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復旧へ向けて

少しずつではありますが、JR東日本の各線が復旧に向けて動き出しつつあります。東北新幹線那須塩原以南で、東北本線は北上〜盛岡で運行を再開しました。明日は五能線花輪線が、あさっては東北本線の北上〜一ノ関が運行を再開する予定です。詳しくはJR東日本の運行情報をご覧ください。

そんな中、「東北新幹線は早ければ2か月ほどで運行再開」というニュースが流れてきました。盛岡以北はそれほど傷んでいないため、早ければ4月には開通できるとのことですが、高架橋や架線柱の損傷がひどい那須塩原〜盛岡は相当時間がかかりそうです。また、仙台市営地下鉄も高架橋が損傷しており、台原泉中央の運行再開のめどは立っていません。

参考までに、阪神大震災での関西地区各路線の復旧状況を以下に記します。

JR西日本

1月17日 関西地区全線(新幹線含む)で運転を見合わせ
大阪環状線阪和線関西空港線大和路線は当日中に運行再開
1月18日 JR神戸線西明石以西と尼崎以東で運行再開
福知山線・広野〜福知山で運行再開
山陽新幹線・姫路以西で運行再開
1月19日 JR神戸線・尼崎〜甲子園口で運行再開
福知山線・宝塚〜広野で運行再開
1月21日 福知山線が全通し迂回ルートを確立
1月23日 JR神戸線・須磨〜西明石で運行再開
1月25日 JR神戸線・甲子園口〜芦屋で運行再開
1月30日 JR神戸線・神戸〜須磨で運行再開
2月8日 JR神戸線・芦屋〜住吉で運行再開
2月20日 JR神戸線・灘〜神戸で運行再開
4月1日 JR神戸線・住吉〜灘で運行再開(JR神戸線全通)
4月8日 山陽新幹線も全線開通
96年3月10日 新長田駅が復旧

JRグループの全面的なバックアップにより、関西地区ではいち早く全面復旧を果たしました。今こそ、JRグループの団結力が再び試される時ではないでしょうか。

線路の使用状況

西明石草津複々線であり、復旧に当たってはまず複線で運行できるようにしておき、後からもう1組の複線も工事をして複々線化できるようにしました。基本的には、電車線(内側線)を優先的に復旧させたのですが、新長田駅が全壊したため灘〜須磨では3月27日まで変則的なルートで運行されました。

  • 鷹取まで:上下ともに電車線
  • 鷹取〜兵庫(3月10日まで)
    • 上り:鷹取駅の手前で電車線から列車線(外側線)に移動し新長田駅の下をくぐり兵庫駅の手前で再び電車線に移動
    • 下り:兵庫駅から回送線(和田岬線の車両を送り込む際に使う線路)へ移動し新長田駅の下をくぐり鷹取駅を過ぎたあたりで電車線に移動
    • 鷹取駅は列車線にホームがないため仮設ホームを設置
  • 兵庫〜灘(3月27日まで)
    • 神戸〜灘は海側2本を使用。つまり、神戸〜灘では下り電車線を上り線、下り列車線を下り線として使用
    • 上り:神戸駅まで上り電車線を走行、神戸駅の先で下り電車線に移動し灘まで走行、灘の手前で再び上り電車線に移動
    • 下り:神戸駅まで下り列車線を走行、神戸駅の先で下り電車線に移動
六甲道駅

JR神戸線で最も被害がひどかったのは、高架橋が全壊した六甲道駅でした。橋脚がすべて折れてしまい、橋げたが落ちるという被害状況であり、当初の計画ではがれきをすべて撤去した後高架線を新造するため2年はかかる*1と言われていましたが、東海道本線は旅客列車のみならず貨物列車も多数走る路線であるため、長期間止めるというわけにはいきません。

ただ、橋げたは大して傷んでいなかったため、橋げたを元の高さまで持ち上げてその下の部分だけを新造するという奇策にでて、奥村組はこの難工事をわずか2か月でやってのけました。

秋田のキハ58

全面復旧するまでは、姫路〜大阪間の迂回ルートとして播但線山陰本線福知山線で臨時快速が運行されていましたが、JR西日本の手持ちの気動車HOT7000系だけでは足りないため(当時播但線は非電化だった)、JR東日本から五能線のキハ58を借りていました。

