キヨスクがなくなる日

http://www.sej.co.jp/dbps_data/_material_/localhost/pdf/2011/2014022701.pdf

http://www.westjr.co.jp/press/article/2014/03/page_5440.html

http://www.dailyservice.co.jp/cgi-bin/web/topics/index.cgi?pk=152

近年、駅構内の売店を市中のコンビニチェーンと提携してコンビニにしてしまうということが、私鉄を中心に行われており、近いところだと近鉄の駅売店がファミリーマートになった、という例があります*1。また、阪急などのように自らコンビニチェーンを立ち上げていることもあります。

一方で、国鉄(→JRグループ)や公営地下鉄では外郭団体(≒OBの天下り先)が駅構内での営業権を独占しているというケースが多くありました。しかし、最近では独占による弊害が多く出てきたため、市中のコンビニチェーンに開放することが広く行われるようになりました。最近では、大阪市営地下鉄にはポプラとファミリーマート*2神戸市営地下鉄にはファミリーマートがあります。市中の店舗と同じように、公共料金などの支払いができるようになっているところもあります。

JR西日本は、1990年代後半頃から自前でコンビニチェーン(ハートイン・デイリーイン)を立ち上げ、主要駅(京阪神地区はほとんどの駅)に出店していますが、来年度から5年かけて、500店舗を順次セブンイレブンに転換するという計画が発表されました。JRグループでは、JR北海道セブンイレブン*3JR九州ファミリーマートを駅構内に出店させていますが、店舗数が少数にとどまっています。JR西日本の場合は500店舗あり、コンビニと鉄道会社の提携では最大規模となります。

JR西日本から見た場合のメリットは、鉄道の品質を高めるとともに非鉄道事業の拡大と新たな事業創造を促進できる(原文まま)ということですが、セブンイレブンから見てもメリットがあり、手薄だった西日本エリアでの出店を、既存の駅売店を改装するという形で手っ取り早く行えるということがあります。特に、関西ではコンビニといえばローソンが圧倒的に強く、次いでファミリーマートで、セブンイレブンは3位に甘んじています。というのも、セブンイレブンが関西に進出したのは1991年(大阪・京都・滋賀)と他のコンビニチェーンより遅く、兵庫県には1995年、そして奈良県和歌山県には2001年まで出店しておらず、早くから全国展開に取り組んでいたファミリーマートや、関西発祥のローソンに先を越されていました。

6月に京都駅・岡山駅博多駅下関駅に開業するのを皮切りに、今後の新規店舗はセブンイレブンとして開業し、既存の500店舗は順次改装します。看板には、セブンイレブンのロゴの下に従来の「Kiosk」「Heart-in」ロゴが書かれます。

現在、セブンイレブンがない県は青森・鳥取・高知・沖縄の4県ですが、鳥取県には鳥取駅・米子駅倉吉駅にハートインがあり、これを改装するという形で鳥取県への進出を果たすことになります。

JR西日本のコンビニゆえに、取扱商品には「カモノハシのイコちゃん」グッズや鉄道グッズがありますが、セブンイレブンになっても取り扱いが継続されるかどうかが気になります。

キヨスクの歴史

国鉄の駅売店は1932年に東京駅・上野駅などで開業して以来、長らく鉄道弘済会が営業しており、1973年に「キヨスク」という名称がつけられるまでは「鉄道弘済会売店」と呼ばれていました。なぜ鉄道弘済会なのかというと、本来の業務は国鉄での職域福祉事業であり、殉職した国鉄マンの遺族の働き口を提供していたという側面があったためでした。

分割民営化後は鉄道弘済会の営業部門が独立したうえでJRの営業エリアごとに6分割され、独自に営業を行っています。

近年では駅周辺のコンビニに客を取られていることや、人員不足、またJR自体がコンビニ事業に参入してこちらに置き換えられたことにより閉店が相次いでいます。

*1:近鉄の場合は、阪急などのように自らコンビニチェーンを立ち上げるようなことはせず、am/pmの関西地区におけるフランチャイズ展開を子会社で行っていたが、am/pm自体がファミリーマートに吸収合併されたため、最後までam/pmとして残っていた店舗をファミリーマートに転換したのを皮切りに、改めてファミリーマートと提携し既存の駅売店も転換した。同じような例がJR九州に見られる

*2:中央線を境に北部と南部で分担している。例外として、新大阪駅は本来ポプラが担当する北部エリアではあるが、ファミリーマートが出店しているが、これは2012年に入札で売店の事業者を決めるより先に、2010年に出店したため

*3:JR北海道のみならず、札幌市営地下鉄の駅構内にも出店している。これは、札幌市交通局が外郭団体ではなく北海道キヨスクに駅売店を営業させたという歴史的経緯による