NISSAN THE SPORTS

Kアリーナ横浜(KING SUPER LIVE)へ向かう道すがら、横浜駅から東へ向かうと日産自動車の本社があります。そこには日産ギャラリーがあり、最新の日産車を見て確かめることができるだけではなく、実際に横浜市内をドライブして体験できます。

日産といえば、昔からスポーツ系の車種が人気を博しており、セダンでもスポーティなグレード(セドリック&グロリアの「グランツーリスモ」、ブルーバードSSSなど)が売れ筋になっているという傾向もあります。

試乗車のラインナップには、地元の販社ではまず試乗できないGT-RフェアレディZがあり、この2車種は日産のスポーツカーのフラッグシップとして長く愛されてきました。

そんな2車種に、日産ギャラリーへ行けば乗れるということで、KING SUPER LIVEへの参加が決定してから、2週間前の日付が変わった瞬間に予約して乗ってきました。

試乗できる車種(2024年5月)

NISSAN GT-R(R35)

その昔、サーキットを席巻したスカイラインGT-R。その魂を受け継ぐクルマとして、2007年に登場しました。スカイラインとは縁が切れたものの、車体の形はクーペで*1、テールランプの形も丸形4灯で、型式も歴代スカイラインGT-RBNR34まで)から受け継いで「R35」となっています。

車両型式 4BA-R35
駆動方式 4WD(ATTESA E-TS
エンジン型式 VR38DETT
シリンダー V型6気筒
バルブ形式 DOHC・24バルブ
燃料噴射装置 電子制御ポート噴射
過給器 ツインターボ
最大出力 419kW(570PS)/ 6800rpm
最大トルク 637N・m(65.0kgf・m)/ 3300-5800rpm
変速機 6速デュアルクラッチトランスミッション
車両重量 1730~1785kg
燃料 ハイオクガソリン(レギュラーガソリン厳禁

今回乗車したグレードは2024年モデルのPremium Edition T-Specで、発売当時の価格は約1800万円でした。

この車は足回りの構造が他のFR車とは異なっており、通常はエンジンの真後ろに配置される変速機とクラッチが、後車軸にファイナルギアと一体化した状態で配置されています*2。これは、エンジンと並ぶ重量物である変速機を後部に配置することで、前後の重量配分を最適化するためです。

変速機も他の日産車とは異なり、日産では唯一となるデュアルクラッチトランスミッションを採用しています。どんなものかというと、入力軸が奇数段と偶数段の2本あり、それぞれの軸にクラッチが配され、クラッチをつなぎ替えて変速するというものです。
例えば、1速で発進した後は2速ギアがかみ合った状態でスタンバイしており、ある程度の速度まで行くとクラッチを偶数側に切り替えて2速に入れます。これを3速、4速…と繰り返していきます。
変速・クラッチ操作は自動化されており、一度走り出せば操作感覚はAT車と変わりありませんが、変速機の中身はMTに近く、クラッチトルクコンバータではなく湿式多板クラッチとなっています。トルコンATと同じようにクリープ現象も発生しますが、どのようにしているのかというと、自動車教習所で習う「半クラッチ」を、ドライバーがペダルでやるのではなく自動でやっているという状態です。
その構造故に、発進する際はコツがいります。トルコンAT車しか乗ったことがない人だと、アクセルを雑に踏んでしまうことがありますが、デュアルクラッチトランスミッションでそれをやるとクラッチが滑って前に進まないほか、クラッチ板を傷める原因になります。MT車のようにゆっくり踏み込んでクラッチを少しずつつなぐようにすると良いでしょう。
なお、操作系もAT車と同じようなシフトレバーですが、GT-RではDレンジ相当のポジションは「A(Auto、自動変速)」です。

ブレーキもひと味違い、通常の乗用車のブレーキディスクが鋳鉄製なのに対して、カーボンセラミックブレーキを採用しています。これは、カーボンとセラミックの複合材でできたブレーキで、軽くて路面への追従性が良くなり、また耐熱性にも優れていて300km/hから停止してもフェードしにくいというメリットがあります。実際にブレーキを踏んでみて、「これが300km/h出せるクルマのブレーキか」と思いました。

走行性能ばかり注目されがちですが、実はこれで、大人が4人きちんと乗れます。

車体が大きく、600PS近いクルマで、運転にコツがいりそうで身構えていたのですが、発進時にコツがいるぐらいで、一度走り出してしまえば各種ハイテク装備の手助けにより、ノート感覚で運転できてしまいます。昔のBNR32などは相当身構えて乗るクルマだったのに!!
ちなみに、デュアルクラッチトランスミッションクラッチペダルがなく、法令上はAT車扱いになり、AT限定免許でも運転できます。しかし、AT限定免許の人間が普段どのようなクルマに乗っていて、運転スキルがどれぐらいなのかというのを考えると、限定免許の人にはGT-Rはあまり運転してほしくありません。

フェアレディZ(RZ34)

GT-Rは元々スカイラインのバリエーションの一つで、故にプリンス系のスポーツカーですが、こちらはダットサン系のスポーツカーです。
1970年まで、Zが付かない「ダットサン・フェアレディ」があり、ダットサン・セダンや初代ブルーバードのシャーシを流用したスポーツカーでした。

2022年に登場した「RZ34」は、プラットフォームとMT以外は一新されており、どう見てもフルモデルチェンジなので本来は「Z35」とすべきものですが、様々な事情によりマイナーチェンジとして手続きを行い、RefineのRを付けて「RZ34」としています。
このような手法は、過去にもアベニールサリュー(W10)やプレーリージョイ(M11)、サニーカリフォルニア→ウイングロード(Y10)でも行われていました。

車両型式 5BA-RZ34
駆動方式 FR
エンジン型式 VR30DDTT
シリンダー V型6気筒
バルブ形式 DOHC・24バルブ
燃料噴射装置 直噴(DIG)
過給器 ツインターボ
最大出力 298kW(405PS)/ 6400rpm
最大トルク 475N・m(48.4kgf・m)/ 1600-5600rpm
変速機 9速マニュアルモード付きAT
車両重量 1620kg
燃料 ハイオクガソリン(レギュラーガソリンも一応使える

今回乗車したのは最上位グレード・Version STのAT車でした。

まず運転席につくと、計器盤はオーラやC28セレナと同じようなLCDタイプ*3で、シフトレバーもE13ノート/オーラと同じ電子式でした。
その一方で、ダッシュボードの真ん中には歴代Zと同じような小さい3連メーターが付いています。RZ34では電圧計とブースト計、タービンの回転計が付いていました。

GT-Rとは異なり、ZのATは昔ながらのトルコンATで段が増えただけなので、いつものトルコンAT車の感覚で発進できます。
ちなみに、GT-R、Z共にD(A)レンジに入れて走っていると、入っている段が見えます。*4
従来のトルコンATで、しかもアイドリング中のトルクがかなり大きいせいか、クリープ現象も強めでした。

