27日午前8時半ごろ、大阪府高槻市のJR京都線摂津富田駅近くを走行中の西明石発京都行きの普通電車(7両編成)の運転士が、踏切内に男性が立ち入っているのを発見。同線を走る他の列車を緊急停止させる電波「防護無線」を発信したところ、約10キロ離れた同府枚方市内の学研都市線を走っていた複数の電車も受信し、非常停止した。男性にけがはなかった。京都線は3分後に運転を再開したが、学研都市線で尼崎発京田辺行きの普通電車が津田―藤阪間(ともに枚方市)に約20分間停車、計5本が運休するなど約1万人に影響が出た。
JR西日本によると、同じ路線を走る列車が使う防護無線は通常、半径1キロ程度しか届かない。今回のトラブルの原因については、夏の大気中にできる「スポラディックE層」と呼ばれる特殊な電離層が電波を反射し、通常より遠くまで飛ばしたのではないかとみている。
JR西は「広い地域の電車が止まりお客様に迷惑をかけたが、安全性には問題がない」としている。
(「朝日新聞」2010年5月27日)
もともと、防護無線は発信した列車を中心に半径1〜2kmまでは確実に届くのですが、電波の特性上障害物がないと遠くまで飛んでしまい、全く関係ない路線まで止めてしまうことがあります。過去には常磐線で発信したところ中央線が止まってしまったり、東海道本線で発信したら電波が大阪湾を越えて阪和線まで届いた、野洲で発信したら電波が琵琶湖を越えてしまい湖西線が止まった、ということもありました。もっとも、その目的(事故現場にほかの列車が入り込むと二次災害の原因になるため、周りの列車を止めて現場に近づけないようにする)上あまり届かないのも困るのですが。
ただ、防護無線の周波数は373MHzで、電波の区分ではUHFにあたります。「スポラディックE層」(Eスポ)はVHFは反射してもUHFは反射しません。*1
もし原因がEスポでないとしたら、どのようにして摂津富田から片町線まで…? やはり、たまたま障害物が少ないところで発信してしまったために片町線まで飛んでしまったのでしょうか。実際、先述の常磐線のケースでは綾瀬駅の高架で発信してしまったため、中央線まで飛んでしまいました。