湾を眺めつつ飲食ができます。バーカウンターでは、志摩地区の特産品をふんだんに使った料理・おつまみが提供されます。また、車内で販売もされます。

日によっては、海女さん、志摩地区のゆるキャラ、パルケエスパーニャのマスコット*21も乗り込んで、トークショーや撮影会など様々なイベントが行われます。

原則として、休日に2往復運行します。それ以外の日には他の路線で貸し切り列車として運行されることがあり、直近では「きんてつ鉄道まつり2017」の塩浜会場へのツアー列車として鳥羽から運行されたほか、塩浜から白塚まで洗車体験をしに行くツアーも行われました。

*1:かつては名古屋線大阪線でも車両が分けられており、きつい勾配がない名古屋線では抑速ブレーキは不要とみなされて省略されていた

*2:ちなみに、シリーズ21や近年の特急車は前に押し込む

*3:かつては「進め」に入れている間はずっと制御器が作動していたが、制御器の個体差やコンディションによって段が揃わず、走行に支障をきたすため1段ずつ進む現在の方式に変えられた

*4:難波~上本町では、基本的に奈良線の電車のみ乗り入れるようになっているほか、日本橋から上本町へ向かって上り急こう配が存在する。故障して地上に上がれないという事態を避けるため、奈良線の電車と連結して走れるよう、特急は奈良線の電車と向き・マスコンの操作方法が揃えられている

*5:車体がアルミ合金になった時代には、すでに側面にも方向幕を付けるようになっていた

*6:近鉄尾張地方も通るが、「尾張○○」駅はない

*7:例:大和西大寺のつもりで単に「西大寺」と打ち込んだら、岡山県西大寺駅が出てきてしまった

*8:かつては上本町~鳥羽、150kmを走破する快速急行があった。急行は今でもあるらしい

*9:各車両の一番端の席以外は全席転換できる

*10:昔の近鉄の通勤電車は、中間車では大阪方と奈良・伊勢方で車端部の長さが異なっていた。長距離急行用の車両では長い方にトイレが付いていた。ただし、大阪方の車端部が長いものと奈良・伊勢方の車端部が長いものが混在している。近鉄では2両編成を複数組み合わせて編成を長くすることがよく行われているが、中間車の窓のレイアウトを前後非対称にすることで、先頭車だけで編成を組んだときとドアの位置がそろうようになっている

*11:名古屋駅の構造上、改札に近い車両が混む。改札から離すため

*12:初期の大型高性能車で、3ドアか4ドアのどちらがよいか比較検討するため、大阪線に3ドアの1460系、南大阪線に4ドアの6800系が投入されたが、そのときも「4ドアの方がよい」ということになった。そのため、近鉄の大型高性能車で3ドア車はモ1450形・1460系・5200系のみ

*13:近鉄では特急以外乗車位置表示がない。ただし例外として、名古屋駅には付いているほか、奈良線近鉄電車と阪神電車でドアの数・位置が違う上に、優先座席の位置も違うため(近鉄は奈良方、阪神は神戸方)全駅で付いている

*14:特急とは異なり、伊勢中川の短絡線を通らないため、山田線・鳥羽線志摩線では発着地にかかわらず向きは同じ

*15:通常の座席とは別建てで振られていた

*16:標準軌化の前後には、6000番台でありながら標準軌の台車を装着して新造されたものもあった

*17:1973年までは、京都線橿原線の車両限界・建築限界が大阪線より小さかったため、東海道新幹線の開通に当たって京都発着の特急を設定する際は小型の特急用車両を必要としていた。18000系・18200系は幅2590mm・全長18640mm、18400系は橿原線の限界拡大工事が一部完成していたため可能な限り大型化して幅2670mm、全長20640mmになった。橿原線の工事が完成した後、標準軌路線の特急車はすべて共通化された

*18:例:京王電鉄。1372mmの京王線系統と、1067mmの井の頭線

*19:「垂直カルダン」なるシステムが開発され、762mmの車両でも使えないかと模索していたようだが、構造が複雑すぎ、さらに複雑なシステムを狭い床下に押し込んだために整備性が悪く実用にならなかった

*20:近鉄では、大阪側で新幹線とは接続していないが、その代わり?京都駅で接続している

*21:ビスタカーのデッキにぬいぐるみが飾ってあるほか、かつてはビスタカーの両先頭車の帯が「V」になっているところの上にステッカーを貼って立たせていた。

祝・神戸市営交通100周年

1917年に、神戸市内で路面電車を走らせていた「神戸電気」を神戸市が買収して「神戸市電気局」としたことから、神戸市の市営交通事業は始まりました。あれから、今日でまる100年を迎えます。

1910年 神戸電気鉄道*1が春日野*2~滝道~楠公*3兵庫駅前で路面電車を開業
1913年 神戸電気鉄道と神戸電燈が合併し「神戸電気」となる
1917年 神戸市が神戸電気を買収し「神戸市電気局」となる
1930年 須磨駅~桜口*4で市営バス営業開始
1942年 電力事業を関西電力に譲渡し、「神戸市交通局」となる
1955年 摩耶ロープウェイ開通
1957年 須磨海浜水族園を開園*5
1971年 神戸市電全廃
1977年 地下鉄西神線(新長田~名谷)開業
1983年 地下鉄山手線(大倉山~新長田)開業
(1985年に新神戸まで延伸し全通)
1987年 地下鉄西神延伸線名谷西神中央)開業
(1985年に名谷~学園都市が先行開業)
1995年 阪神・淡路大震災
1999年 スルッとKANSAI」加入
2001年 地下鉄海岸線開業
2006年 地下鉄でPiTaPaICOCAの利用開始
2008年 市バスでPiTaPaICOCAの利用開始
2013年 地下鉄でSuicaなどのICカード利用開始
2017年 ICOCA(定期券含む)の販売開始
市バスでSuicaなどのICカード利用開始
2018年度 西神・山手線に新型車両を導入