MTは6速までしかないのに対して、ATは9速までありますが、街中で走る分には9速までいらないようで、実際に6速までしか入りませんでした。どのクルマでも変速機にはオーバードライブ*5がありますが、RZ34のATは6速が直結、7~9速がオーバードライブとなっています。

GT-Rほど構造が特殊ではないせいか、運転しやすいような感じでした。ただ、これは人だけしか載らないクルマです。単に運転することだけ楽しみましょう。ATでもOKです。

*1:過去にはセダンのGT-Rもあった。ハコスカの時代はボディがセダンしかなかったので必然的にGT-Rもセダンになったが、後にクーペ(2ドアハードトップ)が設定されるとクーペをベースにして出し直した

*2:これを「トランスアクスルレイアウト」という。FF車ではよく見られるが、FR車では珍しい

*3:飛行機では「グラスコックピット」という

*4:GT-Rでは数字だけ表示、Zでは「D」に添え字がされる

*5:変速比が1未満、つまり増速する

KING SUPER LIVE 2024

今はどのレコード会社もアニメソングを重要な収益源として捉えており、アニソン専門のレーベルを擁しています。
その中でも老舗と言えるのがキングレコードで、1981年に「スターチャイルド」レーベルを立ち上げています。
これとは別に、メインレーベル(単に「キングレコード」の名前を押し出す)でも声優やアニソン歌手を擁するようになり、実質的に、キングレコードにはアニソンのレーベルが2つあるという状態になってしまいました。
2014年には『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』で共同制作を行い、その翌年には初めてキングレコードの声優やアニソン歌手が一堂に会する「KING SUPER LIVE」を開催しました。これがきっかけとなって、両レーベルの統合に至りました。

そのKING SUPER LIVEですが、先日、みなとみらいのKアリーナ横浜で5月11・12日の2日間、第4回が開催され、行ってきました。

出演者

両日とも出演

5月11日のみ出演

(この日はシークレットゲストがいたが後述)

5月12日のみ出演

セットリスト

5月11日

  1. Exterminated / 水樹奈々
  2. STARTING NOW! / 水樹奈々
  3. ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡ / 上坂すみれ
  4. EASY LOVE / 上坂すみれ
  5. インフィニット / 岡咲美保
  6. WILL / 米倉千尋
  7. 嵐の中で輝いて / 米倉千尋
  8. 不安定な神様 / Suara
  9. 夢想歌 / Suara
  10. HELP / 愛美
  11. メリトクラシー / 愛美
  12. It's My Soul / 七海ひろき
  13. ヨトギバナシ / カノエラナ
  14. SHAKE!SHAKE!SHAKE! / 内田雄馬
  15. NEW WORLD / 内田雄馬
  16. 星のオーケストラ / saji
  17. PSYCHO:LOGY / 蒼井翔太
  18. BAD END / 蒼井翔太
  19. 僕らのステキ〜sutekiバージョン〜 / 國府田マリ子
  20. -赤い華- You're gonna change to the flower / 椎名へきる
  21. You & Me / 田村ゆかり
  22. Baby's Breath / 田村ゆかり
  23. 恋の天使 舞い降りて / やまとなでしこ田村ゆかり&堀江由衣
  24. 水の星へ愛をこめて / 森口博子
  25. Ubugoe / 森口博子
  26. DREAMS / 麻倉あきら
  27. Shining Tears / 保志総一朗
  28. インモラリスト / 堀江由衣
  29. silky heart / 堀江由衣
  30. TRUST IN ETERNITY / 水瀬いのり
  31. Million Futures / 水瀬いのり
  32. 輪舞-revolution / 奥井雅美
  33. Birth / 奥井雅美
  34. NEW ORDER / 宮野真守
  35. BREAK IT! / 宮野真守
  36. 残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子
  37. 魂のルフラン / 高橋洋子
  38. イグジスト / angela
  39. 明日へのbrilliant road / angela
  40. シドニア / angela
  41. Preserved Roses / 蒼井翔太×七海ひろき
  42. 天使のゆびきり / 堀江由衣×上坂すみれ
  43. Ride on shooting star / 愛美×KATSU×ヨシダタクミ(saji)
  44. 哀 戦士 / 森口博子×米倉千尋×麻倉あきら
  45. STAND UP TO THE VICTORY / 宮野真守×内田雄馬×保志総一朗
  46. COSMIC LOVE / 水瀬いのり×岡咲美保
  47. 甲賀忍法帖 / 奥井雅美×atsuko×Suara×カノエラナ
  48. Little Wish 〜lyrical step〜 / 田村ゆかり×水樹奈々
  49. innocent starter / 水樹奈々×田村ゆかり
  50. Give a reason / ALL LINE UP

5月12日

  1. EXCITING! / 宮野真守
  2. Quiet explosion / 宮野真守
  3. MAGICAL DESTROYER / 愛美
  4. メリトクラシー / 愛美
  5. Star journey / 保志総一朗
  6. ココロトラベル / 岡咲美保
  7. ペタルズ / 岡咲美保
  8. Blessing / 千葉翔也
  9. めちゃめちゃカリスマ / 七人のカリスマ声優
  10. カリスマジャンボリー / 七人のカリスマ声優
  11. ビー玉 / HACHI
  12. 1日は25時間。/ ツルシマアンナ
  13. イロドリ / カノエラナ
  14. Queen of the Night / カノエラナ
  15. アシンメトリー / 堀江由衣
  16. バニラソルト / 堀江由衣
  17. スターチス / saji
  18. ツバサ / saji
  19. 大好きだよって叫ぶんだ / RISE
  20. SUNRISE(ver.RISE)/ RISE
  21. It's My Soul / 七海ひろき
  22. POP TEAM EPIC / 上坂すみれ
  23. ハッピーエンドプリンセス / 上坂すみれ
  24. ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- + / ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02
  25. SUMIT OF DIVISIONS / ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02
  26. サムライハート / 森口博子
  27. ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜 / 森口博子
  28. TENSIONS - welcome to the stage / 高橋洋子
  29. 残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子
  30. Eclipse / 蒼井翔太
  31. EVOLVE / 蒼井翔太
  32. 乙女のルートはひとつじゃない! / angela
  33. KINGS / angela
  34. 晴れのちハレルヤ! / angela×蒼井翔太
  35. Comin' Back / 内田雄馬
  36. Hope / 内田雄馬
  37. スクラップアート / 水瀬いのり
  38. アイオライト / 水瀬いのり
  39. METANOIA -Aufwachen Form- / 水樹奈々
  40. ADRENALIZED / 水樹奈々
  41. ETERNAL BLAZE / 水樹奈々
  42. アノーイング! さんさんウィーク! / atsuko×愛美×カノエラナ
  43. スクランブル / 堀江由衣×上坂すみれ×岡咲美保×七人のカリスマ声優
  44. ターンAターン / 森口博子×保志総一朗×七海ひろき×KATSU
  45. カノン / 宮野真守×蒼井翔太
  46. シャイン / 宮野真守×内田雄馬
  47. オルフェ / 宮野真守×蒼井翔太×内田雄馬
  48. DISCOTHEQUE / 水樹奈々×岡咲美保
  49. Glorious Break / 水樹奈々×水瀬いのり
  50. Shangri-La / ALL LINE UP

初っ端は

見ての通り、今回のメンツはベテランからレジェンドと言われる面々が揃っており、誰から始まるのか、はたまた誰が締めるのか全く予想が付きませんでした。

何も分からない状態で迎えた初日。誰が出てくるかと思ったら、なんと奈々さんでした。
さすがに、奈々さんクラスのベテラン勢だと、後半に出てくるかトリを取るかどちらかだろうと思っていましたが、まさかのトップバッターでした。

ちなみに2日目のトップバッターは宮野真守でしたが、所々動きが怪しかったです。

なんで関テレから?

