阪神なんば線開業前夜

いよいよ明日、「阪神なんば線」が開業します。60年前から構想があり、40年以上塩漬けになっていたのですが、いよいよ明日実現します。

阪神なんば線が開通したことによって、神戸から奈良へは乗り換えなし、名古屋・伊勢志摩方面へは1回乗り換えるだけで行くことができるようになります。姫路・網干から名古屋・伊勢志摩まで標準軌の線路が延々と続くため、やろうと思えば山陽姫路近鉄名古屋or賢島行き直通特急、なんてのも運行することができます。実際、修学旅行の団体列車を走らせようという構想があり、阪神・山陽・近鉄の3社で協議が進められています。

車両

開業にあたって、阪神では1000系・9000系近鉄ではシリーズ21(5820系・9020系・9820系)・5800系・1252系・1026系が用意されます。開業前までは8000系の快速急行というのがあったのですが、開業後は昼間の快速急行はすべて三宮まで乗り入れるため、シリーズ21快速急行が増えるでしょう。ちなみに、L/Cカー阪神直通運用に入る場合は時間帯に関係なくロングシートで運行します。



列車運行

昼間はおおむね以下のような感じで運行されます。

平日:快速急行(三宮〜奈良)と各駅停車(尼崎〜大和西大寺)を1時間に3本ずつ

土曜・休日:快速急行(三宮〜奈良)・区間準急(尼崎〜大和西大寺)・各駅停車(尼崎〜東花園)を1時間に3本ずつ

土曜・休日のほうが本数が多いのは、近鉄快速急行はもともと土曜・休日は8両編成で運行されている関係で尼崎〜西九条間がノンストップになるため、区間準急を乗り入れさせてフォローしているためです。

4つの「九条駅

開業後、西大寺からは乗り換えなしで3つの九条駅に行くことができます。近い方から橿原線の「九条駅」、烏丸線の「九条駅」、そして阪神なんば線の「九条駅」。さらに、乗り換えを1回だけ許容するならば大阪市営地下鉄の「九条駅」にも生駒で乗り換えると行くことができます。ちなみに、大阪市営地下鉄九条駅阪神九条駅と同じところにあります。そして、4つとも近鉄の車両が乗り入れてきます。

また、4つの九条駅まで連絡切符・定期券を買うことができます。そのため、出札窓口で単に「九条まで」というとどの九条かわからなくなるため、「阪神九条まで」「京都の九条まで」「中央線の九条まで」「橿原線九条まで」と言わないと目的の「九条」までの切符が買えず、もし入力を間違えられると面倒なことになります。それどころか「九条から九条まで」の切符を買うこともできるため、九条駅がらみの切符でトラブルが起こる」可能性があります。

特に大阪の「九条駅」へ行く場合、地下鉄経由と阪神なんば線経由では運賃が異なるため、切符を買い間違えると生駒〜九条間の運賃を別途請求されますが、地下鉄経由の切符で阪神九条で降りた場合は大阪難波経由の、阪神なんば線経由の切符で地下鉄の九条駅で降りてしまうとけいはんな線・中央線経由の運賃を取られます。もっとも、生駒駅には乗り換え用の改札があるため、阪神なんば線経由の切符を通すと引っ掛かるでしょうが。

参考までに、西大寺から大阪の九条までの運賃は阪神なんば線経由で680円、けいはんな線・中央線経由だと750円。

ちなみに、日比谷駅でも似たようなケースがあり、田園調布〜日吉間の各駅から日比谷へは東横線・日比谷線経由でも目黒線三田線経由でも行ける、なんてことがあります。九条駅のケースと同様、東横線・日比谷線経由と目黒線三田線経由では運賃が異なります。また、東京メトロ各線から東武伊勢崎線の北千住以北へ向かう場合、日比谷線経由と半蔵門線経由で運賃が異なる*1というケースもあります。

運賃

運賃は、新規区間のみ乗車する場合は60円、新規区間と既設区間をまたがって乗車する場合は90円が通常運賃に加算されます。ちなみに、山陽電車にも乗る場合、明石からだとJR線経由(大阪・鶴橋で乗り換え)が一番安く行けますが、姫路からだとなんば線経由が安くなります。

また、阪神本線武庫川線と新規区間をまたぐ通勤定期券を持っている場合、梅田でも乗り降りできるサービスも始まります。あくまで梅田で乗り降りできるというだけで、福島とか野田では降りられません。

乗務員交代はどこで?

当然ながら、近鉄の乗務員が三宮まで、阪神の乗務員が奈良まで通しで乗務するはずがなく、乗務員交代をしますが、どこでやるのかというと大阪難波駅ではありません。「阪神線内では阪神の乗務員が、近鉄線内では近鉄の乗務員が乗務する」という常識*2で考えれば大阪難波駅で交代するはずなのですが、実際は桜川で行われることになっています。列車番号も桜川で変わります。ちなみに、難波を境にして上り・下りが入れ替わります。難波からは奈良方面へも三宮方面へも下りとなります。

どういうことなのかと考えてみると、なんば線の建設に当たっては、3本あった引き上げ線のうち2本をつぶして本線にし、その代わりとして桜川駅の神戸方に2本引き上げ線を設置してあります。その関係で、大阪難波折り返しの近鉄の列車も、桜川までは回送という扱いで走ってきます。その回送列車は当然ながら近鉄の運転士が運転します。「回送列車は近鉄の運転士が運転するが、尼崎・三宮行きは阪神の運転士が運転する」なんてことになるとややこしいので、どちらかに統一してしまおう、ということを考えてみました。桜川までは特急や阪神乗り入れ非対応の通勤電車が出入りすることや、折り返す際に乗務員も交代する運用があるためです。ちなみに、現段階では奈良・西大寺から難波で折り返す列車はこれまで通りありますが、尼崎・三宮方面からの難波止まりはありません。

*1:日比谷線経由の場合は北千住で区切るが、半蔵門線経由だと押上で区切る

*2:ただし、阪神・山陽・阪急ではその「常識」が通用しない区間がある