SSDって何なのだよ

近年、SSDがパソコンの新しい記憶装置として脚光を浴びています。私も、ほんの数日前に既存のパソコンに仕込むという形で導入しました。

SSDとは?

Solid State Driveを略して「SSD」と呼ばれます。Solid Stateの名の通り、半導体メモリ(フラッシュメモリ)を用いています。

これだけ書くとUSBメモリSDメモリーカードのようですが、実際フラッシュメモリを用いているのは共通しています。ただ、もともとはハードディスクの代わりになるものとして開発されているため、耐久性やアクセス速度が格段に高められています。

ただし、USBでつないで使う外付けのハードディスクがあるように、外付けのSSDというものもあり、「これはでかいUSBメモリやろ?」と思いました。

SSDの形

もともと、HDDの代わりとして登場したという経緯もあり、初期のSSDは2.5インチのHDDと寸法が全く同じでした。シリアルATAでつないで使用します。HDDから乗り換える場合は、再インストールする手間を省くためそっくりそのままクローンをこしらえて付け替えるということをやるのですが、シリアルATAとUSBのアダプターを付けてパソコンにつないで作業します。
3.5インチのSSDも以前はあったらしいのですが、あまりにも値段が高すぎる上に、シリアルATAの転送速度が頭打ちになってしまったため、今は出ていません。よって、一般的なデスクトップパソコンにSSDをつける場合、後で説明するマザーボードに直接つけるタイプにするか、2.5インチのSSDを3.5インチ用のブラケットに取り付けて使います。ノートパソコンのHDDはほとんど2.5インチのため、そのまま置き換えることができます。
シリアルATAとUSBのアダプタや、3.5インチ用のブラケットをセットにして売られていることもあります。

のちに、SSDを最初から付けたパソコンを出すことに伴って、今度はマザーボードに直接実装できる規格のものが登場しました。
最初に出てきたのは「mSATA(miniシリアルATA)」で、シリアルATAの派生規格です。したがって、転送速度は通常のシリアルATAと同じです。今回取り付けたのはこのタイプです。
mini PCI Expressとコネクタの形状、ピンの数も同じですが、互換性はありません。ただし、マザーボードによってはBIOSの設定画面で切り替えて使えるようになっており、今使っているパソコンでも基板に「mSATA/3.5G*1」と書いています。

2.5インチのSSDと比較すると大幅に小型化されており、縦50.8mm、横29.85mmというサイズです。電車の近距離切符(いわゆる“エドモンソン式乗車券”)に近いサイズです。

しかし、mSATAも元がシリアルATAなので、SSDのアクセス速度に転送速度が追いつかないという事態になってしまいました。
そこで、シリアルATAベースではなく、PCI Expressでそのままつながる新規格が提唱されました。これが「M.2(エム・ドット・ツー)」です。端子は一新されているため、mSATAなどとは互換性がありません。

M.2のSSDには寸法が数種類あります。

12・16・22・30mm
長さ 16・26・30・38・42・60・80・110mm

幅と長さを組み合わせた数字でタイプが表されます。たとえば「タイプ2280」であれば幅22mm、長さ80mmのものです。

転送速度は非常に速く、最速で32Gbit/s(シリアルATAは最速6Gbit/s)出ます。性能は非常に良いのですが、その一方で消費電力が大きく、発熱も多いという欠点があります。

代表的な2.5インチのSSD

SSDはシリアルATAが主流になってから普及しだしたため、今市場に出回っているのはほとんどシリアルATAのものなのですが、以前はこういうものも出ていました。

旧型のノートPCに仕込むという需要を当て込んで出されていました。しかし、パラレルATAは転送速度が遅いため、SSDの処理速度に追いつかずせっかくのSSDのメリットが相殺されてしまったことでしょう。

1.8インチもある

以前はもっと小さい、1.8インチのSSDもありましたが、1.8インチのHDD自体がマイナーなもの*2だったため、3.5インチのSSDと同じく消えました。

ちなみに、1.8インチのHDDのコネクタは2種類あり、いわゆる「東芝型」と「日立型」がありますが、SSDにも同様に東芝型と日立型があります。

こちらは東芝製なので、当然「東芝型」です。

代表的なmSATAのSSD

Transcend SSD 256GB mSATA3 6Gb/s 3年保証 TS256GMSA370

Transcend SSD 256GB mSATA3 6Gb/s 3年保証 TS256GMSA370

代表的なM.2のSSD

こんな形のもある

デスクトップパソコン向けに、グラフィックボードやサウンドカードのような形のSSDもあります。

外付けのSSD

なお、外付けの場合サイズや形は自由なので、このようなものも出てきています。

HDDと比較して

SSDの一番の特徴は、可動部がないことです。可動部がない分衝撃や振動に強く、さらにモーターもないため消費電力は小さくなっています。大電力を消費するのはアクセスするときぐらいです。

