和歌山版227系

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ここ最近、JR西日本では京阪神地区や北陸特急以外でも新型車両の導入が進んでおり、福知山地区の223系5500番台を皮切りに金沢地区(のちに北陸本線全線に拡大)の521系、広島近郊の227系と、かなりまとまった数が出そろっています。

その中でも、南近畿地区(奈良県和歌山県)では阪和線を除きほとんど新車が投入されておらず、阪和線以外で一番新しいのは大和路線221系という状態でした。特に、ローカル線となっている桜井線・和歌山線では、国鉄末期に電化された際に投入された105系が21世紀にもなって主力となっているという状態でした。
さらに、南近畿地区の105系は、国鉄末期に設備投資を抑えるため、かつて常磐線から千代田線に乗り入れ、203系に置き換えられて余剰となった103系1000番台を改造したものでした。常磐線複々線化と千代田線への乗り入れ開始は1971年であり、103系時代も含めると新造投入から50年近く経過しています。

ちなみに、105系が最初に投入されたのは福塩線宇部線小野田線で、オリジナルの105系は3ドアですが、奈良線和歌山線・桜井線に投入されたものは103系1000番台を改造したので4ドアです。改造車の中には、種車クハ103だったため、顔が103系1000番台のまま変わっていないものもあります。

その105系も、老朽化が著しいうえに、冷房が効かない、乗り心地が悪いなどという欠点ばかり目立つようになり、さらには桜井線・和歌山線ともに乗客の減少に悩まされています。
そこで、新型車両を導入してイメージ向上に出ることになりました。

車両は、広島近郊の227系をベースとした2両編成で、塗装は京阪神地区の225系に近いものとなっています。近年のJR西日本の電車ではおなじみの窓周りの色は、「奈良と和歌山エリアに共通する文化・歴史・自然の奥深さを表現した緑色」です。窓の下の帯にも緑があしらわれています。白帯は省略されました。
ただ、今後は紀勢本線105系和歌山市~和歌山、紀伊田辺~新宮)、113系(御坊~紀伊田辺日根野電車区に出入りするため日根野まで運行)の置き換えで追加投入され、紀勢本線にも本格進出することが予想されますが、紀勢本線にも投入するのであれば、283系などと同じ色のほうが合うような気がします。和歌山線や桜井線といった、森の中を走る路線にはこのデザインで合っています。

広島の227系は転換クロスシートロングシートの組み合わせですが、和歌山の227系は全席ロングシートです。これは、105系に合わせたというのもあるでしょうが、和歌山線では粉河・岩出以西では乗客の増加が著しい(岩出町が単独で「岩出市」になるぐらい)ことや、沿線の高校生が少ない便に集中すること、また桜井線では沿線に遺跡が多いという土地柄、何か出てくると考古学ファンが現地説明会へ向かうため大挙して乗ることがあり、その対策ともいえます。

そのほか、ここ最近の車両(227系・225系100番台・225系5100番台・323系)で導入されている装備も標準装備されます。

ローカル線ならではの装備として、「車載型IC改札機」というものがあります。仰々しい名前がついていますが、路線バスや路面電車ではよく見かけるものです。一般の鉄道車両では水間鉄道などで見られる程度で、JRグループではJR西日本が来年から境線で導入し、和歌山線・桜井線は2番目です。JRの場合、無人駅にはICカード専用の簡易改札機を置くことが多く、車内に置くのは異例です。