JR西日本の佐々木隆之社長は28日、乗客の転落や電車との接触を防ぐため、大阪市北区のJR東西線北新地駅に可動式のホーム柵を設置することを明らかにした。使用開始は来年春の予定。同社では山陽新幹線新神戸駅に次ぎ2例目で、在来線では初めてという。
島式ホームの上下線に沿って高さ1.3メートルの柵を二つ設ける。開口幅は2.8メートル。費用は約3億5千万円。北新地駅では2002年度からの8年間に5件の転落・接触事故が起き、うち1人が死亡している。地下駅のため雨による車輪のスリップの心配がなく、定位置に止まりやすいことなどから導入を決めた。
ほかの駅への設置は今後検討するが、多くの駅では車両によってドアの数と位置が異なるため、限定的とみられる。
また佐々木社長は、現場で解決が求められる課題に取り組む「特命チーム」を七つ設けたことも表明。「ホーム上の安全」「技術継承・技術者育成」などの課題に対し、30〜50代の社員が部署などを超えて参画する。
(足立 聡)
(「神戸新聞」2010年5月29日)
ホームドアはよく効きます。ホームで多発する接触・転落事故に対する切り札として、ワンマン運転する地下鉄や新交通システム、通過線のない新幹線駅では広く採用されています。導入に多額の費用がかかるものの、それ以上に人件費や事故が起こってしまった際のコストの削減効果が大きいのです。
JR東日本でも、2017年をめどに山手線の全駅にホームドアを設置することになっており、現在はその準備が着々と進められています。
ホームドアを導入するには?
まず、車体の大きさとドアの数・位置を全列車でそろえる必要があります。これさえ満たしていれば、編成の長さはそろっていなくてもかまいません。現に、京都市営地下鉄東西線では6両編成(50系)と4両編成(京阪800系)を混用しています。「車両のないところのドアは開けない」という制御ができるのです。また、山手線の場合は東半分で京浜東北線と並走し、どちらかの線路を使用休止して工事をすることがあります。その際、双方が残りの線路を共用するのですが、7・10号車は山手線は6ドア、京浜東北線は4ドアで、このままだとホームドアの導入に支障をきたします。現在、急ピッチで4ドア車への差し替えが進んでいます。
もうひとつは、正確な停車位置に止めるための装置。ATOやTASCがいります。そのため、もともとATOを装備している新交通システムは導入しやすいのです。ちなみに、TASCなしで無理やりホームドアを付けた路線(名古屋市営地下鉄上飯田線)もあります。
さらに、電車のドアと連動させる装置もいります。ちなみに、新幹線の場合はホームに立っている係員が開閉するのでこれはいりません。
北新地駅では、直通快速(223系)以外はすべて207系もしくは321系で揃えられており、直通快速を4ドア車にすれば導入する条件は1つ満たします。