どのイベントでもそうですが、アニメ制作に当たって取引のある企業からフラワースタンドが届き、展示されています。

その中に、「関西テレビ放送」の文字がありました。
関テレといえば月10ドラマや競馬中継が看板番組として知られており、アニメはMBSやABC・読売テレビほど力を入れていないようなイメージがあります。それでも、最近は日曜日の夜中にやっているいくつかの作品を制作しています。

キングレコードの新作アニメ『夜のクラゲは泳げない』が関西テレビ制作で放送されており、その関係でフラワースタンドが届いていました。

以前にも他社のイベントで似たようなことがあり、KYOANI MUSIC FESTIVALでABCからフラワースタンドが届いています。

angelaはいつものangelaだった

統合前の旧スターチャイルドの主力アーティストとして、デビュー20周年を迎えたangela。地元・岡山で開催された20周年記念ライブも大盛況のうちに幕を下ろしました。

今回は、フェスということもあり他のアーティストのファンもいます。angelaの恒例行事を知らない人も多数います。それにも関わらず、他の人の名前を使ったり、振り付けをさせるなどという恒例行事に巻き込んでいました。

果ては、2日目には七人のカリスマ声優からの流れで「なりすましのカリスマ」というネタまで出てきました。

ちなみに、このなりすまし芸は他のアーティストにまで伝染したようで、高橋洋子は「angelaのKATSUです」などとボケていました。

今日も全開、森口エンジン

森口博子といえば、バラエティ番組でよく見るイメージがあり、アニソンも歌うということはあまり知りませんでした。むしろ、ダイハツ・ミラ(4代目)のCMで、ボンネットに入って苦情が出たという話ばかり聞きます。

アニソンのイメージが薄いせいか、新鮮な気持ちで聞くことが出来ました。

新旧御三家

皆さんは、声優アーティストの元祖と言えば誰が思い浮かぶでしょうか。
近年では、主要な声優はほとんどがアーティスト業に参入しており、誰が誰だか分からなくなってしまうことがありますが、10年ほど前までは水樹奈々田村ゆかり堀江由衣が圧倒的な存在感を見せており、この3人で御三家と言われていました(他社のアーティストだが、当時は茅原実里も入れて四天王ということもあった)。

奈々さんといえば、声優として初めてドーム球場でライブをやる、紅白歌合戦に出るという功績を残しており、東京ドームでライブをやった数少ない女性ソロアーティストだったり、果ては阪神甲子園球場でソロアーティストとしても初めてライブをやっています。阪神の大ファン故に、関西圏では「みんなで六甲おろし」でも知られており、声優アーティストの代表的存在として認知されています。

しかし、奈々さんより前、1990年代にも声優アーティストはいました。
この当時の御三家は椎名へきる國府田マリ子林原めぐみで、椎名へきるは「声優として初めて日本武道館でライブを開催」、「ミュージックステーションに出演」という実績を残しました。

今回は、初日に林原めぐみ以外の新旧御三家がそろい踏みしました。
まさか、奈々さんとゆかりんが出てきてinnocent starterLittle Wish 〜lyrical step〜を歌うとは!!

今年は平成何年?

20年以上前、田村ゆかり堀江由衣は「やまとなでしこ」というユニットを組んでいました。当時2人がやっていたラジオ番組内で結成されたユニットで、2003年に全国ツアーをやりましたが、それ以降は活動していません。ただし、それ以降も共演作はあります。

21年の時を超えて、Kアリーナ横浜に、伝説のユニットが蘇りました。
終わって出た後、CDが売り出され、後日サブスクも解禁されました。

憧れは、時を超える。

どの世界にも、誰かに憧れて飛び込んできた人はいます。

奈々さんに憧れて声優業界に飛び込んできた、岡咲美保水瀬いのり
まずは、初日には「奈々さんに捧ぐCOSMIC LOVE」という感じで歌っていました。

そして2日目がハイライトです。

岡咲美保は、10年前に地元(岡山県備前市)で出たNHKのど自慢と同じDISCOTHEQUEを、奈々さんと共に歌いました。

水瀬いのりは『戦姫絶唱シンフォギアGX』で共演しており、その挿入歌「Glorious Break」を歌いました。その際、上に奈々さん、下にいのりんが立っており、ちょうど、奈々さんを見上げるような感じでした。(余談だが、いのりんも阪神ファン
GT-RとオーラNISMOが向き合って止まっているように見えました。

行く前に…

今回の会場だったKアリーナ横浜は、横浜駅の東側、みなとみらい地区にあります。

横浜駅から行く途中、日産の横浜本社(グローバル本社)の前を通ります。そこには日産ギャラリーがあり、最新の日産車を、実際に横浜市内をドライブして体験できます。

乗れる車の中にはGT-RフェアレディZもあります。せっかく2日とも行くのだから、開演前に乗ろうと考えていました。もちろん、セレナやオーラ、X-TRAILではなくGT-RフェアレディZに乗りました。

これについては別の記事で話します。

angela岡山凱旋ライブ

angelaはクセがすごいんじゃ。でもそれがクセになるんじゃ

岡山県出身の、アニソン業界で長く活躍している男女ユニット・angela。20年前に初めて聞いたときの衝撃はものすごいもので、最初は「クセがすごい歌い方じゃな」と思っていたのですが、だんだん慣れてきて、しまいには「いっぺんライブに行ってみたい」と、9年ぐらい前から思っていました。
フェスでは2017年のANIMAX MUSIX(横浜)で生歌を堪能でき、みのりんとのコラボで変な声が出てしまったこともありました。そして昨年、東名阪ツアーで大阪に来るということで参加を一度は決定し、チケットも買っていたのですが、直前に新型コロナウイルスに感染してしまい行けなくなり、さらに「京 Premium Live 2022」もangelaの出演日のチケットが取れず、なかなかangelaの生歌を堪能できない時期が続いていました。
そんなangelaも、今年メジャーデビュー20周年を迎えて、地元・岡山で凱旋ライブをやることになりました。昨年行けなかったリベンジと言わんばかりに、ファンクラブにも入って、2日間参加してきました。