その一方で、フラッシュメモリの特性上あまり書き換え耐性がないことや、寿命がHDDより短いことが挙げられます。ただし、これらの欠点も一般家庭で使う分には気にならない程度になってきています。
HDDでよくやるデフラグもできません。Windows Vistaまでは、SSDがない時代のOSだったためにHDDと同じような扱いをするため、あっという間に寿命が来てしまいます。なので、SSDWindows 7以降のものでしか使用できないと思ったほうが良いでしょう。

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SSDのアクセス速度 シーケンシャルもランダムもこんなに速い!

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HDDのアクセス速度 構造上、ランダムアクセスが得意ではない

なんといっても、SSDの魅力はその速さです。ヘッドが首を振ったりすることがないため、アクセスが非常に速く、起動時間は20秒程度です。いくらCPUの処理速度が速く、メモリを大量に積んでいても、最終的にはHDDからデータを読み出さないと何もしようがないのですが、データを読み出すのに時間がかかると全部揃うまで待たないといけなくなり、パソコン全体の動作が遅くなります。SSDに替えると速くなるというのは、データの読み出しが非常に速くなって必要なデータをすぐ揃えられるためです。

いいとこどりを狙って

SSDが非常に高かった時代、SSDとHDDの両方のメリットを持たせることを狙って「SSHDSolid State Hybrid Drive)」や「ハイブリッドHDD」というものがありました。
これは、簡単に言うとHDDの中にSSDを入れたもので、HDDの大容量と、SSDの高速アクセスという利点を両方受取ろうというものです。

たとえば、OSはSSDに入れて文書・写真・音楽などのデータはHDDに入れる、使う頻度の高いデータをSSDに入れて素早く出せるようにする、という使い方が考えられます。

しかし、SSDが安くなってきたことと、HDDより高いということもあり、あまり普及しませんでした。

*1:mini PCI Expressに対応した3.5Gの通信モジュールをつけて使うことを想定している。バッテリーを外すとSIMカードスロットがある

*2:とはいっても、iPodウォークマンのHDDは1.8インチだった。このほか、小型のノートパソコンに使用されていることがある

起動が速くて、デスクもすっきり

今使っているノートパソコンは2015年に購入しました。オリジナルのスペックは以下の通りです。

CPU Intel Core i7 4710MQ(2.5GHz・4コア)
OS Windows 7 Professional(Service Pack 1)
HDD 1TB(2.5インチ・厚さ9.5mm・SATA
メモリ 8GB(DDR3L-1600 S.O.DIMM)
無線LAN IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯のみ)

これまでに、いろいろな改造を施してきました。

外付けHDDの交換

外付けHDDは、パソコンを買い替える前から使い続けてきたものを流用しましたが、長く使い続けていくうちにアクセスが遅くなってきました。

このまま使い続けるとHDDが痛んでしまい、データを出せなくなる恐れがあったため、買い替えることにしました。
このパソコンには、USB3.0のポートが付いているため、以前のUSB2.0までしか対応していなかったHDDより高速アクセスができるUSB3.0対応モデルを購入しました。
また、容量も2倍になって余裕ができました。

ただ、前のHDDがボロボロになっていたせいで、移し替えに時間がかかりました。

無線LANカードの交換

自宅のインターネット回線をADSLから光回線に変えるのにあたって、無線LANボトルネックになることが予想されたため、無線LANルーターを買い替えました。

しかし、オリジナルのままでは周波数帯が2.4GHzにしか対応しておらず、どう頑張っても300Mbpsまでしか出ないために意味がないということになりました。USBにつなぐ子機を使うという手もありますが、ノートパソコンなのであまりUSBポートの無駄遣いはできません*1

そこで、Amazonを探ってみると、無線LANカードがバルク品として売られていました。買ってきて付け替えられることが判明したため、付け替えて高速化しました。5GHz帯(IEEE802.11ac)に対応しており、最大で866Mbps出ます。

