音だけで電話がかかる

名探偵コナン 戦慄の楽譜』のワンシーンで、ボタンを押さずに110番通報するシーンがあるが、本当にそんなことはできるのか、というネタが昨夜のナイトスクープに送られてきました。

これは、プッシュホンの原理さえ分かれば実際にできるというのはすぐわかります。プッシュホンの信号は2つの音の重ね合わせで表現されており、受話器から聞こえてくる音はこの合成された2つの音なのです。携帯電話のキー操作音でも、数字キーに限り同じ音がします。この音のことを「DTMF(Dial Tone Multi Frequency)信号」といい、高周波と低周波の2つの音を合成してあらわされます。

↓低音/高音→ 1209Hz 1336Hz 1477Hz
697Hz 1 2 3
770Hz 4 5 6
852Hz 7 8 9
941Hz 0 #

通常は、電話機のボタンを押して発生させて回線に流すことでダイヤルするのですが、ハンドセットのマイクから同じ周波数の音を流しても、音が信号として回線に流れることに変わりはないため、ボタンを押さずにダイヤルできてしまうのです。この原理を応用したものが「DTMFダイヤラー」で、あらかじめ電話番号を登録しておき、小さなスピーカーをマイクにあてて操作すると指定した相手に電話がかかるというものです。最近でも、iPhoneのアプリとして提供されています。

これに関連して、初期の“テレフォンショッキング”ではお友達紹介で電話をかける際にプッシュホンの音が流れていましたが、さっきとは逆に音から数字を割り出すことができるために、電話番号がばれてしまいいたずら電話がかかってきた、なんてことがあったそうな。

ちなみに、ダイヤル式の電話機ではどうするのかというと、回線に流すパルスの回数を変えることによって数字を区別しています。現在の押しボタン式電話機はトーン回線とパルス回線の両方に対応していますが、パルス回線につないで使う場合ダイヤル式電話機と同じ信号を擬似的に出すようになっています。