今まで行ったライブは声優のものばかりだったので(水樹奈々茅原実里堀江由衣小倉唯鈴木愛奈斉藤朱夏Aqours・Liella!・harmoe)、声優ではないアニソン歌手のライブに行くのは今回が初めてです。
ついでに、岡山市内に足を運んだり(美作地域は行ったことがある)、山陽自動車道を走るのも初めてです。

  • atsuko(ボーカル、備前西大寺出身)
  • KATSU(ギターもしくはキーボード)

立ち位置は、atsukoさんが上手、KATSUさんが下手です(こんなことを書くと漫才師みたいだな)。

セットリスト

5月20日「全部が主題歌ライヴ」@岡山市民会館

  1. 蒼い春
  2. RECONNECTION
  3. To be with U!
  4. KINGS
  5. 綺麗な夜空
  6. The end of the world
  7. ANGEL
  8. オルタナティヴ
  9. 乙女のルートはひとつじゃない!
  10. 岡山凱旋メドレー
    • DEAD OR ALIVE
    • Beautiful fighter
    • 笑顔でバイバイ
    • memories
    • 今を、生きる為に
    • キラフワ
    • 僕は僕であって
  11. Start again
  12. イグジスト
  13. 全力☆Summer!
  14. AYAKASHI
  15. SURVIVE!
  16. シドニア
  17. 明日へのbrilliant road
  18. Peace of mind
  19. Shangri-La

岡山市民会館は1964年に竣工した、全国的に見てもかなり古いホールで、老朽化が進んでいたことから今年度末をもって閉鎖し、表町に新築した「岡山芸術創造劇場 ハレノワ」にその機能が受け継がれます、今回のライブは、岡山市民会館の閉館記念事業と位置付けられています。

5月21日「angela生誕祭」@岡山市西大寺公民館

  1. over the limits
  2. JUST COMMUNICATIONTWO-MIXのカバー)
  3. Spiral
  4. 謝罪状況
  5. Yell for you
  6. 果て無きモノローグ
  7. その時、蒼穹
  8. 蒼穹
  9. 僕じゃない
  10. YOU GET TO BURNING
  11. 二十四節気恋唄
  12. 騎士行進曲
  13. 幸せの温度
  14. KIZUNA
  15. Shangri-La
  16. 今でも…
  17. cheers!
  18. 明日へのbrilliant road

2日目は、場所をatsukoさんの故郷・備前西大寺に移してデビュー記念日にライブです。「公民館」という名前からかなりこぢんまりとした会場を予想していましたが、そこそこの規模があるホールでした。ただし、やはり「公民館」ということで用途は地域のイベントがメインのようで、atsukoさん自身も子供の頃にピアノの発表会などで行ったことがある、とのことでした。

旧名は「西大寺市民会館」で、帰りに立ち寄った西大寺銘菓「笹の葉せんべい」の塩見常盤堂のご主人も「市民会館」と言っていました。ただし、1969年に岡山市編入合併された旧西大寺市の名残というわけでもなさそうです(1971年竣工、2009年度まで「西大寺市民会館」)。

angelaのライブでは、終わった後にatsukoさんがブログにセットリストを書いてくれるので、ウォークマンのプレイリストをこしらえるのに助かります。

岡山弁丸出し

開演前にはatsukoさんから公演中の注意のアナウンスがありました。今回は凱旋ライブなので、ゴリゴリの岡山弁でやっていました。

初日の公演では岡山弁でMCをやろうとしていましたが、何しろ岡山を離れて東京に行って30年ということもあり、田舎臭いという意識があったらしく岡山弁が抜けてしまっていました。今でこそ、千鳥のおかげで岡山弁はメジャーな言葉となっていますが、少なくとも30年前は(どの方言も東京では)田舎臭いイメージが付いており、上京したら使わなくなるということが当たり前でした。MCでも「千鳥のように岡山弁を貫き通せば良かった」という話がありました。

そんなこんなで、atsukoさんが「相席食堂」に出て備前西大寺の街をぶらり旅して、時々「ちょっと待てぃ!」と突っ込まれるのを楽しみにしていたりもします。

初期のクセがすごい演出

初日の公演が終わった後、ホテルグランヴィア岡山の宴会場でデビュー記念日へのカウントダウンイベントが開催されました。これに参加するためにファンクラブに入ったようなものです。

その中で秘蔵映像を放出するという企画がありましたが、デビュー初期にやっていた、can/gooとの対バンライブの映像が流されていました。「スターチャイルドの新人、angelaです!」という挨拶や、画質(VHSビデオだった)に時代を感じます。

初期はあまり演出に費用をかけられず、風船を手でばらまくなどの演出をやっていましたが、うっかりポリ袋まで飛ばしてしまうことがあったようです。そのせいか、初期のangelaのライブは「何かが飛んでくる」という評判でした。クセがすごいんじゃ!

angelaの成人式

今回はキングレコード(旧スターチャイルド*1でデビューして20周年ということで、成人式を挙行しました。2人の実際の成人式はというと、KATSUさんは宣材写真の撮影がその日しかできない(当時の成人式は毎年1月15日で固定)ということで参加できなかったとのことです。岡山市の成人式も岡山市民会館でやっており、今回は同じ会場でライブをやりました。

ここでサプライズがありました。なんと岡山市長がゲストとして登壇しました。成人式ということで式辞の読み上げもありましたが、その中にはangelaの曲名がちりばめられていました。
さらに、「桃太郎のまち岡山大使」にも任命されました。件のファンクラブイベントの帰りに、2人の名刺を渡されました。

岡山市ゆるキャラ「ミコロ」と「ハコロ」も駆けつけました。この2人は委嘱式が終わった後もそのまま残り、「明日へのbrilliant road」に合わせて後ろで踊っていました。

KATSUさんが成人式に参加できなかったのはスケジュールの都合だったのですが、atsukoさんも成人式には参加できませんでした。atsukoさんは「angelaとしてやっていたから成人式に参加できなかった」と冗談交じりに文句を言っていましたが、それは表向きの理由で、本当は成人式に参加できるような家庭環境ではなかったと、備前西大寺で話していました。

デビュー20周年に寄せて

私がangelaを知ったのは「明日へのbrilliant road」からですが、本格的にハマったのは「Spiral」と「オルタナティヴ」あたりからで、ファン歴はざっと14年ほどです。それほど長い方ではありません。というのも、キングレコード(旧スターチャイルド)でデビューしてから20周年なのですが、それ以前はインディーズでやっていた時期が長く、その時代も含めると芸歴は30年に達するためです。

山陽新聞に2人の年齢が書いてありましたが、atsukoさんもKATSUさんも48歳で、デビュー当時の年齢は28歳とかなり遅咲きの部類に入ります。プロ野球だと、大学を出て社会人野球を経験してからプロ入りした選手のような感じでしょうか。

