さらばJスルーカード

JR西日本近畿日本鉄道は十六日、二〇〇一年十月から共通利用するプリペイドカード「Jスルーカード」の販売を九月十五日で終了すると発表した。JR西の「イコカ」、関西私鉄系の「ピタパ」などICカード乗車券の普及が進んだため。Jスルーの利用は来年春までで、利用終了後、駅窓口などで残額分の払い戻しに無料で応じる。

Jスルーは、切符の代わりに自動改札機に通すだけで電車に乗降できる磁気カードでJR西が一九九九年二月に使用を開始。近鉄バス明石市営バスなどでも利用でき、大人用の千円券、三千円券五千円券の三種類を販売している。

JR西の販売実績は、イコカを導入した二〇〇三年度の約千二百五十万枚をピークに、昨年度は約七百二万枚とほぼ半減。近鉄でもイコカとピタパの利用が〇七年四月に始まったことから、〇六年度の約百四十万枚を頂点に下降していた。

JR西の自動改札利用者の半数がイコカを使い、Jスルーは10%から3%まで減ったという。(金海隆至)

(「神戸新聞」2008年7月17日)

JR西日本近鉄は16日、磁気式の共通乗車カード「Jスルーカード」の販売を打ち切ると発表した。ICカード乗車券「イコカ」「ピタパ」の普及で利用が激減したためで、在庫の切れた駅から順次、発売を中止。9月15日で販売を終える。来春以降、自動改札機や乗り越し精算機で使えなくなるが、その後も、券売機では利用でき、両社が手数料無料で払い戻しに応じる。

近鉄プリペイドカード「パールカード」も同時に廃止する。

(「読売新聞」2008年7月17日)

JR西日本は、プリペイドカード「Jスルーカード」の販売を9月15日で終える。09年春には自動改札機などでも使えなくなる。ICカード乗車券「ICOCA(イコカ)」への流れが加速しているためという。

Jスルーカードは99年に発売。イコカが導入された03年度に1250万枚を販売したのをピークに、減少傾向が続いてきた。07年度は702万枚を販売。イコカは378万枚(今年6月末)まで普及している。

カード裏面に乗降履歴が印字されるため、会社員の経費精算に使うなど法人需要は根強いが、「自動改札機でスルーカードを使った乗客は全乗客数の3%にすぎない」(JR西)という。

使えなくなった後、カードに残った額は払い戻す。プリペイドカードでは、JR東日本が05年3月に「イオカード」の販売をやめている。

(「朝日新聞」2008年7月17日)

JR東日本はすでに“イオカード”を、関東私鉄各社は“パスネット”を廃止しており、JR東海に至っては磁気カードをすっ飛ばしていきなりICカードを導入していたりするので、これは時代の流れでしょうか。しかし、オレンジカードより先になくなるとは…。

Jスルーカードというと、ICOCAはおろか普通の切符を入れた時よりも処理が遅いときているのですが、ICOCAにしても処理がうまくいかないときがまれにあります。

あと、ICOCAは柄が1種類しかない*1のでつまらないカードであります。ちなみに、うちにはJR西日本近鉄相互利用記念カード(223系と5820系が写ったやつ)があったりします。あと、券売機専用柄(路線図)*2もありました。

あと、「Jスルーカードは裏に使用履歴が残る」ということですが、ICOCA登場初期のころは券売機で履歴をチェックするしか方法がなかったため、これは唯一Jスルーカードが上回っている部分でした。しかし、これとて最近ではソニーNECからFeliCaポートをもったパソコンが売り出されており、またパソコンに内蔵されていなくてもUSB接続のFeliCaリーダーがあるので家でもICOCAの使用記録を見ることができます。SMART ICOCAであれば会員専用ページを読み込んでケータイで見ることもできます。

で、“スルッとKANSAI”はどうなるかというと、PiTaPaは手続きが面倒臭く、申し込んでから届くまで2〜3週間かかる*3という欠点があり、その場で買える磁気カードも残るかな?かな?

“パールカード”(近鉄オレンジカード)もなくなるとはいうけど、“パールカード11”(他社でいう“回数券カード”)は…まだ残るみたいです。そりゃぁ、回数券を廃止したらあかんわなぁ。

ところで気になるのは利用終了後のこと。JR西日本近鉄電車ともにICOCAPiTaPaが使えるし、一足先に抜けた伊丹市バスでも同じくICOCAPiTaPaが使えるのでまだよいのですが、近鉄バス明石市バスはどちらも使えません。各社局専用のバスカードがあるとはいえ、これは…。

*1:実際は3種類ある:「SMART ICOCA」と「こどもICOCA

*2:私鉄では券売機専用柄は存在せず、機械ごとに柄を変えている

*3:一般的なクレジットカードと同じく審査があり、それをパスしないと発行されない。ちなみに、PiTaPaには電車に乗るだけの機能をもった「ベーシックカード」というのもあるが、ほとんど宣伝されず自社のクレジットカード(阪急・阪神「STACIAカード」、京阪「e-kenet」、近鉄「KIPSカード」、南海「minapitaカード」など)と抱き合わせで宣伝している。SMART ICOCAにしても似たようなものだが、こちらはどちらかというと「J-WESTカード」がメイン