降りたくなくなる特急

「降りたくなくなる特急に」――。近畿日本鉄道は、20年ごとに社殿を建て替える伊勢神宮三重県伊勢市)の「式年遷宮」に合わせ、2013年までに新しい観光特急車両を投入する。子どもが自由に遊べる「キッズルーム」や展望車、ビュッフェを検討。高速道路の大幅割引やJRとの競合で減少する特急需要を開拓する考えだ。 大阪、京都、名古屋各市の主要駅と三重県伊勢志摩方面を結ぶ特急列車への投入を計画している。利用客1万人を対象にした車内アンケートをもとに、子どもの遊びスペースを設ける一方、これまで効率を優先して平日は取りやめていた車内販売の復活やビュッフェの新設で、大人がお酒を飲めるメリットも前面に打ち出す考えだ。 現在は縦4列が基本の座席を3列や2列にして幅をゆったりさせたり、個室を設けたりすることも想定している。 アンケートでは、青や白を使った流線形の外観を求める声が多く、車両デザインも改める。小林哲也社長は「(新幹線の速さや車の割安感と)同じ土俵で戦っても勝ち目はないので、全く新しいコンセプトの車両を導入したい」と話している。式年遷宮は20年に一度、社殿を造り替える大祭。13年10月から新しい社殿に参拝できる予定だ。

(「朝日新聞」2010年2月14日)

近鉄は、2013年の第62回伊勢神宮式年遷宮に合わせ、伊勢志摩観光向けに新型観光特急を投入する方針を決めた。伊勢志摩観光は同社の観光事業の主力で、現在、新しい発想に基づいた「夢のある観光特急」づくりを目指しており、名古屋や関西方面からの観光客のけん引力にする考えだ。

現行の観光特急「伊勢志摩ライナー」は1994年3月、志摩スペイン村の開業に合わせ、大阪、名古屋方面からの運行で導入した23000系。6両編成でデラックスカーやサロンカーも連結している。

 特急は同社の運賃収入の重要な部分を占めるが、近年、収益力が低下。伊勢志摩観光の特急利用者数は、2008年度は前年比で3%減と減少傾向を示した。観光対策のてこ入れで、車内設備やサービスの見直しも迫られ「全く新しいコンセプト」(同社)による新型車両で活性化を狙う。

 これまでに観光客ら1万人に「理想の特急」についてのアンケートを実施し、需要ニーズを調査。旅行代理店や観光事業者らにも聞き取りし、改善点などを把握した。

 寄せられた意見は、座席の快適性のほか、個室や展望車、ビュッフェなどの設置や客室乗務員による充実したサービスなど多様だが、車両に付加価値を求める声が多かった。近鉄の担当者は、今後の車両製造や運営に反映させ「他社にない新しい特急像を練り上げ、観光特急に新風を吹き込みたい」と話している。

(「中日新聞」2010年1月21日)

実質的には次世代型の「伊勢志摩ライナー」(23020系?)ということであります。現在投入されている22600系はあくまでも汎用車両であります。

鉄道会社のイメージ戦略として「乗りたいと思える車両を作る」というのがあります。それは特急料金がいるかいらないかということには関係ないのですが、特急料金を取る以上重要な課題であります。