JR東日本版「しまかぜ」

-伊豆半島をゆくPremium Express-

http://www.jreast.co.jp/press/2018/20180502.pdf

伊豆への足といえば、かつては153系の急行「伊豆」や、183系の特急「あまぎ」でしたが、1981年からは185系を投入したうえで、これらを統合した特急「踊り子」に生まれ変わりました。名前はもちろん、川端康成の「伊豆の踊子」からです。

しかし、185系は153系の置き換えを念頭に置いており、153系は普通列車(湘南電車)の運用もあったことから、特急にも普通列車にも使える車両として開発されています。そのため、京阪神エリアで「新快速」として活躍していた117系がベースとなっています。それゆえに、これまでの特急と比べるとグレードが低く見えることや、その割に料金がほかの特急*1と変わらないこと、また、185系の投入を機に急行「伊豆」がすべて特急に格上げされ、割高感が増したため評判はよくありませんでした。
車内の設備も、最初期には117系と同じくデッキなしで設計されていたようです。普通車の座席も、最初は117系と同じく転換クロスシートで、シートピッチも117系などと同じく910mmでした。ただし、座席に関しては後年のリニューアルでリクライニングシートに交換され、改善されています。
また、1980年代にもなると、153系・185系のようなデッキ付きの2ドア車はピーク時を外れた普通列車の運用でも遅延を多発させており、このような車両は普通列車には不向きになっていました。

185系が特急とは思えないグレードの低さで不評を買い、さらに伊豆急の「リゾート21」と何かにつけて比較されたため、JR東日本185系とは対極にある、普通列車には使わない、伊豆へのリゾート輸送に特化した車両として「スーパービュー踊り子(SVO)」251系を1990年に登場させました。
251系は、いかにもバブル期のリゾート特急といった感じで、グリーン車の乗客専用のラウンジや軽食サービスなど、至れり尽くせりの設備が売りでした。そのためか、SVOの特急料金は高い方の「A特急料金」となっています。

そして、251系の登場から30年。今度は251系のコンセプトを昇華させて、さらに上級の観光特急を導入することになりました。形式は「E261系」です。「25x系」をJR東日本だけで使い切ったため、ついに「26x系」まで進みました。

このE261系は、8両編成すべてがグリーン車という、かつてJR各社でみられたジョイフルトレインのような編成ですが、1号車(伊豆方面の先頭車)はグリーン車よりさらに上級の「プレミアムグリーン車」です。これは、海側に従来のグリーン車より大きな座席を2列で固めて、通路は山側に寄せたものです。
JR九州には「DXグリーン車」がありますが、JR東日本では初めてです。新幹線の「グランクラス」とはまた違います。

2・3号車は、251系から受け継がれたグリーン個室です。4人用と6人用があります。

4号車は、近年の観光列車でよくみられる食堂車ですが、麺類に特化した「ヌードルバー」です。日本の麺文化を世界に発信するというコンセプトで、定期的にメニューが変わります。個室へのルームサービスもやる予定です。

5~8号車はグリーン車です。JR東日本の在来線特急のグリーン車は、E751系以降2+2列並びになっていますが、E261系は久々の2+1列配置です。その前はE655系と、新潟へ転属した際に格上げ改造されたE653系が2+1列並びになっています。

また、全車両で屋根の肩部に窓が設けられ、開放感が演出されます。プレミアムグリーン車では荷物置き場が座席の下に設けられ、ダイナミックな眺望が楽しめます。

さて、これらの中身をまとめると…どこかで見たような車両が浮かんできます。近鉄特急「しまかぜ」です。広々とした座席にダイナミックな眺望、食堂車、個室…「しまかぜ」の要素をJR東日本なりにまとめたような感じがします。2階建て車(251系にはある)があればもう完璧です。「伊勢」と「伊豆」は一文字違いです。
そして、伊豆方面の特急を近鉄特急になぞらえると、185系は汎用特急(オレンジのやつ)、251系は「伊勢志摩ライナー」、E261系は「しまかぜ」です。

ちなみに、プレミアムグリーン車のシートピッチは「しまかぜ」と同じく1250mmです。

8両編成を2本投入し、東京・新宿~伊豆急下田で運行されます。2本あるということは、難波・京都・名古屋から1往復ずつ出ている「しまかぜ」よろしく東京発着と新宿発着を1往復ずつ走らせるのではないかと思います。

*1:ただし、安いほうの「B特急料金」