これは、無線LANのみならずBluetoothも対応しています。予定外のBluetooth対応でしたが、使わない手はないということで、こんなものも導入しました。

メモリの増設

8GBでも十分動くのですが、余裕を持たせるという意味もあり8GBのものをもう1枚買ってきてつけました。

まだ問題が残ってる

これまでに上記のような改造工事を行いましたが、最後までこのような問題が残っていました。

  • HDDから起動しているため、安定するまでに3分かかる
  • 外付けHDDが倒れやすい(最初は寝かせて置くことで解決しようとした)
    • 外付けHDDが3.5インチのため、倒れるからといって寝かせて*2置くと場所を取る

この改造工事にあたって、何度もパソコンの底のカバーを開けて見ていたので以前からわかっていたのですが、空いているスロットが1つありました。これは何かと調べてみると、mSATA(mini serial ATA)のスロットで、ここにSSD(Solid State Drive)が入るということもわかりました。

SSDを導入すると、一気に問題が解決します。ただし、SSDの特性上あまり頻繁な書き込みには向いていないため、システムのみSSDに入れることにしました。

どのようにするのかというと、下のような3ステップです。

  1. SSDを装着し、システムをHDDから移行する
  2. もともと入っていたHDDを外して場所を空ける
  3. 空いた場所に大容量のHDDを装着し、外付けHDDからデータを移動させる

いわゆる「デュアルストレージ」にしようということです。ノートパソコンはHDDが1台しか入らないのが普通*3ですが、SSDマザーボードにつけられるとなると、SSDとHDDを1個ずつ使ってデュアルストレージを簡単に実現できます。

なので、巷でよく言われる「SSDに替えると速くなる」ということで乗り換えを決断したわけではありません。本質は「デュアルストレージにする」ということで、SSDを使うのはそのプランを実現させるための手段でしかありませんでした。結果的に処理が速くなったというだけのことです。

SSDを導入

Transcend SSD 256GB mSATA3 6Gb/s 3年保証 TS256GMSA370

Transcend SSD 256GB mSATA3 6Gb/s 3年保証 TS256GMSA370

今はM.2規格のSSDが主流になっていますが、取り付けられるのはmSATAのSSDか、2.5インチHDDと同じサイズのSATAで接続するものです。しかし、2.5インチのSSDを入れると当初の目的*4から逸脱するため、mSATAのSSDしか選択肢がありません。
端子の形状が違う*5のもさることながら、M.2のSSDはカードのサイズが大きいものがあり、取り付けられません。1世代前の規格なので売っていないだろうと思ったら、「丸い緑の山手線」でおなじみのカメラ屋さんの通販で売っていて、ポイント増量セールをやっていたのですぐに注文しました。

マザーボードに取り付けて、BIOSで認識していることを確認したうえでフォーマットし、メーカーから配布されているユーティリティソフト(Transcendでは「SSD Scope」)を使って起動用のHDDの中身をそっくりそのままコピーすると使えます。環境にもよりますが、2時間程度あれば移行できます。

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Transcend SSD Scope(システムクローンをこれで作る)

すると、もともと入っていたHDDを外せます。HDDのスペースが空くため、今度は外付けで場所を取っていたデータ保存用のHDDを内蔵させます。

こちらも、外付けHDDからそっくりそのまま中身をコピーして使いました。これで、ディスク類を完全に内蔵させることができ、通常時はUSBポートを全く使わないようになりました。
ちなみに、厚さ9.5mmの2.5インチHDDで2TBのものとなるとこれぐらいしか選択肢がありません。近年の2.5インチHDDは、ノートパソコン用は厚さ7mm*6のものが主流となっており、スペーサを貼り付ける必要があります。スペーサの購入費用を節約するため、9.5mmのものを探していました。

外付けのHDDはどうするつもりかというと、BDデッキにつないで録画用にしようかと考えています。

  Before After
CPU Intel Core i7 4710MQ (現状維持)
OS Windows 7 Professional
Service Pack 1)
(現状維持)
起動ディスク 1TB HDD 256GB SSD
データ保存ディスク 2TB HDD(外付け) 2TB HDD(内蔵)
メモリ 8GB 16GB
無線LAN IEEE802.11b/g/n
(2.4GHz帯のみ)
IEEE802.11a/b/g/n/ac
(5GHz帯にも対応)
Bluetooth (非対応) Ver. 4.0

