あえて画素数を減らすということ

キヤノンのデジカメの新機種が出ました。

EOS Kiss X50ですが、X4で18メガピクセルまで行ったのに、12メガピクセルまで減らされています。似たような例はIXY 10S(14メガピクセル)に対するIXY 30S(10メガピクセル)でも見られるほか、一眼レフでもかつては10メガピクセル機が全盛なのにあえて6メガピクセルで出てきたD40のような例がありました。

昔、デジカメといえば「素数が多ければ多いほどよい」と言われた時代がありました。これで数年ほど進んで行きましたが、あまり画素数を上げ過ぎると高感度画質が悪くなる(ノイズだらけになる)などといった弊害があるのです。そのため、近年のキヤノンの新機種ではあえて画素数を減らした機種が出てきています。

実際は、イメージセンサそのものが改良され、高感度でのノイズはイメージセンサだけではなく画像処理エンジンの問題でもあるため、「画素数を上げ過ぎると高感度画質が悪くなる」とは一概には言えません。ただ、「小さいイメージセンサに多くの画素を詰め込む」というのはあまり良くないのは確かで、IXY 30SやPowerShot G11は同じサイズであえて画素数を減らして画素を大きくし、近年の35mmフルサイズセンサを装備した一眼レフカメラも、画素数はそのままでセンサを大きくして画素を大きくしています。

それでも、販売に当たっては画素数が一番わかりやすい尺度なので、消費者や販売サイドから「画素数をもっと増やしてほしい」などと言われるのです。携帯電話ではいまだに画素数で目を引いている状態です。

高感度画質などといったややこしい話を持ち出さなくても、「いくら画素数が多くても、レンズや画像処理エンジンがお粗末だと話にならない」という考え方で片付きます。

素数を増やしたことによる弊害ばかり書いてきましたが、利点もあります。大きな紙に印刷したりトリミングしたりするときは、画素数が多いほど有利なのです。