国土交通省近畿運輸局は4日、神戸市北区の谷上と新神戸駅間を結ぶ北神急行電鉄について、神戸市への事業譲渡を認可した。同市は6月から、相互乗り入れしている市営地下鉄西神・山手線との一体運行を開始し、谷上-三宮間の運賃を現行(550円)の半額程度の280円に値下げする予定。
北神急行は整備時に路線の大半を占めるトンネルの建設費が膨らみ、料金が割高になり、利用者が伸び悩んでいる。
同市は同電鉄親会社の阪急電鉄と198億円で事業譲渡を受けることに合意。昨年12月に同運輸局に認可申請をしていた。
神戸市の岸田泰幸交通事業管理者は「大幅な運賃値下げや交通利便性の向上、神戸市北部の人口減少対策に大きく寄与する。6月の実施に向けて準備を進めていく」とコメントした。(前川茂之)
(「神戸新聞」2020年3月4日)
神戸市が市営化を決めた北神急行電鉄(神戸市北区)について、来年6月1日から市営地下鉄西神・山手線との一体運行を始める方針を固めたことが9日、関係者への取材で分かった。今後、市会の審議などを経て正式に決定する。同市はこれまで、市営化の実施時期を「遅くとも2020年10月1日」としていた。
北神急行は北区の谷上と都心の新神戸を結ぶ。同市は今年3月、親会社の阪急電鉄から198億円で譲り受けることで基本合意した。相互乗り入れをしている市営地下鉄との一体運行が始まれば、谷上-三宮の運賃(550円)は現在のほぼ半額の280円となる見込み。
来年6月の市営化に向け、同市は近く、駅の券売機や改札といった関連システム改修費用などを補正予算案に盛り込む方針。北神急行の社員は神戸電鉄(同市兵庫区)に出向させ、同市が運行を神鉄に委託するという。同市は年内にも、北神急行の事業許可を国土交通省に申請する見通し。
北神急行は起点と終点の2駅のみで、谷上-新神戸間(約7・5キロ)の乗車時間は8分。利便性が高い一方、トンネル整備などで建設費が膨らんだことから運賃が高く、乗客数が伸び悩む要因となっていた。(石沢菜々子)
(「神戸新聞」2019年10月10日)
運賃が高すぎて利用が伸び悩んでいる北神急行電鉄を、神戸市営地下鉄のネットワークに組み込んで料金を一元化して値下げするというプランですが、先日国土交通省から認可が下りました。今後、乗車料金などの詳細を詰めた上で6月1日から神戸市営地下鉄の「北神線」として営業を開始する予定です。
市営化後の料金(予定)
西神・山手線の駅から
目的地 | 谷上から | 旧区分 | 旧料金 | 新区分 | 新料金 |
---|---|---|---|---|---|
新神戸 | 7.5km | 北神線 | 370円 | 3区 | 280円 |
三宮県庁前 | 8.8km9.7km | 北神線+1区 | 550円 | 3区 | 280円 |
大倉山湊川公園上沢長田 | 10.8km11.8km12.8km13.6km | 北神線+2区 | 580円 | 4区 | 310円 |
新長田板宿 | 15.1km16.3km | 北神線+3区 | 620円 | 5区 | 350円 |
妙法寺 | 19.2km | 北神線+4区 | 650円 | 7区(6区?) | 380円 |
名谷総合運動公園 | 20.8km22.6km | 北神線+5区 | 690円 | 7区 | 420円 |
学園都市伊川谷 | 24.3km25.9km | 北神線+6区 | 720円 | 8区 | 450円 |
西神南西神中央 | 27.6km30.2km | 北神線+7区 | 750円 | 9区 | 480円 |
海岸線の駅から
(谷上からの距離は短い方、すなわち駒ヶ林からのみ新長田経由、他は三宮経由)
目的地 | 谷上から | 旧区分 | 旧料金 | 新区分 | 新料金 |
---|---|---|---|---|---|
旧居留地・大丸前みなと元町 | 9.3km10.1km | 北神線+1区 | 550円 | 3区 | 280円 |
ハーバーランド中央市場前和田岬御崎公園 | 11.1km12.5km13.4km14.5km | 北神線+2区 | 580円 | 4区 | 310円 |
苅藻駒ヶ林 | 16.1km15.7km | 北神線+3区 | 620円 | 5区 | 350円 |
現行の料金表と合わないところがありますが、市営化にあたって料金表に手を入れるのではないかと思います。具体的には、区割りが変わるのと、7区以上の料金が10円値上げされているのが改定のポイントでしょうか。
乗務員
地下鉄は車掌が乗務するのに対して、北神線はワンマン運転を行っています。また、当然ながら会社が変わるので新神戸で乗務員は交代します。
市営化後はどうするのかというと、谷上まで通し乗務するのではなく、北神急行の乗務員を神戸電鉄に出向させた上で、神戸電鉄に運行を委託するという形になります。
これは、乗客の減少が予想される(箕谷あたりの乗客も北神線に流れることが予想される)神戸電鉄の営業支援を兼ねていると予想できます。
その他
現在、神戸市営地下鉄で発売している各種カードのうち、「NEW Uラインカード」は6月1日以降、谷上まで使用できるようになりますが、谷上駅では窓口での対応となります。
1日乗車券も谷上まで使用できますが、5月末までに購入したものについては6月以降に交換する必要があります。
定期券は、通学定期券の区分が神戸市は「小学生(U-15)」、「中学生(U-15)」、「高校生」、「大学生」の4区分なのに対して、北神急行は「学生」*2としてひとくくりでした。市営化に合わせて4区分となります。
神戸市営地下鉄独自の「U-15定期券*3 *4」というものがありますが、これも谷上発着のものを購入することができます。
その他、敬老パス、手回り品切符や団体扱いなどの各種規則についても、神戸市のものに準じた規則となります。
首位奪還
かつて、日本の地下鉄の駅で標高が最も高い駅は総合運動公園でした。このあたりは山の中を走っており、極端な例として、総合運動公園駅の東側で新幹線をまたいでいます。
実際の最高地点は、名谷駅の西側にある、西行線が名谷車両基地への線路と立体交差する地点で、海抜107mです。総合運動公園駅は103mです。
2015年に仙台市地下鉄東西線が開通し、その西側の終点である八木山動物公園駅(海抜136.4m)が「日本一高い地下鉄駅」の称号を手に入れました。しかも、総合運動公園駅が地上駅なのに対して、八木山動物公園駅は地形の都合により、海抜が130mもありながら地下駅となっています。
しかし、谷上駅は海抜244mあります。ここが神戸市営地下鉄の駅として営業されるようになると、「日本一高い地下鉄駅」の称号は谷上駅に移ります。