買った時からそのまま残っているのはOS・CPU・8GBのメモリ1枚だけで、残りはすべて手を加えたため、オリジナルとはかなり変わってしまっています。

特に、SSDに交換したことにより起動が著しく速くなりました。以前はログイン後の処理も含めると3分以上かかっていたのが、1分以内で使えるようになりました。起動速度は実に4倍です。

*1:デスクトップ機だったら、拡張カードを買ってきてUSBポートを増やせる

*2:近年の外付けHDDは、PCの周辺機器だけではなくAV機器としての側面もあり、テレビ台に寝かせて置くことも想定して縦横どちらでも置けるようになっている

*3:一部の大型機で、HDDが2台入るものはある

*4:データ保存用のHDDもパソコンに内蔵させて省スペース化する

*5:端子部の切欠きが、M.2は2つあるのに対して、mSATAは1つだけ

*6:他に、サーバー用に15mm厚のものがある

果たして値下げは実現するか

 神戸市北区の谷上と都心の新神戸を結ぶ北神急行電鉄(同市北区)の市営化に向け、神戸市が親会社の阪急阪神ホールディングス(HD)傘下の阪急電鉄と事業譲渡の協議を近く始めることが26日、関係者への取材で分かった。相互乗り入れする市営地下鉄西神・山手線の一部とすることで運賃を大幅に下げ、谷上でつながる神戸電鉄沿線も含めた郊外の開発を加速させる狙いがあるとみられる。

 北神急行は路線のほぼ全てを六甲山を貫くトンネルが占め、新神戸-谷上間(約7・5キロ)を8分で結ぶ。北摂・北神エリアからの通勤、通学者らにとって利便性が高い半面、700億円を超える膨大な建設費の影響で初乗り運賃が360円と高く、利用が伸び悩む要因になっている。

 乗客の負担軽減を図るため、県と神戸市は1999年度から全国初の民間鉄道への支援策として補助金を投入。本来430円となる初乗り運賃を80円値下げして350円(消費税増税で現在は360円)にしている。補助金は99~2008年度が年2億7千万円ずつ、09年度以降は1億3500万円ずつを県、市で捻出している。

 しかし、開通当初に需要を見込んだ神戸市北部から三田方面にかけたニュータウンの開発は減速し、JR宝塚線の利便性向上などもあって乗客は低迷。市営化で運賃の引き下げや事業の効率化を図り、郊外の人口増につなげたい考えだ。

 市営化が実現した場合、地下鉄西神・山手線の一部として運行される可能性が高い。同市交通局の料金体系に当てはめると、新神戸-谷上間は270円になる。運賃の大幅な値下げや宅地開発などで周辺人口が増えれば、阪急側にとっても主要駅である神戸三宮(同市中央区)の乗降客の増大などのメリットがある。

 今後、事業譲渡する範囲や金額などについて協議し、1~2年以内の実現を目指すとみられる。

 神戸市と阪急電鉄を巡っては、同市営地下鉄西神・山手線阪急神戸線の相互直通(相直)構想について、17年度から本格協議を進めている。(石沢菜々子

北神急行電鉄】 阪急電鉄神戸電鉄が株主となり、1988年4月に開業。新神戸-谷上間(約7・5キロ)で、起点と終点の2駅のみ。2002年にトンネルや軌道を神戸高速鉄道に譲渡。07年に阪急電鉄の親会社である阪急阪神ホールディングス連結子会社になった。乗客数はここ数年横ばいで、17年度は908万人。17年度決算では売上高22億円、経常利益2億円。負債総額は413億円となっている。

 都心部へのアクセスのよさを生かし、人口減少に歯止めをかけることができるのか。北神急行(神戸市北区)の事業譲渡に向け、阪急電鉄との協議に乗り出す神戸市。民間鉄道の市営化という全国的にも異例の対応を目指す背景には、他路線に比べて高額な運賃が郊外の開発のネックになっている現状がある。

 北神急行の利用者負担は、全国で最も高いとされる初乗り運賃(360円)にとどまらない。例えば、神戸電鉄箕谷駅から谷上駅で北神急行に乗り換え、三宮に向かう場合、乗車時間は10分程度だが、神鉄北神急行、相互乗り入れする市営地下鉄それぞれの初乗り運賃がかかるため計710円になる。JRなら三ノ宮から加古川市大阪府茨木市までの運賃に匹敵する。

