山陰本線の新型特急

JR西日本は23日までに、特急「北近畿」(新大阪-城崎温泉)など、京阪神と山陰地方を結ぶ特急電車に、2011年6月までに新型車両を導入する方針を固めた。現在の車両が老朽化したのに加え、05年4月の尼崎JR脱線事故を機に、カーブでの速度を制限する装置を搭載することなどが義務付けられたのに対応し、安全度を高める。

北近畿」は1970年代に製造された旧国鉄485系を改造して使用。現在20編成あり、「北近畿」のほか、「文殊」(新大阪-天橋立)や「きのさき」(京都-城崎温泉)など6種類の特急で運用している。

今回の更新は、車両の老朽化に加え、国土交通省が06年3月、脱線事故を機に鉄道の技術基準を改正したのに対応するため。新基準は速度を制限する装置に加え、運転士に異常が起きた時に列車を自動的に止める装置、運転状況を記録する装置などを一定期間内に車両に取り付けることを義務付けている。

JR西は新型自動列車停止装置ATS-P)の車両側装置をはじめ、これらの基準を満たす機器を搭載する。投資額やデザインなどは未定。現車両は順次、廃車する。

(『神戸新聞』2009年7月24日)

雷鳥」の485系、「はまかぜ」のキハ181系は置き換えがすでに具体化しているのですが、“北近畿ビッグXネットワーク”の電車特急に使用されている183系はまだ置き換えが具体化していませんでした。

183系といえば中央東線や房総半島の特急として走っていたやつが本来の183系*1で、JR西日本の183系は485系から交流区間で使う機器類を取っ払った*2やつであります。なので、JR東日本の183系とJR西日本の183系は連結できません。

また、1996年に山陰本線*3北近畿タンゴ鉄道が電化された際にも追加で改造されたほか、2003年には「しらさぎ」に683系が投入されて485系が大量に余った際にクモハ485があったことからこれを用いて分割・併合運用ができるように3回目の追加改造がなされました。

485系時代から起算すると軽く30年以上は経っており、あちらこちらにガタが来ています。

もともと、1986年11月改正で福知山線の宝塚以北が電化された際に、特急「まつかぜ」*4、急行「丹波」「だいせん*5」を統合・電車化する形で「北近畿」の運行を開始しましたが、初期には日根野電車区から転入した485系*6をそのまま使っていました。

詳細は未定ですが、正式発表(車両のデザインや投資額など)は近いうちに発表されるでしょう。

篠山口以北のローカル列車には223系5500番台、「丹波路快速」には6000番台がすでに投入されているなど、福知山線では普通・快速電車に関しては新型化がかなり進んでいるのですが、特急だけはいまだに183系が主流でした。

JR西日本でも国鉄形特急車両は着実に数を減らしており、残るは「くろしお」「やくも」の381系だけ。「やくも」はリニューアル工事をしているのでまだ安泰ですが、「くろしお」は…?

形式名が何になるか考えてみました。JR西日本国鉄時代の習慣を踏襲して特急用車両は2ケタ目を「8」*7にすることになっています。直流専用になりそうです。ということで、「287系」か「385系」*8になるかな?かな?

*1:一応、183系も485系もギヤ比は1:3.50(22:77)、制御装置は1C8Mの「CS15」、モーターは120kWの「MT54」とまったく同じようになっている

*2:取っ払った機器類は113系に取り付けて415系として七尾線に投入した。ちなみに、JR東日本でも485系を改造した183系・189系が在籍していたことがある

*3:これをもって京都〜城崎温泉間は完全に電化される

*4:2003年に「スーパーまつかぜ」として復活するが、それ以前は「スーパーくにびき」だった。山陰本線では同じ名称でも運行区間の変遷が激しい列車が多く、現在は伯備線の特急として定着している「やくも」も、もともとは新大阪発着で福知山線経由だったほか、「おき」も新大阪発着で岡山からは現在の「やくも」と同じルートを走っていたことがある

*5:夜行便のみ2004年10月まで残った

*6:1985年3月改正で紀勢本線きのくに線)の優等列車をすべて「くろしお」に一本化することになったが、381系だけでは不足するため485系を全国からかき集めて投入した。ところが、485系には振り子装置がないため、381系と485系で所要時間が大幅に異なるために評判が悪く、わずか1年で再び381系に統一された

*7:281系283系285系・681系・683系キハ187系 ちなみにJR北海道キハ261系を除く)・JR九州(電車のみ)も同じく2ケタ目は「8」で固定している。JR東日本は「5」、JR東海は「7」「8」

*8:「187系」もありだが、キハ187系と紛らわしく使いづらい