http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174605_799.html
http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174606_799.html
関東では、SuicaとPASMOはほぼすべての機能を相互利用できるようになっており、どちらか1枚で事足りるようになっています。ICOCAとPiTaPaは「普通乗車券としての相互利用」だけで、電子マネーの相互利用や連絡定期券の発行はできません。
ICOCAとPiTaPaでは普及率に数倍もの差がありますが(ICOCAのほうが普及率が高い)、相互利用の範囲が狭い以外にも以下のような問題があります。
手続きが面倒
PiTaPaは電車・バスの乗車券とはいっても、1か月分の運賃をまとめて引き落とす「ポストペイ(後払い)」方式を採用しており、実質的にはクレジットカードと何ら変わりありません。それどころか、自社のクレジットカード(「STACIA(阪急・阪神)」「e-kenet(京阪)」「KIPS(近鉄)」「minapita(南海)」など)と抱き合わせでPRしている*1という始末であります。
そのため、申し込んでからカードが届くまで2〜3週間かかり、さらには審査に通らないと手に入れることができません。
逆に、ICOCAは2000円(もしくは定期券代+500円)払えばすぐ手に入ります。もっとも、SMART ICOCAは申し込みが必要ですがすでにクレジットカードを持っていれば数日で手に入るほか、大阪駅に行って数時間ほどで手に入れることができます。
ただし、申し込みが必要であるゆえに、カードには個人情報が記録されることから「なくしたときのサポートがしっかりしている」というメリットがあります(ICOCA定期券・SMART ICOCAも同様)。
割引率が低い
ポストペイということでユニークな割引がいくつかあるのですが、どれもこれも割引率が低く、高いものでも1カ月通勤定期券*2相当しかありません。ほとんどの場合は普通回数券の割引率にすら満たないのです。そのため、阪急・阪神・南海などPiTaPaに定期券をつけられる会社もあります。
そのため定期券ユーザーを取り込むことができないのです。
連絡定期券がない
JRと私鉄では今のところできないのですが、PiTaPaに定期券をつけられる私鉄同士*3であれば出すことはできます。ただ、JRと私鉄の連絡定期券を出せないため、そのユーザーを取り損ねてしまっています。
そこで、まずは「JRと私鉄の連絡定期券をICOCA・PiTaPaで出す」ということから始め、来年5月から京阪(京橋・東福寺・河内森(河内磐船)経由)で始まります。その後、準備が整い次第ほかの私鉄でもやるとのこと。
さらに、再来年からは「京阪でICOCAを売る」「京阪だけの定期券もICOCAで出す」ということまでやります。ちなみに、京阪ではPiTaPa定期券はありません。
こうなると、「PiTaPaがICOCAに食われる」というのが現実になりそうですが、JR西日本は逆にPiTaPaのメリットを生かして自社でも発行することを考えているようです。つまり、「私鉄はICOCAの利点を生かしたい」「JR西日本はPiTaPaの利点を生かしたい」という考えで話を進めているのです。それでも、現在のシェアを考えると、本当にPiTaPaはICOCAに食われるかもしれません。