阪急電鉄

1月17日 全線で一時運転を見合わせ
宝塚本線(梅田〜池田)および京都線系統は当日中に運行再開
1月18日 神戸本線・梅田〜西宮北口で運行再開
宝塚本線・池田〜雲雀丘花屋敷で運行再開
1月19日 宝塚本線が全線開通
1月21日 伊丹線塚口新伊丹で運行再開
1月23日 今津北線西宮北口門戸厄神が単線で運行再開
今津南線が運行再開
1月30日 今津北線・仁川〜宝塚で運行再開
2月5日 今津線が全線開通
2月13日 神戸本線・御影〜王子公園で運行再開
3月1日 甲陽線が運行再開
3月11日 伊丹駅が仮復旧
新伊丹〜伊丹(仮)で運行再開
3月13日 神戸本線・王子公園〜三宮で運行再開
4月7日 神戸本線・夙川〜岡本で運行再開
6月1日 神戸本線・岡本〜御影で運行再開
6月12日 神戸本線西宮北口〜夙川で運行再開(神戸本線全通)
98年11月21日 伊丹駅が復旧し、伊丹(仮)〜伊丹間が単線で開通
99年3月6日 伊丹線が複線に戻り完全復旧

最終的に、阪急電鉄全線が復旧するのは伊丹駅の再建が完了してからでした。

8000系が活躍

神戸側の復旧工事に当たって、区間運転を行う際には車両のメンテナンスが問題になりました。神戸本線では西宮北口にしか車庫がありません。

そこで、ほぼメンテナンスフリーに近い8000系が正雀にあったため、それを運行が再開した区間に投入して運行していました。

阪神電気鉄道

1月17日 全線で一時運転を見合わせ、終日運休
1月18日 梅田〜甲子園と西大阪線(当時)で運行再開
1月26日 甲子園〜青木と武庫川線で運行再開
2月1日 三宮〜元町で運行再開
2月11日 青木〜御影で運行再開
2月20日 岩屋〜三宮で運行再開
3月1日 西灘〜岩屋で運行再開
6月26日 御影〜西灘で運行再開(阪神本線全通)

阪神では車両面の被害が大きく、41両(ジェットカー8両、急行用33両)が廃車になりました。

  • 2000系
    • 2201F:三宮〜元町を走行中に被災、編成丸ごと廃車
    • 2207F:御影留置線で被災したが復旧
    • 2211F:石屋川車庫で被災したが復旧
    • 2213F:石屋川車庫で被災し2113以外廃車
    • 2215F:石屋川車庫で被災し2115が廃車、代わりに2113を組み込んで復旧
  • 3000系
    • 3103F+3104F:石屋川車庫で被災したが復旧
    • 3109F+3110F:石屋川車庫で被災し、編成丸ごと廃車
  • 8000系
    • 8201F:石屋川車庫で被災し8001・8101・8202が廃車、8502(旧8201)を神戸方に付け替え8223Fの大阪方3両と組み合わせて復旧
    • 8213F:御影留置線で被災し8014・8113・8114が廃車、8214を8221Fに振り替え、8013・8213は8117Fの残り4両と組み合わせて復旧
    • 8215F:御影留置線で被災したが復旧
    • 8217F:石屋川車庫で被災し8017・8217が廃車、8013・8213と組み合わせて復旧
    • 8219F:御影留置線で被災したが復旧
    • 8221F:石屋川車庫で被災し8222が廃車、8214と組み合わせて復旧
    • 8223F:石屋川車庫で被災し8223と神戸方3両が廃車、代わりに8523を新造し8201Fの神戸方3両と組み合わせて復旧
    • 8225F:御影留置線で被災したが復旧
    • 8231F:御影留置線で被災したが復旧
    • 8235F:御影留置線で被災し、8036・8236が搬出不能なため現地で解体、代わりに8336・8536を新造し復旧
  • ジェットカー
    • 5131F:春日野道駅で被災したが仮復旧の上区間運用に投入、全線復旧後改めて尼崎工場で修繕
    • 5139F:高速神戸駅で被災したが後は5131Fと同じ
    • 5261F:青木駅西側で被災したが復旧
    • 5265F:新在家〜大石を走行中に被災、編成丸ごと廃車
    • 5269F:三宮駅3番線で被災、5151・5152は廃車されたが5269・5270は5143・5144と組んで復旧
    • 5335F:石屋川車庫で被災し5337・5338が廃車、5339・5340と組み合わせて復旧