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市電

神戸の路面電車の始まりは、1910年に春日野~兵庫駅前で開業したのが始まりでした。神戸における市内電車の計画は明治時代からありましたが、線路を引くのに必要な道路幅が足りないなどという理由などでなかなか具体化せずにいました。また、建設が具体化してからも、市営でいくか民営でいくか決めかねていましたが、神戸市の財政の都合で民営でやることもやむを得ないということになり、将来神戸市が買収を申し出たときは応じるという条件で民営の業者に任せることになりました。いざ具体化したとなると、開業にこぎつけた神戸電気鉄道のほかにも5社が軌道特許を出願する事態となったほか、阪神電車*6も三宮からメリケン波止場まで延伸するという計画を出してきました。結局、神戸市と出願した業者間で調整を行い、神戸電気鉄道に一本化することでまとまりました。

開業当初の電車の色は、阪急電車を思わせる茶色でしたが、1935年から現在でも地下鉄で採用されているグリーンのツートンカラーになりました。

全盛期は、東は石屋川から西は須磨まで*735.6kmにもわたる路線網を張り巡らせていましたが、昭和40年代に入ると自動車が普及してきて円滑な運行の妨げになるほか、赤字問題も噴出し、1966年から路線網の縮小が始まりました。その間に、1968年には神戸高速鉄道が開業し、神戸市交通事業審議会で地下鉄の建設が答申されました。

市電が全廃されてから40年余りたちますが、ボディカラーと座席の布地の色、さらに車両番号のフォントは地下鉄(西神・山手線)に受け継がれています。

市バス

1930年に須磨駅前~桜口で開業して始まります。ちなみに、「桜口」バス停は今でも「灘区役所前(桜口)」として存在しているようです。なお、阪神バス阪神国道線の生まれ変わり)では「灘区役所前(八幡桜口)」です。

そもそも、神戸での市バスの始まりは「市電の速達化」が目的でした。これは、神戸の市街地が極端に東西に長く、市電では移動に時間がかかるという事情があり、市電より速い交通機関が必要となったためでした。もし、市電で急行運転をするとなれば、こまめに追い越しができる電停を置く必要がありますが、これは非常に手間がかかるため、市電を緩行線、市バスを急行線としてすみわけをしようとしていました。これらは後に「急行系統」として発展します。

ただし、最初の運行区間のうち三宮~桜口では市電とは並行していませんでした。これは、神戸市もこの区間の特許を取得しようとしていたものの阪神国道電軌に特許が下りてしまい、阪神国道線を先に敷設されてしまったため*8、市営交通をバスという形で提供せざるを得なかったためでした*9。同じような事例は兵庫駅~西代でも見られ、こちらはかつて山陽電車が併用軌道で走っていました。

また、神戸は市街地まで山が迫ってきているという地形のため、山麓エリアと市街地を結ぶ路線も多数開設されました。これは、当時の電車の性能では急こう配を登れないという事情からでした。

後に市電のネットワークが縮小されると、これに代わるバス路線が多数開設されましたが、こちらも地下鉄の整備に伴い一部は再編されています。

また、かつては明石駅大久保駅など明石市内へ乗り入れる路線もありましたが、21世紀に入って民間のバス会社に移管され、明石市内に乗り入れる路線は一部を除いてなくなりました。

地下鉄

もともと、神戸では他の大都市にある地下鉄がなく、神戸高速鉄道が実質的にその代わりとなっていました。本来の目的は神戸市内に乗り入れている私鉄の接続ですが、市電の一部の代わりという扱いにもなっています。乗り入れ4社と神戸市の第3セクターだったのはこの理由によるものです。

その一方で、神戸高速鉄道とは別に市営地下鉄の構想もあり、須磨ニュータウンと神戸の都心を結ぶ路線として形が作られました。その後、西神ニュータウンから都心へのアクセスや、新幹線のフィーダー輸送という役目も与えられました。

市営交通100周年と同時に、今年は西神線名谷~新長田)が開通して40周年、西神中央まで延伸して全線開業して30周年という節目の年でもあります。この節目の年に、開業以来初となる車両の全面置き換えが決定し、2018年度より投入開始予定です。

余談ですが、西神延伸線が独立した路線名になっているのは、この区間は地下鉄ではなくニュータウン鉄道として補助金を受けているためです。また、新幹線より高いところを走っている地下鉄は全国でもここだけです。

*1:神戸電鉄の旧社名と同じだが関係はない。当時神戸電鉄は開業すらしておらず、開業当初の社名は「神戸有馬電気鉄道」だった

*2:後の春日野道

*3:湊川神社

*4:現在の灘区役所近辺で、当時は神戸市の東端だった。同じように、西端は須磨だった

*5:意外なようだが、1968年までは交通局が所管していた

*6:阪神間にはすでに東海道本線が通っており、地方鉄道としては免許が下りず、軌道として特許を出願して開業にこぎつけた

*7:垂水区を除き、おおむね終戦後の神戸市の範囲内に収まる。現在の北区・東灘区・西区は戦後になって編入された地域である

*8:脇浜町、現在のHAT神戸のあたりで神戸市電と線路はつながっていたが、相互直通は行わなかった

*9:後に阪神国道線は全廃され、阪神バスに転換されたため、神戸市バスと阪神バスが同じところを走っている