京都市営地下鉄の運賃不整合問題

京都市営地下鉄では、乗り入れ先の他社にも同じ地点に駅があるため、運賃計算上の問題を抱えている駅が2つ(烏丸線東西線に1つずつ)もあります。

烏丸線の場合

烏丸線の場合、近鉄京都線の竹田以南から京都駅へ行く場合にこの問題が発生します。

京都駅からの乗り入れはそもそも不可能で*1竹田駅から乗り入れることになりましたが、京都〜竹田が近鉄と重複してしまいました。

当然ながら近鉄だけのほうが安く、通常は乗り継ぎ割引はありませんが(竹田までの近鉄の運賃+250円)一定区間を乗車する場合に限り割引があります。

近鉄の主要駅から京都駅までの運賃)

発駅 竹田から烏丸線 近鉄のみ利用
竹田 250円 200円
近鉄丹波橋 390円 200円
新田辺 590円 390円
大和西大寺 790円 540円
近鉄奈良 860円 610円
大和八木 1050円 860円
橿原神宮前 1050円 860円

十条駅烏丸線近鉄の両方にあり、同じような問題を抱えていますが、こちらはどういうわけか(離れているからか?)あまりやり玉に挙げられることはありません。

東西線の場合

東西線の場合、都心(烏丸線近鉄京都線竹田以南も含む)から山科駅で降りる場合にこの問題が発生します。

最初期の計画では、京津線は廃止せず山科以西の線路を北側に付け替えるという話も出ていましたが、これをめぐって京都市と京阪がもめたため、山科から東西線に乗り入れるということで一度は決着したものの、線形の問題(御陵から東海道本線の北側を走り、JR山科駅の北で南側にカーブして東海道本線の下を抜けるため、山科で東西線京津線が直角に交差してしまう)で山科からの乗り入れが不可能になり、やむなく御陵から乗り入れるよう計画が変更されました。

そのため、地下鉄の山科駅京阪山科駅が併存してしまいます。どちらかに駅を設置しなければ済む話ですが、京阪山科駅は古くから存在する駅で、地上にあるためJRに乗り換える場合は便利なのでなくなると困ります。

地下鉄の山科駅までなら、地下鉄の運賃だけで済みますが、京阪山科まで乗る場合は御陵までの地下鉄の運賃+160円…にはなりません。乗り継ぎ割引があります。本来なら三条京阪京阪山科は410円(御陵まで250円)かかるはずですが、340円になっています。ただし、乗り継ぎ割引が適用されるのは京津線と重複していた区間(三条京阪〜蹴上)から乗る場合のみ*2で、それ以外の駅や烏丸線から乗る場合は単純に合計した額を取られます。

いずれにせよ「地下鉄だけ」と「御陵から京津線」では運賃が異なるのですが、それを知らずに京阪山科まで乗ってしまう乗客が多く、京阪山科駅では地下鉄山科駅までの切符で間違えて乗ってしまった乗客が運賃を精算している光景が見られます。

また山科駅の場合、以前は京阪線からぶっ通しの切符を買うことができた*3のが東西線開通後は三条で買い直さないといけなくなったという問題も出てしまいました。

(地下鉄主要駅から山科までの運賃)

発駅 御陵から京津線 地下鉄のみ利用
太秦天神川 440円 280円
二条 410円 280円
烏丸御池 410円 250円
三条京阪 340円 250円
醍醐 440円 250円
六地蔵 440円 250円
国際会館 470円 310円
北大路 440円 280円
四条烏丸 410円 280円
京都 440円 280円
竹田 440円 310円

なお、ここでは対象外ですが京都・二条からの場合は地下鉄よりもJR線経由のほうが安く上がります。

同じような問題

同じような問題は東京メトロ大阪市営地下鉄阪神電車でも見られます。京都駅・山科駅と全く同じ、池袋駅がらみの2例と、九条駅がらみ。

東武東上線

池袋へ行くルートは、東上線でそのまま池袋へ向かうか、和光市から有楽町線副都心線に向かうという2通りがあります。

(主要駅から池袋までの運賃)

発駅 有楽町線副都心線経由 東上線で直行
小川町 930円 780円
森林公園 800円 700円
川越市 530円 450円
志木 390円 300円
和光市 230円 240円

なんと、地下鉄で行ったほうが安いという例もあります。東京では地下鉄の初乗り運賃が安い(東京メトロ:160円 都営地下鉄:170円 他都市では200円のところが多い)のです。

西武池袋線

池袋へ行くルートは、池袋線でそのまま池袋へ向かうか、練馬から西武有楽町線経由で有楽町線副都心線に向かうという2通りがあります。

(主要駅から池袋までの運賃)

発駅 有楽町線副都心線経由 池袋線で直行
飯能 610円 450円
入間市 550円 420円
所沢 450円 330円
ひばりが丘 390円 260円
石神井公園 330円 200円
練馬 300円 170円
大阪の九条駅

近鉄奈良線けいはんな線の生駒以東から大阪の九条へ行く場合、近鉄けいはんな線・地下鉄中央線経由と、近鉄奈良線阪神なんば線経由の2ルートがあります。

(主要駅から九条までの運賃)

発駅 けいはんな線・中央線経由 奈良線阪神なんば線経由
生駒 650円 590円
学研奈良登美ヶ丘 790円 750円
大和西大寺 750円 680円
近鉄奈良 790円 740円

このケースに限り、生駒駅で乗り換え改札を通る必要があるため、「降りる際に初めて気がつく」なんてことはありません。

*1:近鉄京都駅は新幹線の下にあり、さらに東西方向向きである。ただ、当初の計画では現在の駅ビル(0番線側)の下に作る予定で、予算の問題や昭和天皇即位の礼に間に合わせる必要があり現在地に仮駅として開設したが、そこにとどまってしまった

*2:乗り継ぎ割引は、これまでこの3駅からは京阪の運賃だけで行けたのが京阪と地下鉄の運賃を合算することにより急に運賃が高くなってしまうため、割高感を軽減するという側面がある。当初は暫定措置だったはずが現在も続いている

*3:淀屋橋から石山寺・坂本まで買うことができた。ちなみに、ぶっ通しで買えたとはいえ、運賃計算は東西線開通前から三条で区切ってやっていた