体感・令和の新たなる近鉄特急

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近鉄では、2020年春から名阪甲特急(かつてのノンストップ特急)に新型車両80000系「ひのとり」を導入します。名阪甲特急向けの新型車両は、21000系「アーバンライナー(plus)」以来32年ぶり、21020系「アーバンライナーnext」以来17年ぶりに投入されます。

デビューに先駆けて、この車両の最大の売りと言える「プレミアムシート」を一足先に体感できるというイベントが、あべのハルカス*1で実施されています。先日、あべのハルカス近鉄本店の2階まで行って、「ひのとり」のプレミアムシートに座ってきました。

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立てた状態の座席

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リクライニングさせた状態の座席

簡単に言うと、「グランクラス近鉄版」です。レギュラーシートも含めた全座席にバックシェルが付いており、座席を倒す際に後ろの乗客に気兼ねする必要がなくなりました。

プレミアムシートは電動リクライニング機能と電動オットマンを装備しており、座席を倒すとそれに連動して座布団が前に移動し、オットマンが出てきます。どちらか片方だけ動かすこともできます。
近鉄特急では初の装備として、シートヒーターを内蔵しています。

テーブルは、近鉄特急ではお馴染みの肘掛け内に格納しているタイプだけで、22600系や「しまかぜ」、他社の特急にあるような座席背面のテーブルは付いていません。ただし、カップホルダーが右手側についており、小さいテーブルをスライドさせるとカップを入れる穴が見えます。

このほか、アーバンライナーnextのデラックスシート以来の、耳元から照らす読書灯もついています。

プレミアムシートのシートピッチは1300mmで、これはグランクラスと同じ数値です。近鉄自身が持っていた、私鉄車両のシートピッチの最大記録を更新しました。ちなみにレギュラーシートのシートピッチは1160mmですが、これは新幹線のグリーン車と同じ数値です。

実際に座ってみると、かなり後ろまで倒せて、しかも脚を伸ばせるときているので、ほとんど横になるような感じでした。

「しまかぜ」プレミアムシートとの比較

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「しまかぜ」プレミアムシート

近鉄の最上位クラスの特急車両として、先輩格に「しまかぜ」があります。「ひのとり」のプレミアムシートは、「しまかぜ」を基本としつつ、改良を加えたものとなっています。

まず、リクライニングの動きですが、「しまかぜ」では背もたれとオットマンだけが動くのに対して、「ひのとり」では座席を倒すと座布団が前に出ます。一方で、N700系グリーン車や、近年の近鉄特急のリニューアル車で採用している「ゆりかご型リクライニングシート」はどちらも採用していません。

バックシェルとシートヒーターは「ひのとり」のみの装備で、逆に背面テーブルとエアクッションは「しまかぜ」のみの装備となっています。

シートピッチは、「ひのとり」は1300mm、「しまかぜ」は1250mmです。いずれにせよ、広いことに変わりはありません。
実は、「アーバンライナー」などのデラックスシートは、レギュラーシートとシートピッチが変わらず、座席が大きいだけのものだったりします。

その他の設備

「しまかぜ」のコンセプトを名阪特急にアレンジして作られたようで、両側の先頭車両(プレミアムシート)がハイデッカーとなっており、それに伴って大きな荷物を入れておくロッカーが同じようについています。

さすがに、1両丸ごとカフェ車両というわけにはいかなかったようで、それに代わる設備として先頭車にカフェスポットを設置しています。イメージイラストを見ると、小銭を入れて購入するコーヒーマシンと、コンビニにあるような小さなショーケースがあります。

窓は非常に大きく、「しまかぜ」と同じくらいではないかと思えるぐらいに、天地方向の寸法が大きくなっています。

名阪特急にもようやく100Vの電源コンセントが付きました。
ビジネス客が多い名阪特急なのに、21020系の開発時には設置が見送られました。その後、モバイル機器(スマートフォンタブレットetc.)が急速に普及したのに伴って、22600系ではコンセントが付きましたが、これは汎用特急で、その後にリニューアルした車両にも順次取り付けられているものの、名阪特急専用車両にはコンセントがないという状態が長く続いていました。
アーバンライナーnextから17年経って、ついに全座席にコンセントが完備されます。

料金体系

「しまかぜ」と同じくプレミアム志向が強いため、料金体系も「しまかぜ」と同じようになっています。
具体的には、運賃・特急料金・「ひのとり」特別料金の3本立てです。難波~名古屋を走破すると、レギュラーシートで200円、プレミアムシートで900円の特別料金を必要とします。
レギュラーシートで特別料金が必要になるのはこれが初めてです。ただし、新幹線の料金と比べると「それでも安い」と思えてきます。

*1:場所は週替わりで、あべのハルカス近鉄本店2階の「ウェルカムガレリア」、16階のロビー、17階のオフィスロビーのいずれかで実施