蒲田と蒲田をつなぐ線

 東京急行電鉄蒲田駅(東京都大田区)と京浜急行電鉄蒲田駅を結ぶ新路線「蒲蒲(かまかま)線」の設置を、東京急行電鉄が検討していることがわかった。東急電鉄京急電鉄に乗り入れて羽田空港に接続することで、外国人客の取り込みをねらう。

 15日までに投資家説明会などで、蒲蒲線建設を本格的に検討し、国などに支援を求める考えを示した。両駅は約800メートル離れており、利用者からは、乗り換えに「不便」などの声が上がっていた。国は建設に前向きで、大田区が整備の効果などを調べていた。

 ただ、京急と東急は車輪の幅が違うため、幅を変えられるフリーゲージトレインなど新車両の導入が不可欠だ。東京都など関係者の合意も必要で課題は多い。

(「朝日新聞」2011年11月16日)

JR蒲田駅と東急蒲田駅はほぼ同じところにありますが、京急蒲田駅*1は東に800m離れています。「蒲蒲線」はこの2つの蒲田駅をつなぐ路線で、目的としては東急の沿線(主に城西地区)から羽田空港へのアクセスがあります。

2つの蒲田駅を直接つなぐのではなく、東急蒲田駅の手前で分岐して地下に潜り、東急蒲田駅の下に駅を新設してここを東急と京急の境界点とし、京急蒲田駅の近くに「南蒲田駅」を設置してそこで列車交換をし、大鳥居駅の手前で京急空港線に合流するという形になります。

ただし、これには以下のような問題があります。

軌間が異なる

東急は1067mm、京急は1435mmなので、東急蒲田駅の地下に新設する予定の駅で乗り換える必要があります。「フリーゲージトレイン」でもあればその心配はないのですが、実用化のめどは立っていません。

だからといって、改軌するのも現実的ではありません。東急側が1435mmにすると池上線・多摩川線の車両が長津田工場*2へ行けなくなり新しく工場を作る必要が出てきますが、だからといって京急側が1067mmにすると品川・浅草線・横浜方面へ行けなくなるという問題が出てきます。

なので、どうしても乗り換えは避けられません。

建設費の割に需要が見込めない

距離が短い割に、全線地下なので莫大な建設費がかかります。また、2つの蒲田駅を結ぶのであれば路線バスがあり、この区間は100円で乗れます。なので、「わざわざ建設する必要があるのか」ということになります。

羽田空港駅がパンク状態

羽田空港国内線ターミナル駅は2番線までしかないため、現在でも本数は限界に近いのですが蒲蒲線が開通すると本数が増えてさばききれなくなります。

また、この「蒲蒲線」自体が単線なので、それほど多くの本数は設定できません。

*1:JR・東急蒲田駅は単に「蒲田駅」だが、京急蒲田駅は「京急」も入れて正式名称

*2:簡単な整備は雪が谷検車区で済ませるが、大がかりな整備や改造工事は長津田工場へ行かないとできない