実は一度、1999年にメジャーデビューしています(当時のユニット名は全て大文字で「ANGELA」)。その時に出した曲が、岡山凱旋メドレーで歌った「memories」でした。しかしさっぱり売れず、インディーズに戻って路上ライブ中心の活動をしていた時期がありましたが、たまたまそのライブを目にした中西さん(中西豪 旧スターチャイルドのプロデューサーで、KING AMUSMENT CREATIVE本部に改組後は本部長)に発掘されたことでキングレコード(旧スターチャイルド)で再デビューということになり今に至ります。

カウントダウンイベントキングレコードの社長が出席するあたり、angelaキングレコードの社内で好待遇を受けているというのがわかりました。

さて、10月からは再び全国ツアーです。大阪に友人を連れて参加する予定で、再び岡山にも行こうかと考えています。

*1:以前は、キングレコードにはアニソン部門が2つあり、第三クリエイティブ本部(水樹奈々宮野真守etc.)とスターチャイルドangela林原めぐみ堀江由衣etc.)があったが、2016年2月に「KING AMUSEMENT CREATIVE」に統合された。ただし、当時の名残で今でも派閥がある

ならしかトレイン

近鉄では、12月5日より奈良線を中心に「ならしかトレイン」なるラッピング電車を運行します。運行開始を前に無料試乗会が行われ、先日参加してきました。

上本町の地上ホームに入ってきた「ならしかトレイン」

スタート地点は大阪上本町駅の地上ホームです。大阪線の列車が発着するホームなので、ここに奈良線の車両が出入りすることは異例です。
しかも、9番線からスタートです。9番線は上本町始発の特急が使うホームですが、特急の始発駅が難波にシフトしていることや*1、昼間の上本町発着の特急がなくなったため、昼間は空いています。

9番線から乗り込み、奈良へ向かいます。上本町の地上ホームからは、線路は鶴橋駅の1番線(生駒・西大寺・奈良方面、難波からの名古屋・伊勢志摩方面行き特急)とはつながっておらず、2番線(高安・国分・八木・名張方面、上本町駅地上ホームからの伊勢志摩行き特急)にしかつながっていません。このまま道なりに行くと大阪線に入ってしまいますが、奈良方に奈良線への渡り線があります。奈良線から大阪線に入る渡り線は、難波発の名阪・阪伊特急が使うためよく知られていますが、逆方向の渡り線はあまり使うことがありません。もちろん、3番線(難波・尼崎・神戸方面)・4番線(上本町駅地上ホーム行き)の場合はその逆で、大阪線から奈良線に入る渡り線は難波行きの名阪・阪伊特急が使いますが、逆に奈良線から大阪線に入る渡り線はめったに使うことがありません。今回は3部制で行われたので、奈良に着いてから折り返してきた列車が、上本町の地上ホームに入る際にこの渡り線を通ってきました。

鶴橋駅では2番線に到着しますが、招待された客だけが乗る列車なので、ドアは開けないでしばらく停車してから出発します。この他、布施と大和西大寺でもしばらく停車しました。

今回は上本町から奈良まで1時間かけて走りました。この区間快速急行で40分弱なのになぜこんなに時間がかかるのかと言うと、途中で3回も通過待ちをしたためです。八戸ノ里・瓢箪山東生駒で通過待ちをしました。一方で、全列車が停車する生駒・学園前を、客を乗せた列車が通過するという貴重な経験もしてきました。

←大阪・神戸 6 Mc 5 T 4 M 3 T 2 M 1 Tc
VH27 モ1027 サ1177 モ1077 サ1197 モ1097 ク1127

招待状には「4号車」と書かれていました。ただ、近鉄では一般車両の号車表示がないため、最初はどこかわからなかったのですが、実際は特急と同じく奈良方から1,2,3…という順番でした。

車内

「ならしかトレイン」車内

車内に入ってまず目に入るのは、奈良公園若草山を思わせる緑の床と、鹿柄のロングシートです。

優先座席の色が違う

ここ最近、近鉄電車の優先座席はオレンジで区別されていますが、この編成に限っては一般座席が茶色いため、区別が付きにくくなることから、優先座席は緑となっています。背中こそ他の優先座席と同じ柄ですが、座布団に鹿が描かれています。1匹だけ白いのがいます。

鹿がぶら下がる吊り革

座席前の長い吊り革にも鹿があしらわれており、「鹿せんべいに寄ってくる鹿」がモチーフとなっています。

網棚で寝ているように見える

各車両の1カ所だけ、網棚で鹿が寝ているように見えるところがあります。

弱冷車ステッカーも特別仕様
戸袋に角や手足を引き込まれないようご注意ください
貫通路を通行する際の注意

この他、車内の各所に鹿があしらわれています。弱冷車(奈良方から2両目)のステッカーも、この編成だけの特別仕様です。

大和西大寺駅にさしかかる、「ならしかトレイン」試乗会列車(第3便)

この車両のイラストを担当したのは、兵庫県三田市出身のイラストレーター「げみ」さん(http://gemi333.com/)です。教科書や小説のイラストで知られる他、最近ではポケモンカードゲームのイラストも担当しています。

この車両は阪神線直通対応ですが、通常貼られているステッカー(下の写真で運転席の下にあるステッカー)が貼られていません。

通常は、阪神線直通対応車両は運転席の下に蝶々マークのシールが貼られる

あをによし(19200系)

大和西大寺駅に入る京都行き「あをによし」

近鉄の観光特急シリーズ第3弾で、ターゲットは奈良です。伊勢志摩に「しまかぜ」、吉野に「青の交響曲(シンフォニー)」ときたら、奈良には「あをによし」です。
「あをによし(青丹よし)」とは、奈良にかかる枕詞です。

先日引退した12200系「スナックカー」を仕立て直したもので、生い立ちは16200系(青の交響曲)と似ています。形式も12200系から、千の位を9*2に変えて「19200系」となりました。

←大阪・京都 4 Mc 3 T 2 M 1 Tc
SA01 モ19201 サ19351 モ19251 ク19301
旧番号 モ12256 サ12156 モ12056 ク12356

この編成は12200系の最終編成で、デビューして間もない時期にエリザベス女王昭和天皇が乗車されたことでも知られています。

車体には大幅に手が入れられ、貫通扉を埋めて3連窓にしているほか、色は平安時代に高貴な色とされていた紫を基調にまとめられ、「ひのとり」と同じようなメタリック塗装がされています。
その一方で、側面の方向幕は12200系時代から変わっていません。そのため、表示は「大阪難波ゆき」、「京都ゆき」、「奈良ゆき」となっています。方向幕には全く手を入れていないため、今でも「名古屋」や「宇治山田」などの表示が残っているほか、動き方も1コマずつの間欠動作です。

