電気自動車を体感

今日は兵庫日産で、「リーフ」に試乗してきました。ガソリンエンジン以外の車、というより内燃機関以外の車に乗るのはもちろん初めてです。

リーフは、量産車では初めてプラットフォームから練り上げた電気自動車です。これまでの電気自動車はガソリン車をベースに開発されたものが多く、三菱「i-MiEV」などがあります。

今回もまた、乗り込んでエンジンをかける…のではなく、起動するところから始めます。ブレーキを踏み、電源ボタンを押すと起動しますが、エンジンがないのでパソコンみたく起動音が鳴ります。

シフトレバーは、ガソリン車と同じ場所にありますが形は大きく異なり、マウスかトラックボールのような形でした。あの形はうまく説明できません。というより、あれはレバーではありません。まず右に倒し、前に押し込むと「R」、後ろに引くと「D」、「D」の状態でもう一度右下に引くと「ECO」、てっぺんのボタンを押すと「P」に入ります。

駐車ブレーキは、シフトレバーの後ろにスイッチがあります。なお、マイナーチェンジでフーガなどと同じ足踏み式に変更されたようです。

スペック

車両のスペック
車両型式 ZAA-ZE0
駆動方式 FF
スリーサイズ(mm) 4445(L)×1770(W)×1545(H)
空車重量 1520kg
定員 5人
トランスミッション なし(前進1段のみ)
モーターのスペック
モーター型式 EM61
種類 永久磁石同期電動機
最大出力 80kW(109PS)
最大トルク 280N・m(28.6kgf・m)

変速機がない

電気自動車は、モーターが回転数0から大トルクを発生できるという特性上、変速機は(今のところ)必要ないため付いていません。そのため、当たり前ですが変速ショックなんてものはなく、スムーズに加速します。CVTも変速ショックはないのですが、そんなものではありません。踏み込んでいけばどこまでも加速し続けます。

曰く「低・中速域での加速はフーガ並み」 実際、モーターのトルクは254N・m(マイナーチェンジ前は280N・m)と、VQ25HRとほぼ変わらないものです。最終減速比は8.19と、加速を重視しています。

それではどうやって変速するのかというと、モーターの回転数自体を変えていますが、モーターの回転数自体はVVVF制御で自由自在に変えられます。その証拠に、電車・電気機関車で変速機があるものはありません。バックギヤもなく、「R」に入れるとモーターを逆回転させます。

ただし、変速機がないゆえのデメリットもあり、「航続距離が短い」「最高速度が低い」というのがあります。そのため、「ハイパーミニ」*1などに代表されるかつての電気自動車は街乗り用として割り切っており、カーシェアリングの実証試験に使われたこともありました。

充電するには?

電気自動車は大容量のバッテリーを装備し、そこから電気を取り出して走ります。なので、当然充電器は必要ですが、100Vで充電すると非常に時間がかかるため、200Vで充電することが推奨されています。

リーフの場合、正面の日産マークがあるところが開くようになっており、そこを開けると充電端子が出てきます。そこに繋いで充電します。

電気自動車の場合、200V電源を車庫に引っ張ってきてコンセントを取り付け、充電器を設置する工事が必要になり、車両本体だけではなくこれらの工事費も必要になります。ただ200Vとは言っても、大きめのエアコンや“エコキュート”などで使用するものと同じ(単相交流)なので、どの家庭にも引き込まれており、所定の工事を行う*2だけですぐ使用できます。これが「三相交流」(いわゆる“動力”)だと話がややこしくなってきます。

あの車格で…

サイズはティーダよりちょっと大きい程度(幅が1700mmを超えているので3ナンバー)、モーターの出力もHR15DEと同じ80kWですが、モーターのトルクだけは大きいため、「スカイラインやフーガ並みの高加速」を実現しています。

また、自動車税は「排気量1000cc以下」という扱いになり、車格の割に安く上がります。

電気自動車ならではの装備

電気自動車は音がガソリン車に比べて小さいため、気づかれにくいという問題があり、事故の原因となります。そのため、強制的に音を出して存在を知らせる装置があります。ハイブリッドカーも同じ問題を抱えており、フーガハイブリッド・シーマにも付いています。

もうひとつは、電気自動車専用のカーナビ。もし出先で充電する必要が生じた場合、ボタンひとつで近くの充電設備を探すことができます。また、バッテリーの残量に応じて「どこまで行けるか」というのも出てきます。

*1:あまり知られていないが、日産初の軽自動車は「モコ」ではなく「ハイパーミニ」であり、日産の軽自動車で唯一のオリジナルモデルでもある

*2:家庭に引き込まれている電源は「単相3線式」といい、3本の線に0V・100V・-100Vがそれぞれかけられており、0Vと100Vもしくは-100Vの線に繋いで100V、100Vと-100Vの線に繋いで200Vを得る。200Vのコンセントを設置する際にどんな工事を行うのかというと、配電盤まで3本の線が来ている場合は分岐ブレーカーの配線を繋ぎ変えるだけでよいが、家の中まで来ていない場合は配電盤まで引き込まないといけないため大工事になる