東京の電車

E231系

首都圏各地で見られる、JR東日本の標準型。通勤型と近郊型のどちらとしても使える「一般型電車」。

もともと、JR東日本には通勤型の209系と近郊型のE217系があったのですが、E217系はこれまでの近郊型電車とは異なり4ドア・ロングシート車を主体としているほか、209系も500番台でE217系と車体幅が同じになったため、通勤型と近郊型を区別する意味がなくなってしまいました。

そこでどちらにでも使える車両が設計され、103系113系115系・201系・205系301系がまとめて置き換えられました*1。その結果、JRグループの車両としては異例の2000両オーバーを達成。

通勤型(三菱)と近郊型(日立)でVVVFの音が異なり、近郊型は加速すると音が下がる変なVVVFであります。アーバンライナーnextでも、通勤型と似たような音がします。

E233系

JR東日本では103系の置き換えを最優先事項としていました。そのため中央線快速・青梅線五日市線の201系は後回しにされていたのですが、103系の置き換えがひと段落ついたところで置き換えられることになりました。

中央線では車両トラブルによる運行障害が多発していたため、主要機器の二重系統化がなされています。具体的にいえば、E231系では4M6Tで編成が組まれていたのが6M4Tとなっており(これは結果的に性能に余裕を持たせることにもなった)、パンタグラフは2つ装備しているほか、TIMSの伝送線やコンピュータも二重化されています。

中央線快速のお約束として、大月・青梅線五日市線八高線富士急行線に乗り入れる電車があります。大月・青梅までは10両編成が入れるので特に問題はないのですが、富士急行線には4両で乗り入れるほか、拝島で五日市線方面と八高線方面に切り離す電車があるため、201系と同様に4+6両編成(H編成)と10両固定編成(T編成)の2種類があります。ちなみに、201系は東京方が4両編成で、河口湖へ行く際には6両編成をいったん大月駅の引き上げ線に押し込んでから4両編成を出発させていたのですが、E233系では逆になったため切り離せばすぐに河口湖へ出発できます。

また中央線は種別が多く(中央特快・青梅特快・通勤特快・通勤快速・快速・各駅停車)、色で区別する必要があるためJR東日本で初めて行き先表示にフルカラーLEDが採用されています。101系から続くでかいヘッドマークはありませんが、前面行き先表示器いっぱいに種別を出すことでその代わりとしています。下りのみ、各駅停車になる区間(快速は三鷹以西、中央特快・青梅特快・通勤快速は立川以西)では種別が消えます。中央線には深夜に「東京行き各駅停車」があり、三鷹からは本来黄色い電車が走るはずの緩行線E233系が走ることがあります。

ちなみに、VVVFの音は阪神1000系と全く同じだったりします。また、VVVFを取り換えたE217系でも同じ音がします。

T32編成の5号車は「モハE232-232」、T33編成の4号車は「モハE233-233」であります。JR東海には「クモハ313-313」「クハ312-312」なる電車がありますがそれと似たようなものです。

209系

JR東日本が初めて新規設計した通勤型電車。JR西日本207系と同世代であり、「鉄道ファン」誌で比較する特集記事が出たことがあります。

これまでの電車とは異なり、車両寿命の適正化、製作・維持コストの半減がメインコンセプトとして掲げられています。JR東日本初の自社製電車でもあります。ただ、これ以降の電車も外注して作られていますが(川崎重工E233系に乗ったことがある)。

ただ、設計に相当無理があったようで、京浜東北線の209系はE233系に置き換えられることになり、すでに半数以上が置き換えられています。

ちなみに、この500番台はもともと作る予定がなかったようです。なぜかというと、500番台は故障が多発した総武線の103系を置き換えるため、まだ設計中だったE231系が完成するまでのつなぎとして急きょ投入が決まったためです。顔がE231系とほぼ同じなのでわかりづらいのですが、実際のところ総武線では209系の顔は白く、E231系は銀色なのですぐに見分けが付きます。あと、209系500番台には6ドア車はありません。