奈良への観光特急ですが、運行区間は大阪・京都の両方からです。ただし、「しまかぜ」のようにそれぞれで独立した系統を設定するのではなく、午前中に大阪から奈良を通って京都まで行き、昼間は京都~奈良を2往復し、夕方に京都から奈良を通って大阪へ戻るというものです。近鉄特急で大阪~京都の系統(阪京特急)が設定されるのは30年ぶりです。

京都~奈良のみの場合、停車駅は丹波橋西大寺だけで、他の特急と変わりはありません。
大きく違うのは朝と夕方に大阪~京都を直通する場合で、30年前の阪京特急は奈良駅まで行かず西大寺で方向転換していたため*3、途中の停車駅は上本町・鶴橋・生駒・学園前・西大寺(当時の特急は丹波橋には停車せず)だけでした。
ところが、「あをによし」は奈良への観光特急という性格上、奈良駅まで行く必要が出てきました。そのため、奈良駅まで行って折り返すことになり、西大寺~奈良を2回通るようになりました。運賃・料金に関しては、奈良駅で下車せず大阪方面と京都方面を行き来する場合に限り、西大寺~奈良の分は含めずに運賃・料金を計算します。

停車駅が独特で、西大寺を2回通るのですが、京都線に出入りする際にはドアを開けて乗降できるようにしているのに対して、奈良線に出入りする際は通過扱い(運転停車)となっています。案内上は「通過」ですが、実際は他の列車との兼ね合いもあり、一旦停車してから出発していました。実際、夕方の難波行きは京都行き急行を先に行かせてから出発していました。

難波から京都まで、停車して客扱いをする駅を並べると、上本町・鶴橋・生駒・学園前・奈良・西大寺丹波橋の順番になります。奈良駅を出ると、京都行きは「次は西大寺」、難波行きは「次は学園前」と案内されます。

副駅名「奈良公園前」

副駅名「奈良公園前」が入った近鉄奈良駅駅名標

奈良駅はJRと近鉄にありますが、主要な観光地に近いのは近鉄奈良駅です。中心市街地に近い故、乗降客数は奈良県内No.1で、奈良県内の駅で唯一3万人を超えています。

その近鉄奈良駅から奈良公園へは、駅を出て東側へ歩いて5分程度の場所にあります。この度、奈良公園など奈良の主要な観光地の最寄り駅であることがわかりやすいよう、近鉄奈良駅に「奈良公園前」という副駅名が付けられました。

これに合わせて駅名標も取り替えられ、鹿のイラストが入ったものとなっています。また、英文でも副駅名が付けられ、Nara Parkと記されています。近鉄で他に副駅名がある駅は、副駅名は日本語表記のみとなっています。

駅名を変更する場合は国土交通省に届け出る必要がありますが、副駅名は自由に付けられるため、著名な観光地などの最寄り駅をアピールする手段としてよく使われています。

*1:一時期、名阪特急は難波発着、阪伊特急は上本町発着と分けられていたが、2003年のダイヤ変更以降は棲み分けが崩れて難波発着の阪伊特急が増加し、「しまかぜ」も当初から難波発着で設定されている。逆に、2016年のダイヤ変更までは上本町発の名阪特急が平日に1本だけあったが、現在でも上本町終着の名阪特急が平日に1本ある

*2:かつての奈良・京都線車両は千の位が8・9と決まっていた。そのため、1960年代に走っていた京都・橿原線向けの小型特急車は千の位を8にして、18000系・18200系・18400系だった

*3:京都~大阪の直通を主目的としていたため。京阪間の鉄道は国鉄・阪急・京阪の3社があり、この3社は大阪側のターミナルが梅田や淀屋橋、いわゆる「キタ」に集中しているが、これが難波など「ミナミ」となると、京都からはどの社も直通列車の設定がなく乗り換えを必要としていた。近鉄はそこに目を付け、1973年3月のダイヤ変更で西大寺で折り返してまで特急を設定し、京都と大阪ミナミを直通する潜在需要を掘り起こそうとしていたが、京都・大阪~生駒・西大寺区間利用が多く、京都~大阪の直通客は少なかった。そのため、1992年のダイヤ変更で京奈特急と阪奈特急に分割されて消滅した。なお、この阪京特急が奈良線では初の有料特急で、その半年後に阪奈特急も設定された

*4:東大阪市は3つの市(布施・河内・枚岡)が合併してできたため、その名残で「東大阪」という駅はない。2003年に荒本駅の近くへ市役所が移転した後、東大阪線学研奈良登美ヶ丘まで延伸する際に路線名が変わってしまうため、せめて駅名に「東大阪」を残そうと荒本駅を「東大阪駅」に改称しようという機運が一時的に盛り上がったことがある

きんてつ鉄道まつり2022

新たなる紅き近鉄特急

しばらく開催されていない間に、近鉄の看板列車として知られる名阪特急に新型車両80000系「ひのとり」が導入され、2021年には停車駅が少ない名阪特急が全て「ひのとり」にそろえられました。
今年に入ってから、急がないときは鶴橋や難波から「ひのとり」で名古屋へ足を運んでいます。

五位堂会場では、付近を「ひのとり」が通過する際にアナウンスがありました。名古屋行きは毎時22分頃、難波行きは毎時41分頃に通過していました。

五位堂検修車庫の横を通過する名古屋行き「ひのとり」
五位堂検修車庫の横を通過する大阪行き「ひのとり」

帰り道にも撮れました。このうちの1枚はよく撮れたので、2L判でプリントしています。

五位堂駅を通過する「ひのとり」第15列車
近鉄四日市駅を通過する「ひのとり」第65列車

車両数は21000系と同じ72両で、6両編成が8本、8両編成が3本あります。ただし、21000系は6両編成に増結用の2両ユニットを挿入して8両編成にするのに対して、80000系は別に8両固定編成が用意されています。8両編成は下2桁を50番台として区別しています。

また、80000系は標準軌の特急車両としては初めて、日立製の主要機器が一部の編成で採用されています。50000系までの標準軌の特急車両は、足回りは全て三菱電機製でした。足回りが日立製の編成は、下2桁を10番台として区別しています。

  • 6両編成・足回りが三菱:01-04
  • 6両編成・足回りが日立:11-14
  • 8両編成(足回りは三菱のみ):51-53

ノンストップの距離がえげつない

鶴橋で環状線から乗り換えて五位堂へ向かう際、たまたま快速急行に乗ることができました。この快速急行はなんと、鶴橋を出ると五位堂までノンストップです。実に26kmも走り続けることになります。

なぜここまでノンストップ区間が長いのかというと、近鉄各線の急行・快速急行は主に奈良県内(奈良線生駒市奈良市大阪線は中和・東和地区)や伊賀地方から大阪市内への速達種別として位置づけられており、客層を分けるためにあえてノンストップ区間を長くしています。その中間の地区(東大阪市・八尾市・柏原市)の速達需要は準急・区間準急が受け持つようになっています。近鉄線は朝は大阪方面、夜は奈良方面に需要が偏っている上に*1大阪線だと伊賀地方から大阪へ通勤する人もいるため、このような停車駅の設定になっています。

