2012年ドラフト会議

球界の秋の風物詩、ドラフト会議が先日行われました。今年は阪神がたっぷり収穫して帰ったようですが、それについては後述します。

各球団の1位指名選手

今年も、球団名は会議でのアナウンスに従って、順番は発表順に表記します。

太字:交渉権獲得 ○:単独指名 ☆:抽選で獲得 取り消し線:外れ

1位 外れ1位 外れ外れ1位
横浜DeNA 東浜巨
亜細亜大・投手)
白崎浩之 ○
(駒沢大・内野手
-
オリックス 藤浪晋太郎
大阪桐蔭・投手)
松永昂大
大阪ガス・投手)
松葉貴大 ○
大阪体育大・投手)
阪神 藤浪晋太郎 ☆
大阪桐蔭・投手)
- -
千葉ロッテ 藤浪晋太郎
大阪桐蔭・投手)
松永昂大 ☆
大阪ガス・投手)
-
広島東洋 森雄大
(東福岡・投手)
増田達至
NTT西日本・投手)
高橋大樹
龍谷大平安・外野手)
東北楽天 森雄大 ☆
(東福岡・投手)
- -
東京ヤクルト 藤浪晋太郎
大阪桐蔭・投手)
石山泰稚 ○
ヤマハ・投手)
-
福岡ソフトバンク 東浜巨 ☆
亜細亜大・投手)
- -
中日 福谷浩司 ○
慶応義塾・投手)
- -
埼玉西武 東浜巨
亜細亜大・投手)
増田達至 ☆
NTT西日本・投手)
-
読売 菅野智之 ○
東海大・投手)
- -
北海道日本ハム 大谷翔平 ○
花巻東・投手)
- -
指名方法のおさらい

1位は全球団が一斉に指名し、発表は最下位の球団から行いますが、オールスターゲームで勝ち越したリーグから発表します。上の表では、その順番で上から並べてあります。競合しなかった場合はその場で決定し、競合した場合は全球団の発表を終えた後抽選を行います。これを、全球団の1位指名選手が確定するまで繰り返します。くじを引くのも上の表の順番通りで、下位の球団から行います。

2位以降は、偶数位は最初に1位指名選手を発表した順番で、奇数位はその逆順で行い、10人まで指名するか終了を宣言するまで指名でき、全球団の合計が120人になるまで指名できます。なお、全球団が指名し終わっても120人に満たない場合は、希望する球団のみ参加で育成選手を指名できます。

阪神が奇跡を起こした

阪神といえば、1984年に嶋田章弘を広島との競合の末に勝ち取って以来、28年間ドラフト1位の抽選でことごとく敗退しており、くじ運のなさをネタにされることが何度となくありました。

阪神のドラフト暗黒時代

(球団名は当時のもの、2006年・2007年のみ高校生と大学・社会人に分けて実施、2008年の蕭一傑は外れ外れ1位)

年次 選手 交渉権獲得球団 外れ1位
1985年 清原和博 西武 遠山昭治
1986年 近藤真一 中日 猪俣隆
1987年 川島堅 広島東洋 野田浩司
1989年 野茂英雄 近鉄 葛西稔
1990年 小池秀郎 ロッテ 湯舟敏郎
1992年 松井秀喜 読売 安達智次郎
2006年
(高校生)
堂上直倫 中日 野原将志
2007年
(高校生)
中田翔 北海道日本ハム 高濱卓也
2007年
(大学・社会人)
大場翔太 福岡ソフトバンク 白仁田寛和
2008年 松本啓二朗 横浜 蕭一傑
2009年 菊池雄星 埼玉西武 二神一人
2010年 大石達也 埼玉西武 榎田大樹

以前は外れ1位でも、遠山・葛西は後に「遠山・葛西スペシャル」で一躍注目を浴び、湯舟敏郎ノーヒットノーランを達成するなどそれなりの実績は残していますが、それ以降の外れ1位はあまりぱっとしません。特に、阪神ファンでおなじみの超高校級スラッガーだった“ゴジラ”松井を逃したのは大きかったものでした。

「道頓堀に投げ込まれたカーネル・サンダースの呪いだ」などと冗談でよく言われており、第1回放送の“ナイトスクープ”でもこれがネタになったことがあります。

このこともあって、「どうせ阪神は今年も外すだろう」と思っていました。が、夜のスポーツニュースを見ると…「阪神、藤浪の交渉権を獲得」…何かの間違いだと思っていましたが、翌朝のニュースや新聞でも同じことばかり放送していました。

虎のあずにゃん

4位に、「♪カンガルーの西濃〜♪」でおなじみ、西濃運輸の小豆畑眞也(あずはた しんや)を指名した阪神。名前が名前だけに、「虎のあずにゃん」などと呼ばれています。

そして3位にはJFE東日本の田面巧二郎(たなぼ こうじろう)を指名しました。名字が珍しいので、「活躍して一発で読んでもらえるようになりたい」とのこと。

最近はそうでもなくなったものの、以前は「阪神は変な名字の選手ばかり取る」などとよく言われていました。

弱点を埋める

藤浪を1位指名して勝ち取っただけではありません。外れ1位候補に挙げていた光星学院の北条を2位で指名し、3・4位は即戦力を指名。阪神の弱点となるポジションの選手を重点的に指名しています。

余談ですが、光星学院青森県の高校なのにどういうわけか関西から来る生徒が多いのです。というより、東北地方の高校はなぜか関西から生徒を集める傾向があります。関西の高校は野球部が強豪ぞろいで、なかなか甲子園に出られないのでそれも計算に入れて、ということでしょうが…。

上本兄弟

今年、平野の代わりに1番・セカンドのレギュラーを張った上本ですが、弟が広島から3位指名を受けました。

実は、広島出身ということで兄も指名するつもりだったのが、これまた地元出身の岩本に切り替えたため、阪神が指名しました。プロ入りしてしばらくは「阪神の上本の弟」としての知名度が先行するでしょうが、そのうち新井兄弟・堂上兄弟と同じように兄弟そろって有名になるでしょう。新井兄弟は「弟がトレード移籍」という思わぬ形で阪神にそろいましたが、上本兄弟はどうなることやら…。ちなみに、堂上兄弟は兄と弟が別の年のドラフトで指名され、どちらも中日が指名して入団にこぎつけました。

兄弟と言えば、1984年のドラフト1位で阪神に入った嶋田章弘がいますが、兄である嶋田宗彦も同じ年のドラフトで4位指名されています。おそらく「兄弟そろって同じ年のドラフトで指名された」のはこれが唯一でしょう。

兄弟そろって同一球団に所属
兄弟で別の球団に所属