本当に1200ccなの?
今日は兵庫日産へ行ってきました。なぜかというとK12マーチのリコールが届け出られ、対象になってしまい、呼び出されたためです。で、作業内容が結構厄介なもので、「2時間は覚悟しておいた方がよい」と行く前に言われており、その待ち時間を有効活用する手段を考えた結果「試乗する」というのが浮かんできました。
アイドリングストップはK13マーチで体験済みで、次はどの技術を体験しようかと考えていたところ、電気自動車(リーフ)かスーパーチャージャー(E12ノート)が浮かんできました。ハイブリッドも考えましたが、Y51シーマとY51フーガしかなく、C26セレナはあまり変わり映えしなさそうのでやめました。
そして、試乗キャンペーンなどがないか調べたところ、「E12ノートに試乗したら抽選でQUOカードが当たる」というのがあったので、E12ノートにしました。
せっかくなので「スーパーチャージャー付きのグレードに乗りたい」と思っていましたが、行って「スーパーチャージャー付きのE12ノートに乗りたい」と言ったところ、乗ることができました。
試乗車のグレードは「メダリスト」。旧来の日産ファンならローレルの売れ筋グレードを思い浮かべるでしょうが、ノートとしては最上級グレードで、C11ティーダの後継も兼ねています。もうひとつ、売れ筋グレードの「X」も用意してありましたが、スーパーチャージャーがありません。
セールスマンに呼ばれ、運転席に座ってエンジンをかけると、フーガみたく針が最大まで振りきれて0まで戻り(メータースイープという)タコメーターが動き出します。K13マーチのときもそうでしたが、ブレーキを踏んでボタンを押すとエンジンがかかります。
街中を走る程度では、スーパーチャージャーが効いているのはあまり分かりません。ただ、低速域でも効かせてあるのか時々少し踏んだだけで急加速してしまうことがありました。ただ、スーパーチャージャーの構造上「ある回転数を境に突然効き始める」ということはありません。
もっと体感できるよう、試乗コースに高速道路(無料で走れる区間)を組み込んであるのです。1200ccの自然吸気エンジンだと、高速域ではしんどいのですが、スーパーチャージャーがあるとかなり加速してもまだまだ余裕があります。「本当に1200cc車なのか?」と思ってしまいます。今回は2人しか乗っていなかったのですが、4人フル乗車・フル積載でもかなり余裕があるような気がします。本領を発揮するシチュエーションとして、六甲山を越えるとか有馬温泉まで走るというのが考えられます。
「HR12DDR」というエンジン形式が示す通り直噴エンジンなのですが、直噴エンジンにありがちなインジェクターの騒音*1は乗っている限り聞こえてきませんでした。
アイドリングストップも付いていますが、K13マーチのときは試乗車のグレードが「12X」でタコメーターがなかったので音でしかわからなかったのですが、E12ノート「メダリスト」は最上級グレードということでタコメーターが付いており、信号待ちで止まると0を指す*2ので止まったというのがわかります。しかし、最近のコンパクトカー・軽自動車にはタコメーターがないのが多いのですが、これは車としてどうかしていると思います。
スペック
車両のスペック
車両型式 | DBA-E12 |
---|---|
駆動方式 | FF |
スリーサイズ(mm) | 4100(L)×1695(W)×1525(H) |
空車重量 | 1090kg(メダリスト) |
定員 | 5人 |
トランスミッション | 副変速機付きエクストロニックCVT |
エンジンのスペック
エンジン型式 | HR12DDR |
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気筒数 | 直列3気筒 |
バルブ数・機構 | DOHC 12バルブ・CVTC |
燃料噴射方式 | 直噴(DIG) |
過給機 | スーパーチャージャー |
排気量 | 1198cc |
最大出力 | 72kW(98PS)@5600rpm |
最大トルク | 142N・m(14.5kgf・m)@5200rpm |
特記事項 | ミラーサイクル |
スーパーチャージャーとターボチャージャーの違い
目的としては同じものなのですが、どのようにして駆動するのかというのが異なります。
ターボチャージャーが排ガスの圧力でタービンを回して圧縮空気を送り込むのに対して、スーパーチャージャーは動力をエンジンのクランク軸から取り出して空気を吸い込むという点で異なります。
ただ、ターボチャージャーはその構造上低回転域ではあまり効かないうえ、アクセルを踏み込んでからターボが回って効き始めるまでにタイムラグがあり、またかつてはある回転数を境に突然効き始める(いわゆる「どっかんターボ」)ということもありました。昔は、大きいターボチャージャーをつけることが多かったため、低回転域では効かずにある程度回していくと突然効き始めるものが多かったようです。
一方で、スーパーチャージャーはクランク軸から動力を取りだして回すという構造上低回転域でもそれなりに効いてきます。アクセルを踏み込んで回転数が上がってもすぐに効き目が表れます。
互いの欠点を補うため、スーパーチャージャーとターボチャージャーを両方つけた車もありました。
ダウンサイジングコンセプト
燃費を改善するため、排気量の大きなエンジンを小さいエンジンに置き換え、減った出力はターボチャージャーやスーパーチャージャーで補うという発想であります。
以前は、過給機を付けるのはどちらかというと出力を上げる目的があり、圧縮比の低いエンジンに大容量の過給機を組み合わせることが多かったのですが、燃費は悪く、低回転域の出力も低いのでさんざんでした。
ただ、ダウンサイジングコンセプトでは「出力はそのままでエンジンを小さくする」ために過給するため、小さめのターボチャージャーを用いて過給圧を低めにし、圧縮比はあまり下げず低回転域から効くようにセッティングします。低回転域でも比較的よく効くスーパーチャージャーを使うことがあります。
これは欧州のメーカーが得意としており、フォルクスワーゲンが「TSI」という名で主力車種*3に搭載しています。最近出てきた「BMW 328i」は名前だけ見ると2800ccの直6エンジンを積んでいるように見えますが、実際は2000ccの直4ターボだったりします。
E12ノートは、E11の1500cc自然吸気エンジンを1200ccのスーパーチャージャー付き直噴エンジンに置き換えていますが、トルクは1500ccと変わりません。
日本ではむしろ大型ディーゼル車のダウンサイジングが進んでおり、8〜12気筒のエンジンはあまり見かけなくなり、直6ターボが主流となっています。
*1:直噴エンジン独特の音の原因は、圧縮比が高いのと、燃料の噴射圧力が高いため。特に、直噴エンジンは高圧の空気の中に高圧でガソリンを噴射するため専用のインジェクターとポンプが必要となる
*2:タコメーターといえば、トヨタのハイブリッド車には付いていないが、日産・ホンダのハイブリッド車には付いている。日産のハイブリッド車はモーターだけでも走れるので、「高速で走っているのにタコメーターは0を指す」という異様な光景が見られる
*3:パサートに1400ccエンジンを搭載、と聞いたときはひっくり返りそうになったが、実は1400ccは1400ccでもインタークーラー付きターボエンジンで、しかも2000cc並みのトルクを低回転域から絞り出す