 同市の今年1月時点の推計人口を区別で見ると、北区は2017年の1年間で1921人減り、ここ数年千人以上の減少が続く。一方、都心部中央区では千人以上の増加が目立つ。高額な鉄道運賃もあり、中央区まで電車で10分程度という好立地を生かせていない。運賃問題は長年の懸案となっており、市営化によって抜本的な解決を目指すとみられる。

 同市の久元喜造市長は「(北区など)人口減少が目立つエリアに政策的に対策を行う必要がある」として誘導策を強化。9月には、北区役所と商業・業務施設が入る再開発ビルが神鉄鈴蘭台駅前にオープンしたほか、同区内にある全国最大規模の市営住宅「市営桜の宮住宅」(60棟、2299戸)の建て替え工事が進む。同区北部の北神支所を区役所に格上げすることも決まるなど人口誘導に向けた対策が本格化している。

 ただ、市営化の実現に向けて課題もある。北神急行は神戸市の外郭団体である神戸高速鉄道に軌道やトンネルを譲渡して経営を維持してきた。同市と阪急電鉄との協議では事業譲渡の範囲や金額などについて交渉するとみられるが、市営化に向けた市民の理解を得ることも必要になる。(石沢菜々子

(『神戸新聞』2018年12月27日)

果たして、これが有効な手段かどうかはわかりませんが、北神急行の高すぎる運賃問題の解決策として「市営化」は一つの答えではないかと思います。

もともと、神戸市営地下鉄新神戸*1から先の計画は青谷や王子動物園へ向かって(市バスの2系統に沿って)延伸するというのがあり、新神戸駅は新幹線と平行に設置される予定でした。
その一方で、北区(主に箕谷・谷上)から神戸の都心(≒三宮)へ出るには、鈴蘭台湊川・新開地を経由する必要があり、遠回りを強いられていました。そこで、谷上から六甲山を貫いて新神戸までまっすぐ抜けるルートが計画されました。これが北神急行の原型で、地下鉄に乗り入れることになり、新神戸駅も当初の位置から変更され、新幹線の下をくぐるようになりました。

意外なようですが、この計画に神戸市は全くかかわっていません。阪急と鉄建公団が建設費を折半しており、現在の北神急行第三セクターではなく純民間会社です。当初、神戸電鉄の新線として建設することも考えられていたようですが、六甲山に7km以上の長大トンネルを掘ることから、神鉄単独ではとても建設費を賄うことができないと判断されたのか、阪急などの出資を仰いだうえで北神急行電鉄という新会社を設立して建設に当たりました。
また、建設にあたっては公団の「P線」方式がとられ、日本政府からも建設費が賄われており、25年かけて建設費を償還することになっています。

六甲山に7km以上のトンネルを掘ったことから、莫大な建設費がかかり、そのせいで7.5kmしかないのに運賃は430円という非常に高い設定となっています。また、沿線の住宅開発が遅れたことや、JR西日本福知山線の輸送力増強に力を入れたことから、思い通りに乗客が増えず、償却費用ばかりが増えて債務超過に陥ってしまいました。

そのため、1999年には兵庫県・神戸市が補助金を出したうえで運賃を350円に値下げしましたが、それでも焼け石に水で、2002年にはインフラ一切を神戸高速鉄道に譲渡したうえで、運行のみ行う「上下分離方式」を導入しました。
それでも根本的な解決にはなっていないようで、ついには神戸市から阪急に対して事業譲渡の申し入れがあり、神戸市営地下鉄の一路線にして運賃を大幅値下げすることが期待されています。

さて、このタイミングでなぜ北神急行電鉄を市営化するのか、ということですが、これは神戸高速鉄道北神急行のインフラを買い取ってから保有するのが、20年間の時限措置というのが関係しているのではないかと思います。2002年4月1日付で神戸高速鉄道が買い取っており、2022年3月31日まで保有するということになります。これ以降は、阪急が債務もろとも引き受けることになるのですが、これを嫌がって神戸市に引き取ってもらおうという魂胆が見え隠れします。これだけで阪急にはかなり大きなメリットがあります。

