APSの行く末
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APS(Advanced Photo System)というのは、これまで広く使われてきた35mmフィルムに代わって「IX240カートリッジフィルム」を中核とした新しい写真システムのことで、以下のような特徴がありました。
- カートリッジを入れるだけでフィルムを装填できる
- フィルムが小さいため、カメラも小さくできる
- (対応機種に限り)途中でフィルムを交換できる
これまでの35mmフィルムでは、現像に出すとネガが6コマごとに切られて戻ってくるのですが、APSではカートリッジに入ったまま戻ってきます。焼き増しをする際は、インデックスプリントを見て注文書にコマ番号と枚数を書いて持っていくと出来上がります。
ところが、同時期にデジカメが出てきて、しかもそれが急激に性能を上げて普及したため、すっかり影が薄くなってしまい、フィルムは売っているもののカメラはすべて生産中止、細々と出していたフィルム*1も富士フイルムでは在庫限り、という状態になってしまいました。APSカメラの売れ筋だった「IXY」も、今やデジカメのブランド*2として定着しています。
現在では、デジタル一眼レフカメラのイメージセンサのフォーマットとして「APS-Cサイズ」「APS-Hサイズ」というのがありますが、これはAPSフィルムに写る画面の大きさから来ています。
APSカメラの一覧
キヤノン
- EOS IX(一眼レフ)
- IXY(コンパクト)
APSカメラの売れ筋といえばIXYでしたが、デジカメになってもそのブランド力は健在で、一時期はビデオカメラでも「IXY」を名乗ったモデルが出ていたことがあります。
ニコン
- PRONEA(一眼レフ)
- Nuvis(コンパクト)
マウントはそのままですが、PRONEAシリーズでしか使えない「IXニッコール」というレンズがありました。なぜ他には使えないのかというと、後ろが突出していて他のカメラにつけるとミラーと干渉するためであります。マウントにかぶせるふたも専用品がありました。
ミノルタ
- VECTIS
一眼レフもありましたが、全て「VECTIS」で揃えられていました。ミノルタでは新規にマウントを起こし、これでデジタル一眼レフ「Dimage RD-3000」を出したのですがさっぱり売れず、のちのデジタル一眼レフはαシリーズをベースとしたものになりました。
フィルムの入れ方
35mmフィルムカメラでは、以下のようにしてフィルムを入れます。
- ふたを開ける
- パトローネを入れる(入れる場所は、機種により左側と右側がある)
- フィルムを少しだけ出す(出し過ぎに注意!)
- この時、フォーカルプレーンシャッター搭載機ではシャッター幕に触れないようにする
- 先端を巻き取り軸につける
- フィルムの穴(パーフォレーション)を内部の歯車(スプロケット)にかませる
- ふたを閉める
- 1〜2枚巻き上げてシャッターを切る
これはのちに自動巻き上げ・自動装填が開発され以下のように簡略化されました。
- ふたを開ける
- パトローネを入れる
- フィルムを少しだけ出す
- 先端を指定された位置に合わせる
- パーフォレーションをスプロケットにかませる
- ふたを閉める
対してAPSはどうかというと、非常に簡単で「ふたを開けてカートリッジを投入する」だけでOK。電池を入れるような感覚でいけます。