観光資源としてのアニメ

大阪ほんわかテレビ」で四角い顔の仁鶴師匠が出てきたと思えば、「観光産業の救世主」として取り上げられたのはなんと!2007年の大ヒットアニメ『らき☆すた』。その人気ぶりはどれほどのものかというと、舞台となった埼玉県鷲宮町幸手市にファンが多数押しかけ、かがみ&つかさの自宅という設定の鷲宮神社は初詣客の数が毎年増えており、経済効果は10億円にもなります。このような、アニメや萌えキャラを活用した町おこしのことを“萌えおこし”といい、『らき☆すた』の成功以来各地で見られます。

らき☆すた』以前にもなかったわけではなく、『びんちょうタン』の例がありましたが、“萌えおこし”が広く知られるようになったのは『らき☆すた』の成功があってのもので、以下のようなケースが出てきました。

もともと、鷲宮町というのは関東最古の神社として知られる鷲宮神社ぐらいしか観光資源がない小さな町でしたが、『らき☆すた』のおかげでここまで知名度を上げることができた、とのこと。それじゃ、西宮市も“ハルヒ”でやればいいのに、ということになるのですが、西宮市の場合は鷲宮とは事情が違い、そこまでしなくても知名度はあるという理由からか当の西宮市が乗り気でないのです。ただ、兵庫県はやる気がある*1ようですが。

それはおいといて、『らき☆すた』でも『かんなぎ』でも『けいおん!』でも、もともとはファンが嗅ぎつけてやってきたというのが実際のところなのですが、地元の商工会がビジネスチャンスを見逃さずがっちりつかんだというのが成功の秘訣といえます。

アニメ以外では、『鉄道むすめ』シリーズが成功例として知られています。これは、鉄道の現場で働く女性職員をモチーフとしたフィギュアシリーズなのですが、鉄道会社の全面協力のもとデザインされており、鉄道会社のイベントでスペシャルバージョンを売り出すということもされています。ちなみに、「栗橋みなみ」の名前の由来となった南栗橋駅がある栗橋町でも『鉄道むすめ』で町おこし、を考えています。でも、栗橋みなみは北千住駅に勤めてるんだよな…。

秋田県羽後町の「美少女キャラクターを用いた町おこし」も成功例の一つであり、当地では毎年夏に「かがり美少女イラストコンテスト」が著名なイラストレーターを迎えて開催されています。その後、一歩進めて「スティックポスターin羽後町」なるものが売り出され、これも人気を博しています。ここまで来ると、ついには農協や酒屋などの地元企業を巻き込んで、「萌え米」「萌え焼酎」…それ以降、羽後町では町内のあらゆるところで美少女イラストを見る機会が増えています。ちなみに、「萌え米」はちゃんと食べてもらっているそうな。町の文化財と美少女キャラクターという一見まったく合わなさそうな組み合わせもあります。

「萌え」はやっぱり、うまく使えば大きなビジネスになるのです。地方都市の救世主にもなります。「萌え」は大切にしよう!

ただ、長年「萌え」文化に触れているのにもかかわらず、困ったことに萌え絵が描けないのです。描けるようになりたい…。ただ、それで食べていこうとまでは考えていません。

*1:この件については神戸新聞に出ていた