それでも、運賃が大幅値下げとなるとインパクトは大きいものです。北神急行自体の運賃が高い*2のもさることながら、新神戸以西まで乗る場合は新神戸でいったん区切って、それぞれで運賃を計算して合算するためなおさら高く見えてしまうのも問題です。乗り継ぎ割引が30円あるとはいえ、かなり高くなっています。
運賃体系がどうなるかはわかりませんが*3、仮に地下鉄の運賃体系にそのまま組み込んだ場合、以下のようになります。

谷上から Before After
新神戸 360円 270円
三宮 540円 270円
湊川公園 560円 310円
新長田 600円 340円
板宿 600円 370円
名谷 670円 400円
園都 700円 430円
西神中央 730円 460円

谷上から三宮まで10分、10km足らずですが、運賃は540円かかります。これが、現行の運賃体系では半額になるため、インパクトは相当なものです。

同じような事例が大阪でもあり、かつてあった「大阪港トランスポートシステムOTS)」の「南港・港区連絡線*4」が、既存の地下鉄線・ニュートラムとは別会社*5のために運賃が別建てになり、地下鉄は大阪港、ニュートラムは中ふ頭でいったん区切って運賃を計算しなければならないことから運賃が非常に高くなって乗客数が低迷し、最終的にどちらも市営化して運賃を通しで計算できるようにして値下げを果たした*6、というケースがありました。
しかし、OTS大阪市第三セクターなので市営化はスムーズに進みましたが、北神急行は純民間資本の会社です。「純民間会社に税金を大量につぎ込んで市営化するのはいかがなものか」という議論も出てくると思います。

また、ただでさえ乗客の減少に悩まされている神戸電鉄が、北神急行の市営化による値下げでさらに乗客が減ってしまうということも考えられます。

このように、市営化していいことばかりかというとそうでもなく、考えれば考えるほど問題点が見つかります。しかし、1つだけは確実です。それは、「NEW Uラインカード」が谷上まで使えるようになるということです。

*1:開業前の仮称は「布引」だった

*2:といっても、1km当たりの単価は近鉄の初乗り運賃と大差ない

*3:事業譲受を機に全線で運賃を値上げするか、地下鉄の運賃はそのままでも北神線を利用する場合は加算運賃を課されることも考えられる

*4:現在は、大阪港~コスモスクエアが中央線の一部、コスモスクエア~中ふ頭がニュートラム南港ポートタウン線の一部

*5:何もなかったところに線路を引いたため、公共輸送ではなく利益誘導とみなされて補助金が出ず、市営では建設できなかった

*6:さらに、大阪メトロでは市営時代から地下鉄とニュートラムの運賃体系が統一されており、コスモスクエアで地下鉄とニュートラムを乗り継いでも通し運賃で乗れるようになったほか、大阪港と中ふ頭をまたぐと下車駅で自動改札機がエラーを起こすということもなくなった

2018年のライブ・イベント総まとめ

さて、2018年もあと7時間を切りました。今年も、みのりんを中心に多数のイベントに参加しました。

日時 ライブ・イベント 場所
2018/1/21 NANA MIZUKI LIVE GATE 2018
(ライブビューイング)
OSシネマズミント神戸
2018/3/3 Songful Days -次元ヲ紡グ歌ノ記憶- 両国国技館
2018/4/1 minori's theater -CRAZY MANSION!!- OBP円形ホール
2018/4/7 茅原実里 出雲大社御奉納公演 -一期一会- 出雲大社神苑
2018/7/7 NANA MIZUKI LIVE ISLAND 2018 大阪城ホール
2018/8/4・5 Minori Chihara 10th Anniversary Live -SUMMER CHAMPION- 河口湖ステラシアター
2018/8/18 NANA MIZUKI LIVE ISLAND 2018 和歌山県民文化会館
2018/10/13 M-Smile Presents HALLOWEEN PARTY 2018 -EMMA- OBP円形ホール
2018/12/30 茅原実里ニューアルバム「SPIRAL」発売記念イベント animate O.N.SQUARE HALL

今年は、みのりんにシフトしたために、みのりんのほうが多くなっているものの、みのりんのツアーがなかったために総数は少なくなっています。

2017年の年末、みのりんが座長公演という名の朗読劇、出雲大社奉納ライブをやるという発表がありました。その話を聞いて、「みのりん、奈々さんに寄せてるやろ?」と突っ込まずにはいられませんでしたが、結局は足を運びました。

