Series E353

http://www.jreast.co.jp/press/2013/20140203.pdf

中央東線の特急用車両は、E257系とE351系があります。先に出たのはE351系で、曲線が多い中央東線での高速化を実現するため、振り子式車両として登場しました。JR東日本では車両形式に「E」を付けていますが、「E」を付けるようになった最初の形式でもあります。

振り子式であることから、183系とは比べ物にならないぐらいのスピードアップを実現しましたが、中央東線は車両だけではどうにもならないほど線形が悪く、その上線形改良ができなかったため、効き目が薄いと判断されたのか8・4両編成が5編成ずつ投入された時点で製造が打ち切られ、183系の完全置き換えは2001年より投入を開始したE257系で行うことになりました。しかし、E257系は振り子式ではないため、最高速度自体は高いものの曲線通過速度が183系とほぼ同等であり、また130km/hを出せる区間がわずかしかないため、低重心化の効果も薄くなってしまっています。

E351系も、登場から20年以上たっており、長年の高速走行で車体や足回りが劣化してしまっています。また、沿線にある富士山が世界遺産に登録されたということもあり、観光客を誘致するために新型に入れ替えるというのがスポーツ紙に出たこともありました。

先日、JR東日本から「E353系」として発表がありましたが、特徴は以下のようになっています。

  • 外観のコンセプト:伝統の継承、未来への躍動
  • 内装のコンセプト:南アルプス梓川の「きよらかさ」、ビジネスの「機能性」とレジャーの「高揚感」
  • 空気ばね式車体傾斜装置
  • 先頭車・グリーン車に動揺防止装置(アクティブサスペンション?)

色はE351系を大筋で受け継いでいます。

そして、最大の特徴は「空気ばね式車体傾斜装置」。N700系キハ261系名鉄2000系などでよく知られており、JR東日本ではすでにE5系・E6系に採用されていますが在来線では初めてです。機構が単純であり、振り子式とほぼ同じ効果を低コストで実現できます。

JR東日本在来線車両で車体傾斜制御を持つ車両はE351系以来なく、実に23年ぶりです。なので、まずは1編成を先行車として投入し、技術的な検証を行って量産車につなげていきます。2015年に9・3両編成を1編成ずつ投入し、2016年春の営業入りを目指すとのことです。

現在、E351系を使う列車は「スーパーあずさ」、E257系を使う列車は「あずさ」と区別されていますが、全てE353系にそろえられた場合、「スーパー」を付けて区別する必要がなくなり「あずさ」だけになるかもしれません。