京浜東北線には「サハ209-209」というのがあります。

E257系

JR東日本の直流専用特急電車の標準型。最初は中央本線の183系を置き換えるために投入されました。中央本線向けに154両(9両編成16本・2両編成5本)投入されたあと、やはり183系を置き換えるために房総地区に5両編成19本が投入され、その結果分割民営化後に投入された特急電車では最多となる249両体制となっています。以下、683系(162両)・787系(140両)と続きますが、683系は2011年までに108両増備されることが決まっているため、このままE257系が増備されなければ683系にトップの座を奪われてしまいます。

中央線仕様車に描かれているブロック模様は武田菱をモチーフとしているほか、各車両ごとに沿線の風物のイラストが描かれています。1号車から11号車までたどっていくと、ちょうど中央東線全線を走破したことになります。

新宿・千葉方の2両を切り離して運行する場合でも3〜11号車のまま変わりませんが、これは1〜9号車に変えてしまうと旅客案内上支障をきたすためです。

実は、7年前に松本駅で実物を見たことがあるほか、学研都市線で移動中近畿車輛にある作りかけのE257系を見たこともあります。

京王9000系

京王線の最新型電車。8000系に代わる次世代通勤型電車として2000年から運行を開始。

都営新宿線乗り入れにも対応していますが、登場当時は信号システムの関係上VVVF車は乗り入れができなかったためしばらくは地上専用でした。2005年に新宿線ATCが更新されVVVF車の乗り入れが解禁されたのですが、もとからあった9000系を乗り入れさせたのではなく乗り入れ用に10両固定編成の30番台を投入しています。

30番台は乗り入れ用のはずなのですが、どういうわけか京王新線(=新宿線乗り入れ)ではなく京王線新宿駅に顔を出すことがあります。

VVVFの音はシリーズ21の日立IGBTより少し低いぐらいで、大阪市営地下鉄でもそれに近い音を出す車があります。

ちなみに、ドアチャイムは開くときと閉まる時で異なり、開くときは313系、閉まる時はシリーズ21と同じ。

東京メトロ08系

半蔵門線押上延伸開業・東武伊勢崎線乗り入れに合わせて2003年に登場。「帝都高速度交通営団」時代に設計された最後の電車。

当時の標準設計を取り入れた、オーソドックスな電車。ただ、06系・07系ではシートのレイアウトが「4-6-7-6-4」だったのが、08系では首都圏では一般的な「3-7-7-7-3」に戻されています。ちなみに、「0x系」では唯一、川崎重工が作らなかった電車でもあります。

半蔵門線なので、帯はもちろんシートも紫。ただ、帯は8000系では紫1色だけだったのですが、08系では05系に合わせて白とピンクが組み合わされています。

08系の顔を初めて見た時は「営団地下鉄にこんな顔の電車が走るんか!」とびっくりしました。

東武50000系

東武鉄道の新たな標準型電車。当初は東上線に10両1編成が投入されただけでしたが、伊勢崎線にも半蔵門線直通用として、東上線には有楽町線副都心線直通用と「TJライナー」用として追加投入され、伊勢崎線向けには現在も投入が続いています。

狭義の50000系は東上線の地上専用ロングシート車を指し、伊勢崎線向けは「50050系」、有楽町線副都心線直通用は「50070系」、TJライナー用は「50090系」として区別されています。50001Fだけは非貫通型で、残りはすべて貫通型ですが、50002Fと50090系全車は地下鉄乗り入れには対応していません。

ちなみに、半蔵門線直通用車両は30000系がありますが、それほど古い電車ではないのになぜ50050系を投入したのかというと、30000系は4+6両編成であり、定員が少なくなるという問題を抱えていたため、30000系は地上専用に転用し玉突きで8000系を置き換えるためであります。そもそもなぜ30000系が4+6両編成になったのかというと、半蔵門線乗り入れ開始(当初は1999年を予定していた)までは浅草に顔を出していたことや、今はなき西新井工場・杉戸工場(両方とも南栗橋に移転して廃止)には10両固定編成では入らないためです。

50050系が登場した時点では、南栗橋車両管理区には10両固定編成でも入り、最初から浅草に顔を出さないことを前提に設計できるため、10両固定編成で投入されました。ちなみに、10両固定編成なので南栗橋・久喜から先の10両編成が入らない区間へ田園都市線半蔵門線から臨時列車を運行する際には使われません。そのため、30000系も何本かは直通対応設備が残されています。

50090系のみ青い帯が巻かれています。

*1:201系と205系はほかの路線に回された