なんといっても、今年はみのりん出雲大社で奉納ライブをやったのがハイライトです。出雲大社で奉納ライブをやった声優は、みのりんと奈々さんの2人だけです。
奈々さんのときは日帰りしたので、せわしないことこの上なかったのですが、今回は1泊したのでゆっくり楽しめました。しかし、奈々さんの甲子園ライブと同じように雨が降ってきて、寒いったらありゃしませんでした。
そして、「みのりんトラベル」は沖縄に行けなかった無念を晴らすために出雲で参加しました。これらも含めて、非常に中身の濃いライブでした。「出雲大社でライブといえば、昨年奈々さんがやっていた」という話題も出ました(^^;

今年は、みのりんが河口湖で夏にライブをやるようになって10年目です。なので、地元の皆さんの協力のもと、最高の夏の思い出を作ることもできました。

今年最後のイベントも、みのりんのイベントでした。当初9月にやるはずだった、大阪での発売記念イベントですが、台風で中止になり、代替日程がいつになるか気になっていましたが、年の瀬も押し迫った12月30日に決定しました。これに参加するために大掃除を早めに済ませました。

あと、みのりんはまだ大阪城ホールでワンマンライブをやったわけでもないのに、みのりんのイベントで大阪ビジネスパークに足を運ぶことが増えたような気がします。

台風といえば、奈々さんのライブも西日本豪雨や台風に見舞われました。特に、7月7日に参加を予定した大阪公演でしたが、大阪環状線阪和線大和路線への直通を中止し、東海道線も各駅停車のみ走っていたという状態で、会場までのアクセスに不安がありました。通常、このような状態になった場合は中止も選択肢に入れるのですが、開催を強行しました。しかし、のちに参加できなかった人への救済措置として、チケットを全額払い戻すという案内がありました。

そして、夏の締めくくりは河口湖ではなく和歌山です。和歌山出身のみのりん仲間を連れて行くことにしており、さらに2週間しか空いておらず、河口湖ですでに気分は和歌山、ということがありました。ライブのついでに和歌山ラーメンを食べて行きました。

今年はみのりん尽くしの1年かというとそうでもなく、実は今年最初に参加したのは奈々さんのライブでした。日本武道館で7公演という前代未聞のライブであり、最終日は12年前と同じくバースデーライブで、これが全国の映画館に流れました。さらに、3日目はみのりんが見に来ていました。
バースデーライブ、7月7日のライブ、甲子園ライブに参加できて、あとは新居浜へ行けたらもう思い残すことはありません。

あと、ここ最近は奈々さんのファンがみのりんに興味を持ってくれているようで、おすすめの曲は?と聞かれることがあります。

「高輪ゲートウェイ」に思うこと

JR東日本エリア内の東海道本線車両基地は、田町車両センター国府津車両センターがありました。このうち、田町車両センターの場所にはかつて田町電車区・品川客車区・東京機関区がまとまって立地しており、都心に大規模な車両基地が立地するという形になっていました。1999年に田町電車区に統合され、211系などが所属していましたが(113系E231系国府津)、上野東京ラインの開業に伴い、東海道本線の電車を郊外の車両基地(小金井・籠原東大宮etc.)で留置できるようになり、田町電車区は東京総合車両センター(旧山手電車区・大井工場)に統合され、所属していた車両は国府津車両センター大宮総合車両センターに転属しました。

これに伴い、必要最低限の規模まで縮小して広大な土地(10~15ヘクタール)が空くため、JR東日本は空いた土地を再開発し、その地区の玄関口となる駅を山手線・京浜東北線に設置する構想をぶち上げました。そして先日、その駅名が「高輪ゲートウェイ」と決定しましたが、これがかなり不評で、JR東日本に対して撤回を求める署名活動までされています。

ここ最近、横文字交じりの駅名はそう珍しいものでもないので、駅名に横文字を入れること自体の是非を話したいのではありません。ここで問題なのは、なぜ「ゲートウェイ」なのか、そして駅名を公募した意味はあったのか、ということです。

再開発エリアの名称は「グローバルゲートウェイ品川」とされており、これにちなんで「ゲートウェイ」を入れたというのであれば何となく理解できます。しかし、再開発エリアの名称自体があまり知られていません。また、駅名は公募したとはいえ、「高輪ゲートウェイ」はわずか36票、130位でした。