1960年代の「快速急行」ではなく「急行」*2だった時代は五位堂どころか大和高田も通過しており、さらにかつての急行は布施も通過していたため*3、鶴橋から大和八木まで33.7kmに渡ってノンストップで運行していたこともありました。
また、五位堂駅には1987年のダイヤ変更まで準急以下の列車しか停車しなかったため、急行は布施から大和高田まで、快速急行(2001年のダイヤ変更まで五位堂は通過)と区間快速急行(2012年のダイヤ変更で廃止)は鶴橋から大和高田までノンストップでした。

奈良線でも同様に、快速急行は鶴橋を出ると生駒までノンストップとなっています。ただし、1976年のダイヤ変更までは旧・特急(1972年のダイヤ変更で快速急行に改称)の名残で、朝の上り列車に大和西大寺から鶴橋までノンストップの列車がありました。

逆向きのアーバンライナー

逆向きで五位堂検修車庫に入ってきたアーバンライナー

通常、アーバンライナーのデラックスカーは名古屋方面の先頭に立ちますが、この時に限って大阪方面の先頭にありました。

というのも、この編成は開催数日前に名古屋線で踏切事故に遭遇し、修繕のために五位堂まで来たのですが、その際に伊勢中川の短絡線を通らず、一旦伊勢中川駅に入ってから五位堂まで回送されたためです。近鉄特急の車両の向きは、伊勢中川の短絡線を通る名阪特急が基準となっており(伊勢志摩ライナー*4・しまかぜを除く)*5伊勢中川駅に入って折り返すと大阪線では向きが逆になります。*6

おそらく、何らかの理由(一般車*7を救援車に用いた?)で伊勢中川の短絡線を通ることができず、伊勢中川駅経由で回送ということになったと見られます。

ひのとりタクシー

柏原市内を中心に走る「ひのとりタクシー」

近鉄特急のフラッグシップ「ひのとり」をPRするため、近鉄タクシーグループではトヨタ・ジャパンタクシーを「ひのとり」カラーに塗った「ひのとりタクシー」を大阪市内や名古屋市内、伊勢志摩エリアで走らせています。塗装は自社の整備工場で行っています。

以前、名古屋駅前(桜通口)で営業しているところを見たことがありましたが、今回は近鉄タクシーが出展しており、じっくり見ることができました。

なお、塗装こそ「ひのとり」と同じですが中身は普通のタクシーです。

7000系 in 五位堂

五位堂で検査中の7000系

五位堂検修車庫では近鉄のほとんどの車両の検査を行っていますが、近鉄の路線の中には軌間の異なる路線(南大阪線御所線・長野線・吉野線)や、集電方式・電圧の異なる路線(けいはんな線)があります。実際は、これらの路線の車両も五位堂へ持って行って検査をしています。

今回は、けいはんな線7000系が五位堂に入庫していました。けいはんな線は、軌間こそ奈良線橿原線大阪線と同じ1435mmですが、集電方式と電圧が異なり750Vの第三軌条方式です(他の近鉄線は1500V・架空電車線方式)。したがって、五位堂まで自力で走って行くことはできません。

そこでどのようにして五位堂まで運ぶのかというと、けいはんな線の車庫(東花園検車区東生駒車庫)は東生駒にあり、そこで線路が繋がっています。ここで3両ずつに分割し、集電装置と出入り口のステップを外して前後に電動貨車(モト77・78)を連結して回送します。
その際、電動貨車に何も積んでいないと牽引力を稼げずスリップしてしまいます。南大阪線系統の車両は台車を回送用のものに交換し、いつも使用する台車を電動貨車に積んで錘にして牽引力を稼ぎますが、7000系・7020系の場合は台車交換が不要なことから錘になるものがありません。そのため、わざわざコンクリートのブロックを積んでいます。

また、けいはんな線の場合は集電方式だけではなく車両そのものの寸法も異なります。一般的な近鉄の車両は全長が21m、幅は2.8mありますが、けいはんな線は大阪メトロに合わせて全長が18m、幅が2.9mとなっています。これは、けいはんな線より前の東大阪線の原型が、1971年に出された大阪市営地下鉄中央線の生駒への延伸計画奈良線のバイパス路線として考えられていた)だったためで、荒本(後に長田)を境に西側を市営で、東側を近鉄が建設して相互直通運転を行うように考えられていました。このため、必然的に大阪市営地下鉄の規格に合わせられることになり、他の近鉄の車両とは全く異なる車両が必要となりました。
しかし、設計段階で重要部検査は五位堂で行うことを念頭に置いており、近鉄線の車両限界に引っかからないよう、奈良線の車両と比べると大きく裾を絞っています。そのため、ホームと車体の間に隙間ができてしまうので、ドアの下にステップを付けています。

この他の相違点としては、連結器の形状があります。実は、大阪メトロの連結器は一見近鉄と同じような柴田式密着連結器のように見えますが、微妙に形状が異なります。そのため、7000系・7020系の先頭部と3・4両目の間の連結器は大阪メトロタイプとなっており、モト77・78は前後で連結器の形状が異なります。

近鉄最後の電気機関車

塩浜で入換車両として使われるデ32

かつては近鉄でも電気機関車がいくつか所属していました。これらの車両は、合併する前の各社が国鉄と連携して貨物列車を走らせていましたが、その列車に使用するための電気機関車近鉄が引き継いだものでした。
近鉄から貨物列車が姿を消してからも、一部は工事列車の牽引用に残され、名古屋線標準軌化に当たってはその対応工事を施工したものもありました。

しかし、工事列車は電動貨車が担当するようになって電気機関車も少なくなり、塩浜で構内入換車両として使われているデ32が、近鉄では最後の電気機関車です。

阪神電車(5500系・5550系)のような色ですが、れっきとした近鉄の車両です。

ミジュマルトレイン

ミジュマルトレイン(モ1266-ク1366)

2021年12月にミジュマルが「みえ応援ポケモン」に任命されました。
「三重」がミジュウとも読め、「ミジュマル」の名前と親和性があります。
また、ミジュマルはおなかに貝のような見た目の「ホタチ」を持つ特徴があり、真珠貝(アコヤガイ)や牡蠣など貝類をはじめとした海の幸にも恵まれている三重県をPR・応援するには、ぴったりのポケモンです。
三重県ミジュマルのさまざまな取り組みを通じて、ミジュマルといっしょに三重県の魅力を発見してほしいという思いから、選ばれました。

