日産と三菱の関係強化

日産自動車三菱自動車が車両の相互供給の拡大を検討していることが分かった。日産からはセダンなど乗用車を新たに供給し、三菱自からは軽自動車の供給を増やすことが検討されている。ともに手薄な分野の品ぞろえを拡充しながら、国内での生産台数の確保を図る。14日午後にも発表する。

両社は2005年に車両供給で提携することに合意し、三菱自が日産に軽自動車の供給を始めた。07年に提携を拡大し、日産から三菱自への商用車の供給も始めた。現在は三菱自が日産に軽自動車4車種を供給し、日産が三菱自に商用車1車種を供給している。

 両社が行っている提携関係は、相手先ブランドによる供給(OEM)と呼ばれる。開発や生産の費用を抑えて商品構成を拡大できるメリットがあり、国内では小型車を中心に広がっている。日産はスズキからも軽自動車の供給を受け、マツダには商用車を供給。富士重工業ダイハツ工業から軽自動車の供給を受けている。

(「朝日新聞」2010年12月14日)

富士重工トヨタグループ入りに続き、今度は三菱自動車が日産と提携強化。そのうちに自動車メーカーの再編が起こるような気がします。

これは午前中に配信された記事で、すでに日産・三菱の双方から正式発表がありましたが、中身は以下のような感じであります。

  • 日本向けに、日産は三菱に小型商用車を供給する
  • 中東向けに、三菱は日産にSUVを供給する

これは決定済みの事項で、他に「日産のセダンを三菱に供給する」「軽自動車の企画開発を行う会社を合弁で設立する」という話も検討課題として挙がっています。

日産・三菱のOEM供給関係

日産 三菱
クリッパー ミニキャブ
クリッパーリオ タウンボックス
キックス パジェロミニ
オッティ eKシリーズ
AD ランサーカーゴ

太字:元の車種)

すでにけいよん!…じゃなくて軽自動車を4車種も供給してもらっていますが、日産では「軽自動車といえどもABSは必ずつけるように」ということで全車種にABSを付けているほか、わざわざ日産顔にしています(キックスのフロントグリルがX-TRAILもどきなのは有名な話)。

もし日産のセダンを三菱に供給するなら?

三菱のセダンは、ギャランフォルティス(海外名:ランサー)とランエボXしかありません。5ナンバーの小型セダンと、2000ccオーバーの中・大型セダンは、過去にはすべてそろっていた時期がありましたが、この車格の車はすべてなくなってしまいました。

ここで、三菱のラインナップの穴埋めをするために日産のセダンを三菱ブランドで売るという話が出てきました。よく言われるのは「ティアナの供給を受け、ディアマンテを復活させるのでは?」ということです。3ナンバーのFF高級セダンという点でこの2車種は共通しており、あってもおかしくない話ではあります。

他にも、今は亡き5ナンバー版ランサーの後継としてラティオかシルフィをあてがうとか…。

商用車とSUVはどうなる?

既に日産ADが「ランサーカーゴ」として出ていますが、他にもやるようです。

たとえば、マツダ(ボンゴ)のOEMで出ているデリカバンをNV200バネットに切り替えるということが考えられますが、これに関しては日産もマツダからOEM供給を受けていた(現在はNV200バネットのラインナップにないモデルのみ)こともありかなり複雑になりそうです。「デリカカーゴ」はキャラバンのOEMか?

SUVはお互いにラインナップがかぶるので無理でしょう。特に、RVRとデュアリスは全く同じクラスなのでなおさら(三菱自身が「RVRはデュアリスを意識して作った」と言ったほど)。

三菱:パジェロアウトランダー・RVR・パジェロミニ
日産:パトロール(サファリ)・インフィニティQX・インフィニティFX・スカイラインクロスオーバー(インフィニティEX)・ムラーノX-TRAILデュアリス・ジューク・キックス