なお、ベスト10は以下の通りです。

  1. 高輪(8398票)
  2. 芝浦(4265票)
  3. 芝浜(3497票)
  4. 新品川(2422票)
  5. 泉岳寺(2422票)
  6. 新高輪(1275票)
  7. 港南(1224票)
  8. 高輪泉岳寺(1009票)
  9. JR泉岳寺(749票)
  10. 品田(635票)

しかし、いろいろな事情があって、上位の候補を採用できるとは限りません。
たとえば「泉岳寺」の場合、過去に地下鉄の駅名に「泉岳寺」を使用したところ、泉岳寺(寺院)から「駅のことなどでしょっちゅう電話がかかってきて、業務の妨害になる」というクレームが付き、訴訟にまで発展したというケースがありました。そのため、訴訟を起こされるリスクを避けるという意味で「泉岳寺」は使えないでしょう。また「高輪」だけだと品川駅の高輪口や地下鉄の「高輪台」と混同される、かつて京急に高輪駅があった、「芝浦」は本来の芝浦地区と離れている、かつて「芝浦」という貨物駅があった、「品田」は品川と紛らわしい、などという理由で、上位にはあまり良い候補がなかった、いえます。

また、情緒的なものとしては、山手線の駅名は長くても漢字4文字(新大久保・高田馬場・西日暮里)以内に収まっているのに対して、そこに横文字交じりの長い駅名が入ると違和感がある、というのもあります。

同じような系統の駅名としては、長堀鶴見緑地線の「大阪ビジネスパーク」がありますが、これは再開発に着手してから駅ができるまでにある程度の期間があり、地域一帯を表す名称として定着してから駅ができたため、あまり違和感なく受け入れられています。翌日に駅名が発表された、日比谷線の「虎ノ門ヒルズ」駅と同じような感じです。

しかし、「高輪ゲートウェイ」はイメージ先行の駅名であり、しかもそのイメージがかなりぼんやりとしたものであるため、批判の対象になっているといえます。

なお、私はどちらかというと「港南高輪」のほうが良いと思います。駅の予定地は「港南」ですが、高輪にも近いため両方くっつけました。

駅名にカタカナなどが入るケース

1…もともとの地名がカタカナ

このケースは3つしかなく、トマム(石勝線)・ニセコ函館本線)・マキノ(湖西線)だけです。

2…企業名が入る

同じ地区に同名の駅が複数あり、区別するために社名を入れるというケースは少なく(大井川鉄道の「アプト」が付く駅程度)、駅の設置費用を企業がある程度負担した場合に、最寄の企業名を入れるという形で見られます。

ほか多数

4…再開発エリア・ニュータウンの名称が入る

首都圏や関西圏でよく見られるパターンです。

このほか、分類しにくいケースとしては「広川ビーチ(紀勢本線)」があります。あえて分類するならば「イメージ先行型」でしょうか。

番外…ひらがな・数字・アルファベットが入る場合

ひらがなを使うのは、漢字だと読みにくい、読み間違えられる恐れがある場合や、柔らかいイメージを出すのが目的ですが、前者はともかく後者は何かと批判されがちで、一時期ひらがなを多用していたJR西日本も、ここ最近は本来の漢字を使う方針に回帰しています。また、正式な駅名は漢字でも、読み間違えられやすいなどの理由があって営業上はひらがなを使うようにしていることもあります。

また、アルファベットが入るのはJR西日本の関西エリアの一部駅、京急の「YRP野比」、広島電鉄の「JA広島病院前」だけです。JR西日本の場合、近隣に同名の私鉄駅がある場合に区別するためにつけています。YRP野比駅は近所の「横須賀リサーチパーク」から、JA広島病院前駅はズバリ「JA広島総合病院広島県厚生農業協同組合連合会 廣島総合病院)」からです。

さらに、数字が入る駅となると、札幌市内での「○条」駅か(京都では漢字で書く)、羽田空港(第1ビル・第2ビル)、成田空港(空港第2ビル駅)にしかありません。

*1:池の浦シーサイドパーク」に由来するだけではなく、近鉄の「池の浦」駅と区別する意味合いもある

*2:ただし、回数カードでなかもず駅から乗ると、カードの裏面に「中もず」と印字される。なかもずで降りると「中百」と印字される。また、御堂筋線のなかもず延伸直前に投入された10系車両には、泉北高速と同じ「中もず」の表示があった

*3:南海ホークスの2軍の球場は「中モズ球場」と書いていた