展示だけで車内は見られませんでしたが、車内も大幅に手が入れられています。

ワンマン運行に対応しており、主に山田線・鳥羽線志摩線の各駅停車で使用されています。

30年目の再出発

リニューアル「楽」
真正面から

近鉄には、他の私鉄では見られない貸切専用車両があります。そのうちのひとつが、1990年に登場した20000系「楽」で、貸切料金はこれが最高額となっています。
その「楽」ですが、2020年に登場30年目にしてリニューアルを行いました。近鉄の他の車両は概ね20年程度でリニューアルを行いますが、貸切専用車両ということで走行距離が少ないため、30年目でのリニューアルとなりました。

まず、塗装が大幅に変わり、阪急電車を思わせる「漆メタリック」となりました。
内装にも大幅に手が入れられ、座席が広くなった代わりに定員が164名(改造前は260名)まで減らされ、そのために特別料金がかかるようになりました。

時折、この車両を用いたツアーをやっているので、参加して中身を確かめることにします。

左:15200系「新あおぞらII」 右:15400系「かぎろひ」

近鉄の他の団体専用車両としては、12200系「スナックカー」を改造した15200系「新あおぞらII」と、15400系「かぎろひ」があります。
「新あおぞらII」は18200系「あおぞらII」の後継として位置づけられており、初代あおぞら号(20100系)を受け継いで主に修学旅行列車として使用されています。なお、ネーミングは「新あおぞらII」であり、「あおぞらIII」ではありません。
「かぎろひ」はクラブツーリズムのツアー専用車両として位置づけられています。

Hearty Trip 三重交通

三重交通四日市営業所・1509号車(いすゞ・エルガ)

三重県唯一のバス会社、三重交通。その前身は伊勢電気鉄道(近鉄名古屋線の桑名以南と、養老線鈴鹿線を建設した)のバス部門で、戦時中に三重県内の中小私鉄・バス会社を全て統合して「三重交通」となりました。発足当初は鉄道路線(ローカル線)もありましたが、1965年に分社化し、近鉄に合併されたことでバス専業の会社になりました。
三重県内のバス会社は、伊勢市内の分社拠点(一時期、東紀州の営業所も分社化していた)や、松阪駅多気のシャープの工場(携帯電話などに使う小さいLCDの生産拠点)を結ぶ路線を運行する「三重急行自動車」、員弁川の南岸と桑名駅を結ぶ「八風バス」もありますが、これらは全て三重交通グループなので、実質的に三重県内のバス会社は三重交通のみ、と言っても良いでしょう。

新型エルガの運転席

この車両は三重交通で最新のもので、2019年式のいすゞ・エルガです。系列にいすゞの販売会社があるため*8三重交通いすゞ車ばかり走らせています。

最近のバスはMT車がなく、乗用車と同じようなトルクコンバーター式AT、または機械式AT*9のどちらかで、ペダルはアクセルとブレーキの2つだけです。
この車両は機械式ATですが、シフトレバーは乗用車のATに近いものとなっています。R・N・Dの3ポジションと、マニュアルモードが備わっています。
トルコンATの場合はレバーではなくボタンでポジションを選択するようになっています。ただし、メーカーによって操作系が異なり、R・N・DとUP・DOWNのボタンがあるもの、もしくはR・N・D・3・2・1の6ポジションをボタンで選択するものがあります。
いずれにせよ、駐車する際はNに入れておきます。P(パーキング)がないのは、バスなど大型車は重すぎ、内部構造の強度の関係により変速機でブレーキをかけることができないためです。

三重交通の車両の特徴といえば…

三重交通のバスといえば、窓の上に2つある広告枠です。最近入った新車でも受け継がれています。
ただし、数は少ないのですが他社から移籍してきた車両があります。移籍車両には付いていません。

他に、三重交通名古屋市バスの一部の営業所の業務を受託していますが、車両はあくまでも名古屋市バスのものなので、後部窓上の広告枠は付いていません。

*1:南海電車も同様で、朝は大阪方面、夜は泉州・和歌山方面に需要が偏っている。阪急・阪神・京阪だと、阪急宝塚本線こそ急行を宝塚・川西周辺から梅田への速達需要に特化させているが、他の路線は神戸・京都方面の需要も大きいため、遠近分離のダイヤが組みにくいという事情がある

*2:現在の急行は、布施駅の立体化が完成した1978年のダイヤ変更で布施駅に停車する列車として改めて設定されたもので、旧来の布施駅を通過する急行は朝夕に残され、区別するため「快速急行」と改称された

*3:立体化までは奈良線大阪線共に急行は布施を通過していたが、それぞれの急行は性格が対照的で、大阪線の急行が停車駅を絞って名古屋・伊勢志摩方面への長距離輸送にも対応していたのに対して、奈良線の急行は鶴橋を出ると石切までノンストップで残りの区間は各駅停車と、準急と大して変わりがなかった(なお、奈良線の急行は1976年のダイヤ変更で一旦なくなったが、1978年のダイヤ変更で復活した)

*4:2001年のダイヤ変更からしばらくの間、名阪特急の運用があり伊勢中川の短絡線を通っていたため、その時期は車両の向きが名阪特急を基準とされており、伊勢中川以南で向きが変わっていた

*5:大阪線名古屋線では向きがそろえられているために、伊勢中川以南では名古屋行きと大阪・京都行きで向きが異なる。そのせいで号車も異なっており、大阪・京都行きは最後尾が1号車(A号車)なのに対して、名古屋行きは先頭が1号車になっている。「しまかぜ」と「伊勢志摩ライナー」は発着地に関係なく向きは同じだが、他の特急と案内をそろえるため、号車の数字を大阪・京都行きと名古屋行きでわざわざ変えている

*6:大阪線名古屋線で向きの異なる編成が混在しないよう、宇治山田・五十鈴川・鳥羽・賢島で折り返す際は大阪・京都から名古屋へ行くことがないように運用が決まっている。ただし、1980年代の一時期には京都から来た編成が賢島で折り返して名古屋へ行くことがあり、その編成だけ名古屋線で向きが逆になっていたが、翌日に同じルートをたどって向きを戻していた

*7:一般車は伊勢中川の短絡線を通らず、大阪線名古屋線ではMc車が伊勢志摩方の先頭に立つようになっている。そのため、伊勢中川の短絡線を通してしまうと向きが逆になって、通常運用に戻る際に向きを戻す手間がかかってしまう。ただし、過去に奈良線から大阪線名古屋線に車両を転属させたときは、一時的な場合は向きを変えずに使っていたこともあったが、恒久的に使用する場合は伊勢中川の短絡線を使って向きを変えた

*8:ちなみに、「いすゞ」の名前の由来は伊勢神宮のそばを流れる五十鈴川

*9:構造こそMTと同じだが自動で変速する。メーカーによってはAMT(Automated Mechanical Transmission)やAGS(Auto Gear Shift)ということもある。かつて、いすゞはNAVi5やNAVi6という機械式ATを開発し、ジェミニ・アスカといったセダンや、エルフ・キュービックといった大型車に搭載していたことがあり、後にトラック向けの「スムーサー」へ発展する