急行用車両の補充は8000系が3両投入された以外は9000系で、ジェットカーの補充は5500系で行われました。5500系自体は震災前から設計が進んでいましたが、9000系は急遽投入されました。

ユニットを組む車両は、通常は片方が壊れるともう片方も道連れで廃車されてしまうのですが、極力道連れ廃車を発生させないよう、生き残った車両同士でユニットが組めるものは番号などお構いなしに編成を組んでいました。その結果、多くの編成が被災したにもかかわらず廃車は41両ですみました。

山陽電気鉄道

1月17日 全線で一時運転を見合わせ、終日運休
1月18日 明石以西と網干線は運行再開
1月27日 霞ヶ丘〜明石で運行再開
1月30日 滝の茶屋〜霞ヶ丘で運行再開
2月21日 東須磨〜須磨寺で運行再開
3月24日 板宿〜東須磨を地下線に切り替えたうえで運行再開
4月9日 須磨寺〜須磨で運行再開
4月19日 須磨〜須磨浦公園で運行再開
6月16日 須磨浦公園〜滝の茶屋で運行再開
6月18日 板宿〜西代で運行再開し全線開通

折しも、板宿以東の地下化工事が進んでおり、ほぼ完成というところで被災し復旧に当たってその地下線に切り替えることになりました。

神戸高速鉄道

1月17日 全線で一時運転を見合わせ、終日運休
2月1日 阪神元町〜高速神戸で運行再開
2月6日 花隈〜新開地で運行再開
6月1日 阪急三宮〜花隈で運行再開
6月18日 高速長田〜西代で運行再開
6月22日 新開地〜湊川で運行再開
8月13日 新開地〜高速長田で運行再開し全線開通
3社相互直通運転を再開
大開駅は被害が大きかったため通過
96年1月17日 大開駅が復旧

部分開通している間、車両は閉じ込められていたものを使用していました。

神戸電鉄

1月17日 全線で一時運転を見合わせ、終日運休
1月19日 鈴蘭台以北で順次運行を再開
有馬口有馬温泉は除く
2月7日 長田〜鈴蘭台で運行再開
3月31日 有馬口有馬温泉で運行再開
6月22日 湊川〜長田で運行再開し全線開通

神戸市営地下鉄北神急行電鉄

1月17日 全線で一時運転を見合わせ、終日運休
1月18日 板宿〜西神中央および北神線で運行再開
名谷〜学園都市では単線運転(25日より複線に復帰)
2月16日 新神戸〜板宿で運行再開
三宮・上沢・新長田は被害が大きいため通過
3月16日 三宮駅・新長田駅が復旧
3月31日 上沢駅が復旧

あれだけの被害にも関わらず運行再開が異様に早いのですが、これは復旧工事を完全に済ませてからでは年内には再開できず、「この大変な時に市内交通がないのは酷だ」と交通局の担当者が運輸省(当時)に掛け合った結果、徐行運転や被害がひどい3駅を閉鎖することを条件に運行再開の許可を取り付けました。

そこでどのようにして復旧工事をしたかというと、まず応急処置をしておいて運行し、電車が走らない時間帯に工事をするというものです。

神戸新交通

1月17日 全線で一時運転を見合わせ、終日運休
5月12日 アイランド北口〜マリンパークで運行再開
5月22日 中公園〜南公園〜北埠頭で運行再開
6月5日 北埠頭〜中公園で運行再開
7月20日 魚崎〜アイランド北口で運行再開
7月31日 三宮〜中公園で運行再開(ポートアイランド線全通)
8月23日 住吉〜魚崎で運行再開(六甲アイランド線全通)

*1:既存路線の高架化でも、仮線に付け替えてその地に高架橋を作るには2〜3年はかかる