切り離しの案内

列車は、需要に応じて途中の主要駅で編成を伸ばしたり短くしたりすることがあるほか、ダイヤに余裕がない時は2本の列車をつないで1本にして運行することがあります。

その際、乗る車両を間違えると違うところへ連れて行かれるため、案内が重要となってきます。各社とも工夫を凝らしています。

分割案内板

小田急線の急行停車駅には、「分割案内板」なるものがあります。小田急で切り離しがあるのは相模大野・海老名・新松田・小田原ですが、この案内板を境に切り離します。10両編成で小田原方が6両のものと、8両編成で4両ずつに分かれるのは「分割案内板A」、10両編成で新宿方が6両のものは「分割案内板B」でした。かつては「E」まであった時期があり、のちにパターンが整理され「A」と「B」だけになり、「A」だけになったものの、現在は小田原まで10両で走るようになって分割する便が減ったため、あまり使われていません。特急でも「EXE」登場以来途中で分割を伴う便が登場し、EXEとMSEは分割案内板Aを境に分割されています。

分割案内板は、切り離された後に残る車両、つまり新宿方の編成で区分されていました。

(旧)A 18m車4両編成
(旧)B 20m車4両編成(現在の「A」)
C 20m車5両編成*1
D 18m車6両編成
E 20m車6両編成(のちの「B」)

相模大野などで切り離しがある場合、駅ではアナウンスで「分割案内板Aを境に切り離す」*2旨伝えられます。

行き先表示

表示の出し方は2パターンあります。

  1. 編成ごとに目的地を表示する
  2. 下に小さく切り離す駅を表示する

関西では以下のようになっています。

  • JR:1
  • 阪急:2(英語表記は切り離される駅)例:「新開地 この車両は西宮北口まで Nishinomiya-kitaguchi」
  • 南海:2の変形(「後ろ何両はどこそこ行き」を併記)

近鉄ではパターンがややこしいため以下のように整理します。

  • 途中で切り離し、2方向へ向かわない場合
    • 特急:1(切り離される編成は切り離す駅を表示)
    • 一般車:2(例:「快速急行|奈良 この車両大和西大寺まで」)
      • ただし、南大阪線では古市で切り離した車両を別の列車として運行することがあり、結果的に2方向へ向かうことになる場合もある
      • 阪神でも同じだが、最終目的地と交互に表示(例:「快急|三宮」⇔「快急|この車両尼崎まで」)
      • シリーズ21では英語表記の位置に表示
  • 途中で切り離し、2方向へ向かう場合
    • 特急:1
    • 一般車:1の変形(下に「後部車両は…」もしくは「前部車両は…」を併記)
      • いずれの場合も正面の表示は2つの行き先を2段で表示する(例:「準急|富田林 橿原神宮前」)

号車表示

通しで振る場合もありますが、「Maxやまびこ」と「つばさ」の場合、「Maxやまびこ」は1から、「つばさ」は11から振っています。

近鉄の京都・大阪難波伊勢志摩特急の場合、京都発着の編成はA〜D号車として区別しています。

E217系は、1号車の久里浜方に増結車を連結する関係で増結車には増1〜4号車が振られています。ただし、東海道本線に転属した編成は連結位置を入れ替えた関係でE231系E233系と同じく11〜15号車が振られています。

これを用い、「1〜6号車は大月まで、7〜10号車は河口湖行きです」という感じで案内することがあります。

LCD表示器

近年普及してきたLCD案内表示では、視覚的な案内を行うことができます。

225系の場合、編成の間に隙間を開け、乗っている車両を赤く表示し、「どこそこで切り離します」と表示しています。12両編成の場合はそれほどでもないのですが、8両編成の場合は4号車と5号車の間をかなり離してあります。

その他

このほかにも、京王線では吊革の色を変え「吊革が緑の車両は八王子行き、吊革が白い車両は高尾山口行き」などとしていたことがありました。

東武6050系では、車内にまで行き先表示を出していたことがありました。

*1:初代4000形は、当初は3両編成と5両編成だったが、足回りを改造する際に6両編成と4両編成に組み換えられた

*2:Eまであった時代はA〜Eのいずれか